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短編2
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カラオケルーム

友人とカラオケに行き、店員に告げられた番号の部屋に入る。

扉を開けると、部屋には誰もいないのに、寂しげな風景が画面に映された中島みゆきの「タクシードライバー」の空音声が流れていた。

気味が悪くなった俺たちは、店員に頼んで部屋を変えてもらったのだが、その部屋でもタクシードライバーが。

もう諦めてその部屋で歌うことにし、タッチパネルを操作して曲を途中終了させると、音に掻き消されて気がつかなかったが、女の啜り泣く声がしていることに気がつく。

友人を見ても特に反応が無かったので、聞こえているのは俺だけなのか?と思い、あまり怖がらせてもつまらないから、その事に触れずに無視して歌った。

しばらくは耐えたのだが、やはり長時間長居する事に抵抗の出てきた俺は、友人に適当な理由をつけて、残り時間のほとんどを余らせて部屋を退室した。

帰り道、友人が泣き声の事で話をしだしたので、

(あぁ、こいつにも聞こえてたんだな)と思い、そのカラオケ店へは今後行かない事を約束した。

それから、俺の地元では、その時の友人が広めたのか、幽霊の出る曰く付きの場所として、そのカラオケ店が噂になっていたのだが、

あれから数年ぶりに、カラオケ店のあった商店街の路地を通ると、店は潰れてパチンコ屋に変わっていた。

たぶん、パチンコ玉の騒がしい音に掻き消されて、彼女の泣く声を聞く人間もいなくなっただろう。

そう思うと、なんだか物悲しい気持ちになった。

Concrete
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