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朱里(しゅり)姉さんのコーヒー。

長編13
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朱里(しゅり)姉さんのコーヒー。

先日出会った美少女レイミ。

掴み所がない上に摩訶不思議な事を言う。

霊が見えると。

それは良い。よく聞く話である。

しかしなんだ。

妖精や鬼まで見るという。

そんなもの始めて聞く。

まるで童話やファンタジーだ。

しかし彼女はいたって真剣に言うのだ。

そこに、妖精が居ると!

でも信じられないのだ。

可愛いから

別に良いけどね!

でもまだ信じてはいない。

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そして本日。レイミと会うのは2回目である。二人で会うというとなれば始めてだ。

これはデート、と言いたいところだが実は違うらしい。

何でも前回俺と会ったときに、俺のオーラ?がとても珍しく、レイミの心を惹いたもので、それを知人にも見て欲しいという。

その知人は小さい喫茶店を営みながら、気に入ったお客さんに占い師の様なサービスを展開している。

レイミは「先生」とか「姉さん」などと呼んでいるようだ。

その姉さんの経歴や生い立ちを聞いただけで、会う前から変人だろうなと言うことが分かる。

その内容がこうだ。

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その店主、「朱里姉さん」とは勿論本名では無い。喫茶店店主で有りながら、源氏名というべきか、セカンドネームを使いこなす。レイミですら本名は知らないと。

そしてここからが本番だ。

レイミが説明してくれた様に超早口で超駆け足で説明しよう。

その変人っぷりに磨きがかかる。

朱里姉さんは母方の祖母が、沖縄の「ユタ」という特殊な霊媒体質を持つ人で、沖縄の地元では有名な人であった。父方の祖母は青森恐山で、霊を降ろす「イタコ」であった。

その両方の血の飛び遺伝で、彼女には凄まじい神秘的な力がもたらされた。

幼い頃から色んなものが見えるとか、人を指差しながら意味不明なことを言う度に、両親が病院に通わせたりMRI検査を受けさせたりと、そんな事が数えきれない程あったという。

それだけに留まらず、まだ10代の時に数々の占い師を占って歩き、遠方の占い師からも是非自分も占って欲しいと殺到し、占い師を導く占い師として結果、巨万の富を得たという。

さらにその巨万の富を持ってイギリスに飛び、コーヒーバリスタの勉強と共に、イギリスでも公式な魔女に弟子入りし、正式に魔女の称号も得て日本に帰ってきたと。

そして若くして魔女の称号を持っているのに関わらず高級な着物に身を包みながら咥え煙草で小さな喫茶店を経営し、今に至る。

どこをピックアップしても突っ込みどころ満載、正真正銘の変人である。

聞けば聞くほど、

会いたくないのだ!!

