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祖母が亡くなったときの話

短編1
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祖母が亡くなったときの話

亮輔さんの祖母が亡くなったときの話。

亮輔さんも参列はしたが、当時幼稚園児だった亮輔さんは儀式の意味がよく判っていなかった。

周りの大人たちのようすから

《あの優しいおばあちゃんに、なにか悲しいことがあったようだ》

と感じてはいたのだが、どうしても解せないこと。

黒い服を着た参列者のなかに数人、不気味な面をつけて混ざっている者が居た。

服と同じような黒の一色。

犬か狐を模したように、鼻の位置が長く前に突き出た形状。

目の部分はつり上がっており、口に当たる部分は半月状に笑っていた。

それで顔を隠した人間が焼香し、お悔やみの言葉を述べている。

それがあまりに恐ろしく、泣き出した亮輔さんは母親に外へ連れ出された。

のちにこの記憶を思い出し、両親に祖母の葬儀回りのことを訊いてみた。

仮面の参列者が居た記憶はないが、それなりに資産のあった祖母のおこぼれを狙ったゴロツキのような連中が数人押しかけ、相当に揉めたとのこと。

亮輔さんは、たとえ義理を欠いても本当に参列したい故人の葬儀にしか参加しないことに決めているという。

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