まず前置きとして
私は心霊体験をいくつかした事があります。
音や物などの体験は結構多いですが
実際に人のような幽霊や化け物みたいな物を見たのは
3回しかありません。
その中の一つは前に投稿した「地元でヤバイ場所」です。
そして今回の話しになります。
今回の話しは私が中学生の時の話しです。
私は中学生の頃は野球部に所属しており3年生の時は
キャプテンをしていました。田舎でしたがそこそこ強く
朝は朝練をしていました。
まず校門を開ける用務員さんが
だいたい6時20分くらいにいつも来ていましたので
全部員、朝の6時半に学校の玄関前に集合し部室に移動するという形でした。
私はキャプテンの特権を乱用していつも6時40分とかに
学校に行ってました。笑笑
学生の頃の10分はホントに大切でした…笑
しかしその日の朝は何故か早起きして
6時30分に学校に行きました。
が、しかしおかしい事に校門があいてません。
用務員さんの姿もなく、他の部員の姿もありませんでした。
何で誰もいないんだよ…と思いながら
仕方がなかったので校門をよじ登り10歩程歩いた時でした。
私の学校は、学校を正面から見て二階の1番右側が
音楽室だったのですがピアノの位置が窓のギリギリまで
ピアノを寄せていたので外からでも見える位置でした。
その音楽室のピアノを誰かが引いていたのです。
自分の位置からじゃ後ろ姿の上半身までしか見えなかったのですが男の子がピアノを弾いているように見えました。
それを見て吹奏楽部が朝練でもしてんのかな?とは
思えませんでした。何故かわかりませんが直感でこれは
見てはいけないものを見てしまった。と思いました。
そう思った瞬間体が凍りつきました。
この時初めてこういう体験をしたので正直ビビリまくって
そこから一歩も動けなかっただけかもしれないです。
とりあえず目も離せない、一歩も動けない状態になりました。
そしてようやくピアノが鳴り終わった時に視線を動かす事ができ、屋上にある大きい時計を見て音楽室に視線を戻した時でした。
自分の学校は教室の外のベランダは渡り廊下になっていて
端から端まで繋がっていて両サイドが非常階段になっている感じでした。
その音楽室のベランダの渡り廊下に男の子が移動していたのです。完全に自分の方を見ていました。
訳がわかりませんでした。一瞬でどうやって移動したのか
窓をあける音なども一切聞こえませんでしたし。
そして異様に身長が低かったのです。低いというか上半身しか見えなかったのです。外から見たらうつ伏せに寝そべって上半身だけ起こしてこちらを見ている感じでした?
2、3秒目が合ってたのですがその瞬間
バダバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバ
と音を立てものすごい勢いで
渡り廊下の方まで移動しだしたのです。
目を離すことができずそれを見ていたのですが
完全に下半身がありませんでした。両腕だけで上半身を左右に揺らしながら移動していたのです。
首から上だけはずっと自分の方を見ながら。
よく怖い話しであるテケテケそのものでした。
恐怖のあまり
やばい!やばい!やばい!やばい!やばい!やばい!
動け!動け!動け!動け!動け!
それしか頭にありませんでした。
その間、その男の子はドンドン非常階段を降りてきて
とうとう一階まで降り、こちらを振り向いた時に
ようやく自分の身体が動くようになりダッシュで校門まで行き、よじ登ろうとしたのですが上手くよじ登れずにしどろもどろしていました。その間にもこっちに向かってきていました。怖くて振り向けませんでしたがバタバタと音がだんだん近づいてきていましたから。
そしてやっと校門をよじ登る事ができ下に降りた時でした。
正面から「おい!」と呼びかけられ前を見たら部員が1人歩いてきていました。
その部員に
「おい!やばい!やばい!下半身のない男の子が追いかけてきてる!見ろ!」と学校を指し言うと、その男の子は消えていました。
そしてその部員に先程までの事を説明すると
全く信じてもらえずに
「そんな事より何やってんの?今日朝練休みだぞ?昨日監督から明日は朝練休みなー!って言われたじゃん!さっき家の窓から見かけたからまさかと思ったけど聞いてなかったん?笑笑」と笑いながら言われました。
全く記憶にありませんでした。
全体ミーティングの時に話していたそうです。
ホントにしたのか?と思うくらい記憶にありませんでした。
その後数人にこの事を話したのですが誰にも信じてもらえずに、担任に話したらその担任が教頭先生にこの事を話したらしくて、放課後教頭先生から呼び出しをされました。
教頭「〇〇、朝の事をオレに話してくれないか?」
と言われ、何で?と思いながらも話しました。
教頭は真剣な顔で馬鹿にせず聞いてくれました。
そしてふぅーと息をつき話してくれました。
以下教頭先生の話しです。
覚えている範囲でこんな感じで話してました。
教頭「オレがここの中学出身てのは知ってるか?オレが中学2年の頃に隣のクラスにAという奴がいたんだ。そいつは吹奏楽部でな。すごい真面目な奴で最初は初心者だったが人一倍努力していたんだ。人に努力を知られるのが嫌な奴でな。朝に学校にきてこそっと1人だけ朝練をやっていたんだ。その朝練をした、してないで他の部員とも喧嘩してたりしててな。おそらく頑張ってる姿を絶対に人に知られたくないというプライドが高かったんだろな。
そいつがな、ある雨の日朝練に向かってる時に雨でスリップしたトラックに轢かれて、亡くなったんだよ。
先生も現場に居合わせて訳じゃないから聞いた話しなんだか上半身と下半身が分かれていたらしい。そして上半身だけが動いていたらしいんだよ。学校方面に。その事故からある日にちにだけ、朝練している生徒だけがそいつを見たって言う話しが出てきたんだよ。お前が見た下半身がない男の子を。その事もあって怖くて学校に来れない生徒も出てきてな。その当時は少し騒がれて、学校自体がそいつの命日や月命日だけ朝練を禁止にしたんだ。それからその男の子を見たって聞かなくなってな。正直今日、担任からこの話しを聞いた時、変な汗が出たよ。今日はAの月命日だからな。
お前に見られて嫌だったんだろな。」
その話しを聞いて全てが繋がりました。
今日はその人の月命日。だから今までずっと月に一回だけ朝練がない日があったんだと。普段、朝練が休みで、何で?とか思ったことないから気にした事ありませんでしたが、そういう理由があったんだと気づきました。
教頭「まだAは朝練しにこの学校へ来てるんだな。成仏できなくてまだ自分が亡くなったとは気づいていないのかもな。
でも悪い霊ではないと思うぞ!いい奴だったから」
そう言われました。
そこで話しは終わりました。
その後一度もその霊を見る事はありませんでした。
その話しもそれから1度も聞く事はなく
朝練禁止などもどうなったかはわかりませんし
今となってはその学校すら廃校になりました。
でも教頭のあの意味不明に霊を納得している感じも
正直納得できませんでしたが
悪い霊ではない?
だったら何でオレを追いかけてきたのだろうか?
左右に身体を揺らしながらものすごい勢いで。
自分を見ていた時もずっと
移動している時もあの鬼のような形相で
そこだけが今だに謎です。
作者モチコ