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程なくしてその喫茶店に到着した。

喫茶「八雲七宝」

まぁまぁ魔女が経営しているカフェとは思えぬネーミングだ。

だが、成程佇まいは魔女特有のそれだ。

ログハウスのような丸太小屋風の建物が、ツルやツタなどで覆われている。

営業中と書かれた看板が日本風の書道のような字で書かれている。めちゃくちゃ字が垂れている。ホラーか。

到着するなり、レイミが我先にと店に入っていく。

すごく楽しそうだ。

レイミ「1つだけ注意ね。先生に年齢の事を聞いたりしたらダメ。ウチも知らない。聞いちゃったら殺されるよ。いやマジで」

なんと物騒な。。。

女性に藪から棒に年齢を聞くことは無いが、殺されるというのであれば充分に気を付けよう。俺はまだ死にたくない。

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「カランカラーン」

と、喫茶店特有の音。

それと共に心が落ち着くあの匂いが立ち込める。

まず嫌いな人はいないであろう、あの喫茶店の匂いだ。

昼間でも薄暗い店内は気味悪い感じは一切無く、暖色系の間接照明でぼんやりとした落ち着きを醸し出していた。

コーヒーと煙草の匂い。

ツヤツヤのカウンター。

茶色い半透明なお冷やのコップ。

コルクボードに大量に貼られたコーヒーチケット。

日が射すステンドグラス。

店内に優しく響くjazz。

そして、

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純和風姿のママ。

扇子を持っている。

朱里姉さんがそこにいた。

店名の「八雲七宝」感。その要素は着物からしか感じない、

だが何も言うまい。

黙っておこう。

姉さん「あらレイミ、久しぶりー。」

レイミ「先生ー!おひさです!この前言ってた不思議オーラの人連れてきたよー。」

どうやら予め俺の話題は出ていたらしい。

何となく嬉しい気持ちになった。

朱里姉さんは俺の様子をちょっとの間眺めた後に、

「いらっしゃい。ゆっくりしていきなよ。」

と笑顔をくれた。

中々、いや、相当美人だ。

夜のお店に行っても、これ程の色気と美貌の両方を強烈に放っている人はそうそういない。

目の動き一つ一つにさえ男を魅了する程のパワーがあり、仕草、雰囲気、全てに自信と品格も感じる。

これ程の美女が経営する喫茶店、何故話題にならないのだろう。

もしかして、ボッタクリなのか!?

意味不明な警戒をしつつ、挨拶をした。

「始めまして、□と言います。レイミさんから良いお店だと聞いていて、楽しみにしてました。」

軽く会釈をしながらカウンターに着いた。

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姉さん「今日はレイミが連れてきてくれたんだ。コーヒーの1つくらい店から出させてもらうよ。」

