21年04月怖話アワード受賞作品
中編5
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選択肢

誰もが人生を生きていくと、いくつもの岐路に巡りあうと思う。

これは、必然でありどんな人でも必ず起こり結果として未来で初めて正解・不正解と答えがわかる。

例に漏れず私も当然ながらいくつもの選択肢を選んできたのだ…

ただ…私の人生は他人とは違う…

と、思う…

まあ…確認はした事はほとんど無いのだけれど…

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記憶にあるのは小学生1年生の夏…

家族で旅行に行き車のサービスエリアで昼食をとり改めて車に乗り込もうとした瞬間だった…

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世界から音が消えて空間も真っ白…私の目の前には全部で4つの扉が浮かんでいた。

地面には【えらびなさい】との文字が書かれている…

幼く判断力も乏しかった私は恐怖と違和感を感じながら扉を選ぶ…

しかし、その内の2つには【えらんだらふこうになるよ?】と書いてあり簡単な外鍵かかっていている。

私は意味がわからないが薄気味悪い扉を避けて何もなっていない扉、それも左端の扉を開けた。

今、思うと単純に開けやすい多きさの扉だったとも思う…

【だいきち】扉を開けた上から1枚の紙切れが落ちてきた…

この後に母親に【だいきち】ってなに?

と、聞いていたような気もする。

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次に記憶があるのは小学3年の遠足の前日…

気がついたら6枚の扉、世界は静まりかえる。

【あなたはおりこうでした。4枚のとびらは悪いとびらです。だからえらばないでくださいね?】

と、地面には【えらびなさい】扉には【悪いとびら】と書かれいる扉とそれ以外…

私が開けたとびらの先に待っていたのは…

高熱で苦しみ遠足に行けない未来だった…

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子供心に【嘘つき】と思い【メッセージ】にたいして恨みを覚えながら苦しんでいた…

しかし、熱もさがり意識がはっきりして時に私は祖父の家にいてしばらくはこの家で生活する事になる。

もちろん、私は訳もわからず泣き叫んだ…

引っ越しと転校を告げられたから…

当時から友達もいたし好きな女の子もいた…

そんな友達と会えなくなると聞いたから…

泣きはらして眠った私の夢では【吉】と書かれた紙切れを持ってグシャグシャに壊れたバスの前で…

夢の中でも大泣きしていた…

ただ…理由はわからない。

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祖父の家で生活をして2年がたった…

その頃は私も例に漏れず反抗期を迎えており、相当に悪い事もしていた。

いじめや女の子へのイタズラも…

そんな時に扉は現れた。

いつもの状態で扉は6枚…

【あなたは悪い子ですね?ヒントはありません。自分で選びなさい】

地面にはそう文字が書かれている…

私は6枚の扉を選ぶ…落ちていた紙切れには【凶】と書かれていた。

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お父さんが死んだ。

事故だったらしい…

僕が悪い子だからと泣いて謝っていると、お母さんもお爺ちゃんもお婆ちゃんも貴方は悪くないのよ?

