夕方、学校の帰り道。天気はくもり。
静かで誰もいない住宅街を一人で歩いていた。
正面にある遠くの窓に何か見えた。
よく見ると人が顔を出してこちらを見ている。
青白くゆがんだそれは、引っ込んで見えなくなった。
歩き続けると今度は、遠くの電柱の影から誰かが見ている。
同じ顔だ。しかも3メートルくらいの高さから。
怖かったけどなぜか腹が立って、足元にある石を拾って投げた。
電柱の手前に石が落ちた瞬間、
視界にある建物の窓と電柱の輪郭すべてから、同時にたくさんの同じ顔がこちらを見た。
その後は覚えていません。
気付いたらこの世界にいました。
作者すず