これは嬉しい。美人な女の子に連れられて、超美人ママに歓迎される。油断すると浮かれてしまいそうだ。

「何か良いお店ですね。」

と愛想を振り撒きジャブを放つ。

姉さん「ははは…。ありがとうね。趣味でやってる様なもんさね。ところで、突然だけど、あんたら……。」

と、急に俺とレイミを交互に見始めた。

姉さん「何よ、あんたら結婚の報告にでも来たのかい?」

と、唐突に放った。

突然訳のわからない事を言う。レイミとは先週出会ったばかりだ。やはりこの人は危険だ。

だが正直、レイミが彼女だったら良いなと思っていた節はある。俺はまんざらでもなかった。

レイミも以外な一言に多少動揺している様だった。。

レイミ「ちょっと姉さん急に何言い出すの?この人とは何もないよー?」

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何もない。そうハッキリ言われたら少し辛いでしょ。

え、なに、何か告ってないのにいきなりフラれた。

姉さんは首を傾げる。

姉さん「あれぇ?あんたらもう一緒になってる様なもんだよ。少なくとも、結婚するよ。なんかごめん(笑)今じゃないみたい(笑)。その時と今とごっちゃに見えちゃった。」

一体どこまで本気なんだろうか。

「またぁ、いきなりですね。からかったってダメですよー。」

俺はおどけて見せた。

レイミ「まってまって、姉さんはこういう冗談はふざけて言わない人なの。何か分からないけど話聞いてみようよ。」

レイミは急に真顔でいう。

あぁ、こういうの苦手なんだよなぁ。。。

レイミ「姉さんはウチと同じで見える人なんだけど、ウチなんかよりももっと凄いんだから。」

得意そうに言う。

レイミは姉さんの凄いという点を次々と上げた。

中には姉さんが龍を見たなんて話もあった。

俺は

「俺なんか昔、黒龍に食われそうになった事あるんだぜ!!!!」

と、例の話をしようとしたが、何だかややこしい感じになりそうなので止めた。

姉さんは俺とレイミの人生が深く重なる様に見え、更に二人で店に入ってきた瞬間に結婚の報告に来た雰囲気を感じた、というかうっすら見えたという。

未来視とかいうやつだろうか。

正直俺はそういうスピリチュアル的なものにはかなり懐疑的だった。そういうサイトや広告を見てもネタなのだろうな、程度にしか捉えることが出来なかった。

なんなら、この喫茶店で

「あなたの人生を変える【開運コーヒーミル】10万円!」

などと言う怪しい買い物をさせられるんじゃないかと、

ますます警戒心が強くなった。

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レイミが姉さんの凄さを俺にプレゼンしてくれている最中、

姉さんは早速コーヒーをいれてくれていた。

熱々の鍋から注ぎ込まれるお湯。

フィルターを通してコーヒーを濾していた。

詳しくないから分からないけど、イギリスで学んできたのだから、味は本物なんだろう。

何よりその、ミスマッチであると言える着物姿でコーヒーをいれる姿。

袖を片手ではしょり持ちながらお湯を注ぐ姿は、それはそれで趣があって素晴らしい。あながちコーヒーと和装の組み合わせはありなんだな、と感心した。

姉さん「はい。スペシャルブレンドだよ。あんた目が疲れてるみたいだから、目に効く様な配合でブレンドしといた。あんたの好みの味なはず。」

と、先程のように着物の袖をはしょり持ちながらこちらに差し出してくれた。茶道でもしているような崇高な気分だ。

確かに最近は連日残業でPCにかぶり付いていたが、

目の疲れなどは現代社会に生きる者ならみんな持っている。

誰にでも当てはまるような指摘だな。

そんな風に考えていた。

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姉さん「レイミはいつもの【雪見だいふくモリモリパフェ】だね。はいどうぞ。」

となりのレイミに出されたものは、やや大きめなチョコパフェ?の上にアイスの【雪見だいふく】が2つ乗せられている、

インパクト絶大のパフェだ。

俺は思わず

「すっげ。それ何!?」

と見とれてしまった。

レイミ「これ私の大好物。これ食べにここに来ていると言っても過言ではないのだ!!!!」

力説である。俺のオーラ見せに来たんじゃなかったのか。

ってか過言でもなく、その通りなんだろ。

まぁ、可愛いから良いけど。

しかし俺に出されたこのコーヒー。

実にうまい。俺はどちらかと言うと酸味の利いたコーヒーが苦手だ。コーヒーは酸味よりも渋みというか、コクと苦味が強めでキリッとしたのがいい。

そして、さらりとしたものより若干固めの口当たりで、重みの様なものがあるのが最も飲みごたえがあって良い。

このコーヒーはそれらの条件にピッタリだ。

間違いなく大好物の味である。

レイミは【雪見だいふくモリモリパフェ】に夢中だ。

なんて美味しそうに食べるんだろう。

頬張りすぎてガリガリ君みたいな顔の輪郭になってるじゃないか。

俺はこのコーヒーを楽しむとしよう。

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姉さん「あなた。以前凄い占い師とか、予言できる様な人に何か言われたことあって?」

姉さんが唐突に質問をしてきた。

俺は正直に答えた。

「いえ、今までそう言うものとは無縁だったし、正直ピンと来ないんですよねぇ。」と。

姉さん「うーん。あなた、確かに変わったオーラしてるわ。でもこのオーラは占いや予言的なもので自らの運命を察知して変わろうとしている人に表れる状態よ。でも占いや予言をしていないとなると多重人格障害か何か、んなわけないよね?」