と、慰めてくれる。

だけど…僕だけは知っている。

お父さんが死んだのは僕のせいだ…と

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父が亡くなってから時は流れた。

扉は人生の岐路で現れる…

扉が現れる間の期間での善行具合で扉の数の増減やヒントの有無が選ばれる。

私は善行をおこなって過ごした…

扉の平均数は10枚…

ヒントがあれば実質は3枚ほど…

結果も【吉】が最低で【大吉】も数回…

幸せな人生を送れていた…

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私は24歳で人生に転機を迎える…

目の前には扉が10枚…

【貴方は善行を重ねました。貴方の行いで不幸が免れた方も多くいたでしょう。いつもありがとう。】

出されたヒントで選択肢は実質2枚まで減っていた…

私は自分の生活に自信を持っている…

扉も認めてくれている…

初めての実質で2枚…

悩みも無く扉を開けた…

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祖父・祖母・母…

友人・恋人…

皆…死んだ…

自然災害を受けた私の世界は一瞬で崩壊した。

私は生き残った…

あの日…私は扉の前で喜びとせず当然の結果だと納得していたと思う。

【大吉】…

落ちてきた紙切れは大吉だったから…

大吉だったんだから…

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私は疲れていた…

あれからも復興にボランティアに邁進した…

何か考える時間がある事が怖かったのだ。

しかし…1番怖かったのはこの災害が…

多数の不幸の原因が私…

それを考える事が怖かったのだ…

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数年後…

今でも不幸は残っている…

だが、私のできる事も少なくなっていている。

生活に疲れた私は産まれ故郷に安らぎを求めて足が向いていた…

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幼い頃の知り合いや友達、同級生との再会に私は温もりを感じていた…

私の不幸は皆も知っているらしく慰めなど労りの言葉をかけてくれている所は本当に嬉しい…

実家もないので民宿に泊まりながらゆっくりと街をめぐる。

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ゆっくりとゆっくりと心を癒し辛い現実から逃げないように…

自分の罪を受け止められるように…

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幼くして転校してしまった母校?を遠くに原っぱから見詰めていた…

何とか生きていく…

私はこれからも生きていける…

そう…カンガエラレルキガシタノニ…

「あら?貴方はまた生き残っているのね…

昔みたいにバスの事故の時みたいに…

今回もまた生き残ったのね?」

後に頬の痩けた好きな女の子の母親がいた…

すぐにはわからない…

フラッシュバックのように全ての記憶を思い出した…

私が遠足の当日に高熱をだして休んだ翌日…

私の家に彼女…私の友達であり好きな女の子の母親が怒鳴りこんできたのだ…

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「娘から聞いてるのよ!あんたの所の糞ガキが選んだ扉が悪いから娘が死んだのよ!何で娘が死んでいるのに糞ガキは生きてるのよ!死になさいよ!糞ガキも死になさいよ!ああああああああああああああ…」

その顔は明らかに狂っていて直ぐに警察を呼ばれて連れていかれた…

私は高熱で虚ろにはなっていたが襖のすみから彼女の姿をみていたのだ。

私は彼女をみた後に気絶して記憶も失った…

あの日に遠足バスは事故を起こした…

結果は全員死亡…

私以外のクラスメイト・先生も死んだのだ。

この事実に私の心のケアと世間の目もあり引っ越したと言うのが事実だった…

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【貴方は悪い人ですか?良い人ですか?】

扉は10枚…

扉の下には【選びなさい】と書かれている。

ただ…違うのは扉の上に私の人生がダイジェストで流されているモニターがある事。

私の良い事も…悪い事も…私の罪も…全てが流されている。

再び扉は聞いてくる…

【貴方は何?貴方は誰?貴方は…】

壊れたテレビのように…

私が覚悟を決めると…

世界が光に埋め尽くされた…

後に残されていたのは2枚の扉…

前に1枚…後に1枚…

扉な下には【選びなさい】と書かれていて、他の扉は砕け壊れている。

前の扉には【大吉】後の扉には【大凶】との張り紙…

物凄く豪華で綺麗な【大凶】の扉…

不穏な気配を放つ汚く襤褸な【大吉】の扉…

選ばないといけない…

私は犯した罪を…

償う必要があるのかもしれない…

友を殺し…

好きな女の子を殺し…

父を殺し…

多くの死を見守り…

助けの声を無視した…

どんなに酷い事をしても…

その後を全て善行を行えばチャラになった…

光に包まれる前にモニターに写っていた…

女性を好きだった女の子の母親の首を…

扉の世界に来る直前に犯した罪は…

私は扉を開けた…

Concrete
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昔に占い師【棗】シリーズとか親友の話シリーズとか書いてました!
久々に書こうと思いインしたらできなかったので新規で投稿してます。
投稿したお話も微妙かもしれませんが率直な感想をもらえるとなぁ~と思ってます。

この話の主人公は良い人では無く要領の良い人です。
それを念頭においてお読みください。

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