短編1
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夏の亡霊

煙草を吸いにベランダに出た。

湿気った晩夏のせいだろうかライターが中々つかない。

そんな私の姿を見かねた彼が、旅館が印字されたライターをくれた。

ありがとう。と受け取り、

こんな古い物まだ持ってたんだと笑う。

昔2人で行った避暑地を思い出す。

もう今は営業してないんだっけ、もう一度行きたかったのに。

と彼に笑いかけるがそこには誰もいない。

彼が死んで3年。

毎年お盆の時期になると、彼は小さな忘れ物を贈ってくれる。

Concrete
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