俺「んなわけないです。」

そういえば以前レイミにも同じ様なことを言われた気がする。

思い当たるのは数年前に現れた謎の女子高生の出来事か。

あの手紙には俺は35歳の時、妻と子供を残してバイク事故で死ぬとか書いてあった。

私はあなた「お父さん」に死んでほしくない。

その年だけはバイクに乗るな、とか書かれていた。

俺はその一連の事をレイミと姉さんに全て話した。

姉さん「ふーん。不思議なこともあるもんねぇ。なに、つまりあんたの娘さんがバックトゥーザフューチャーしてきたって事かいな?」

俺「はははっ、姉さん。流石に歳がばれますよー。」

少々口が滑った。

次の瞬間、姉さんが煙草に火を付け、一息肺にゆっくりと入れて吐き出した。煙を俺に向けて。

姉さん「てめぇ、次はねぇぞ?」

怖い。

怖すぎる。

親友ユウジと様々なごろつきと喧嘩をし、色んな輩と向かい合って来たのに、ここでビビる。

めっっっちゃ怖いんですけどこの人。

姉さん「気を付けな。それより、その手紙呼んだから運命が別れかけてんだろうね。あんたもう35歳の時はバイク乗らないって決めてるんじゃないかい?だから本来のあんたの運命が薄くなって、何かを回避した新たな運命がもうオーラとして生まれてる。今はそれらが二重になって見えるよ。」

俺にはよくわからないが、35歳になって子供が生まれる頃には一旦バイクは降りようと決めた。それは確かである。

姉さん「通常、カップルが付くか離れるか、そういう対がどうなるかの未来は何となく分かる人には見えるよ。だけど、個人、つまり一体の未来を、しかもそこまで具体的に予言できる人はいないと思うわ。私にだって無理だもの。でももし可能だったら運命は変えられるわ。信じがたいけどその娘さんらしき人は、恐らく本当に未来を知っていた誰か、ね。」

姉さん「あなたのそのオーラを見る限り、あなたは運命を切り開いたと言えるわ。」

なんて事だ。それが本当なら、特定の一年間だけバイクを降りて、あとは好き勝手にヘラヘラ生きていこうと適当に日々を過ごしていただけで、俺は運命を自らの力で切り開いた

【運命に打ち勝った男】スーパーパイオニアになったのである。もう一度言う。

俺はなにもしていない。

レイミ「すごーい!逃れられない運命に打ち勝った男!未来を切り開く希望の先駆者!」

頼むからそれ、人前で言わんといて下さい。

ウルトラ恥ずかしい。

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姉さん「まぁ、私はSF作家でも科学者でもないからなんとも言えないんだけどね。それが本当に娘さんってんなら、レイミ、あんたの娘でもあると私は踏んでんだけどねぇ。」

姉さんは嫌らしい顔つきでニヤリと笑った。

実にエロい顔だ。

レイミ「そうそう、それ。姉さんにはウチらが一緒になる様に見えているの?まぁ、嫌な気分ではないよねー。」

と俺の方を見た。レイミのその顔もセクシーだった。

正直俺は信じきってはいない。

「姉さん、やっぱこう言うのって鵜呑みにせずに、しっかり自分を持って自身を律して生きていきなさいって事なんでしょうね、占いとかって。」

ボヤボヤにぼやかしまくって信じていない雰囲気を出した。

すかさず姉さんは言った。

姉さん「そうさねぇ……。あんたおばあちゃん子だったみたいだね。お婆様は大正15年、いや、昭和元年生まれか。そしてこの土地ではなくて、兵庫の神戸か大阪か、産まれたのはそこらへんだ。この地が大震災に見舞われた時、今で言う震災復興ボランティアみたいな感じでやってきて、生涯この地にいたんだね。」

急にだ。

急にサラサラーっと俺の祖母の話をする。

それは興信所などで調べても分かるはずもない。俺しか知らないばあちゃんの話だ。

サーっと血の気が引いていく。

姉さん「信じたかい?因みにお婆様はあんたが子供の頃、一度大きな手術をしているらしいね。子宮だね。それと同時に膝の手術もしている。」

何故だ!?そこまで。

いくらなんでも分かりすぎじゃないか。

流石に気持ち悪い。

「え、何でそんなことまで知っているんですか!!??」

動揺せずにはいられない。

姉さん「だってあんた、お婆様の加護で生きてるよ。今もそばにいるから、今本人から聞いたよ。」

ばあちゃんに聞いたの!?

え。どこにいるって???

