子供の頃、近所の人が精神を病んで入院した。
数ヵ月後、習い事の帰り。
満月が低い位置にあって真っ赤に光っていた夜だった。
いつも前を通るその家が見えてきた。
でも何かがおかしい。
あ、家の上にも赤い満月がある。
と思っていたら、
クルクル螺旋状に回りながら上に登っていった。
火花のような尾を引いて彗星のようだった。
そのとき、なぜか私の頭の中におかあさ○といっしょのエンディングだった「夢のなか」という曲が流れてきた。
私は半狂乱になって走り、家に帰った。
後で聞いた話だと、その時間に入院した家の人が病院で亡くなったらしい。
狂い死にだったという。
作者すず