幼い頃の記憶です。
夏の夜、2階にある私の部屋で1人で寝ていたとき。
階段をゆっくり上がってくる足音が聞こえてきた。
ドアの前で止まり部屋には入ってこない。何かがいる気配はする。
お母さんかな?何してるんだろう?と思っていると、また上がって来る足音が。部屋の前で止まり動かない。
今度はバアちゃんかな?と思っていると、また上がってくる音。部屋の前で止まる。今度はじいちゃんかな?上に来るなんて珍しいな。
入りなよと言いかけたその時、また下から階段をあがる足音。
降りる音はなかったし、家にはあと誰もいないはず。
ゾッとして布団をかぶった。登りだけの足音は明るくなるまで続いた。震えて眠れなかった。
後で聞いた話だと、その朝に隣の家の犬が死んでいたらしい。
作者すず