これは何のトリックもない。あり得ない事だ。

本当にこの人やレイミは、そういうのが見えるというのか。

それまでスピリチュアルや霊的な事をエンタメとして否定も肯定もしてこなかった。どちらかといえば信じない方だった。

ただ、今その話を聞かされたら流石に信じるしかない。

レイミは言う。

レイミ「ウチは霊的なものや妖精や鬼見えるって言ったけど、見えるのが特化してて全然聞こえないし干渉できないんよ。姉さんは私ほど異常に見えたりしないけど、聞こえたり干渉できたりするから。□君のおばあちゃんから色々聞けたんだろうね。」

何なんだこの人達は。俺の平和な日常が何かに塗り替えられていく。怖くはないが不安だ。

そんな中レイミが言う。

レイミ「ウチら一緒になるらしいけど、どうかな?ウチが□君のオーラに惹かれたのは確かなんだ。そのー。よかったらこれからもたまにこうやって会わん?だめ?」

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ダメなわけがない。毎日だって会うさ。

「いや、むしろ俺からお願いしたいね。出来ればレイミちゃんともっと近い仲になりたいな。交際したいと思っている。」

何か超ナチュラルに告白できた。

ビックリするくらいスムーズだ。

レイミはえへっと微笑んだ後に

レイミ「姉さん、ウチら今日ここで付き合うことにします!!」

と宣言してくれた。

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レイミのパフェは2人前くらい量があったが、既に完食されていた。

姉さん「やめとくれ。こっちが恥ずかしいよ。」

姉さんの照れた顔は少女のようで可愛いと思った。

姉さん「あ、レイミ。悪いんだけど煙草買ってきてくれるかい?お小遣いあげるから。」

レイミ「え、やった!!いくいくー!!」

客に買わせに行かすとか。すげーな。

レイミはボールを投げられた子犬のように走っていった。

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姉さん「さてと、あの子が帰ってくる前に。あんたに一言言っておく。さっきの娘の話。それきっとあんたの娘さね。

あんたに付いてる生き霊の1つだけど、どうもおかしい。生き霊なのにまだ産まれていない感じで、しかもレイミとどこか雰囲気が似ている。流石のレイミもこの雰囲気には気付いてない。未来の生き霊?とは違うけど。私もこんなの初めて見るわ。その子の強い残留思念が残っているのね、きっと。」

どうやら俺には、今後産まれてくる娘が女子高生になってからの生き霊が付いているらしい。

もはや意味が分からない。SFなのか不思議な話の類いなのか。

姉さん「あと、レイミをよろしくね。あの子はまだ、深淵を知らない。出来れば知ってほしくない事もあるから。見るべきものじゃない物を見たとき、直ぐに私に助けを求めなさい。分かったわね??」

「昔から存在するモノには関わったらダメよ。私でもどうしていいか分からなくなるの。あなたのように霊感が全く無い人にしか感じれない変な悪寒や鳥肌。あれは私達にはないレーダーなの。その【霊感が無い人のレーダー】は、その大昔からあるモノに敏感なの。あなたが察知しなきゃいけない。いいね?」

とても念を押された。今後レイミには辛いことが待ち受けているらしい。それを今後、もしくは一生支えていく覚悟をしろと。

望むところである。あんな純粋で可愛らしい彼女、奥さんを守ってやらない男は男じゃない。

霊から守ってあげる術なんか知らないけど、姉さんを頼りにしよう。必ず幸せにしたい。

そう思った。

冷めつつあったコーヒーの最後の一口。

冷めているのにも関わらず、すさまじく美味しいコーヒー。

こんな旨いコーヒー、全国にどこを探せばあるのだろうか。

以後、朱里姉さんのコーヒーは今に至っても俺の心を掴んで離さない。

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こーいう系の怖い話好きです。純粋に自分の嗜好と合ってるからか自然に鳥肌が経ちます。これからも楽しみにしています。

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