短編2
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鬼面超人エル・アンドレ

鬼面超人エル・アンドレ。

それは子供の頃から大切に持っているカードだ。このカードを見るたびに当時の記憶が蘇る。

当時、そのカードを当てたときは飛び跳ねて喜んだ。

僕は友達に見せびらかして回った。だけど、一つ上の学年の「たなかこうき」がそんな僕にこう言ったんだ。

そのカードは呪われてるって。そのカードの持ち主は死んじゃうから、捨てたほうがいいよって。

嘘を言うなって怒鳴ったけど、やっぱりちょっぴり怖かった。

だから僕は、あっくんに相談したんだ。

あっくんは一番の親友だ。僕とは違って運動神経も良いし頭も良い、それに度胸も据わってるんだ。上級生が相手でも喧嘩に勝っちゃうんだ。

でも─。

でも、最近は学校に来ていない。病気になっちゃったみたいで、ずっと入院している。

僕がお見舞いに行くといつもこう言うんだ。

「俺はもう、余命がないんだ」

「余命って」

「もう、生きられないってこと」

僕はとても悲しくなって涙がほろりと落ちた。でも、あっくんは泣くなよって笑いながら肩を組んできた。

それから僕は学校帰りにあっくんの病室を訪れるのが日課になった。

「ねえ、どうしよう」

その日、病室を訪れた僕はあっくんに聞いた。カードの呪いはどうすれば解けるのか。

このままでは「持ち主」の僕は死んでしまうかもしれない。

あっくんは顎を指でつまみながら、ベットの周りを行ったり来たりした。

あっくんはいつも、考えるときにこの仕草をする。

そして、僕なんかが考えつかないようなことを思いつくんだ。

「ちょっと、見して」

しばらくして何か思いついたのか、あっくんはそのカードを見せるように催促した。

僕は急いでランドセルからカードを取り出すと、あっくんの目の前に披露した。

「もーらいっ」

「あっ」

僕は一瞬泣きそうになった。けど─。

「ほらよ」

あっくんは取ったカードをふたたび僕へ差し出した。

「これ、貸すよ」

あっくんはそういってニカッと笑った。

「持ち主は、俺な。だから、持ち主じゃないお前は死なないよ」

しばらくして、僕もニカっと笑った。

やっぱり、あっくんは頭がいいや。

─でも。

それからしばらくして、僕の日課はなくなった。

あっくんは天国に旅立ったんだ。

余命よりも、長く生きたんだって。

あれからずっと、僕はこのカードを持ってる。

傷がつかないように大切に保管して。

だって。

だって。

「いつか返す日まで、借りたままなんだから」

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