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短編2
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代筆です。

天邪鬼の呪いにかかっちまった。

大学の友人に誘われて山登りに行ったのが間違いだったんだ。

あの日は小雨が降っていて地面が滑りやすかった。

山腹を登っていた俺はつい足を滑らしちまったんだ。

幸い、そばにあった石に手をついたおかげで、服をべちゃべちゃにすることはなかった。

だが、その後がまずかった。

手をついたままだったせいで、その石がぐらついたんだ。

石はそのまま倒れちまった。

石が割れる音が響いて──。

その石だと思っていたのは地蔵みたいな石像だった。

怒声が響いたよ。

「天邪鬼の呪いだ」

そこらで休憩していた知らねえ爺さんがそう叫んだんだ。

─────

 で、天邪鬼の呪いってなんなんだよ。

俺は荷物を片付けながらヨウヘイに尋ねた。

「僕も聞いた話なんだけど─。解呪はできないらしいんだよね、ただ─」

「ただ?」

「腕を折る・舌を切る・目を潰す。このどれかから一つを選ばなければいけないらしい」

「やばっ」

「やばいよね」

「でもまあ、俺なら腕を折るしかないかな」

「だよね」

とここで、荷物を仕舞い込んだ俺は「じゃあな」といって席をたった。

「待って」

「ん?」

「この呪いで一番大事なのは、自分自身の選択と「反対の選択」をしていまうんだ。だから、天邪鬼の呪いっていうんだよ」

「へー、つまり、やりたくない選択を選ばなきゃいけないってことか」

「そういうこと。後、この大学にも呪いがかかった奴がいるんだって」

「へー、意外だな」

俺はそう言いながら腕時計を見やった。

「マサキ。この後、用事でもあんの」

「歯医者、歯医者」

「そうなんだ。」

「おう。そういうわけで、もう行くわ」

「うん。じゃあね」

「じゃあな」

─────

 俺は選択を迫られた。

どの選択も最悪だった。

ああ、なんで山登りなんかにいったんだ。

なんどでも後悔してやる。

もう、猶予はなかった。

俺はバットを片手に、右腕を机の上に載せた。

バットには「アツト」と名前が書かれている。

バットを握るのなんて小学生ぶりだった。

くそっ。

日の傾きかけた薄暗い部屋の中で悪態だけが響いた。

五秒たったらだ。

五秒数えたら、やる。

俺は覚悟を決めた。

五。

四。

三。

二。

一。

日が落ちたのか、辺りは真っ暗になった。

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