かなり前の話なので思い出しながら書いていきたいと思います。
思い出して辛い事は端折って書くかもしれません。
当時私は高校生で、イジメにあっていました。
詳細は省きますが母親も私が小さい頃病で亡くなり父親からは邪魔扱いされていました。
まあとにかく死んでしまいたい。と言うか、生きていたくないの方が近いですね。
夜になると少しホッとするし、また夜になると朝になるのが怖かったです。
(ここから性的な表現があります。苦手な方は読まないで下さい)
ある日学校が終わり帰っていると私をいじめている女子3人に取り囲まれ近くの公園へ連れて行かれました。
前にその公園でほとんど下着姿のまま木登りをさせられたので またあれか と冷や汗が出てきました。
しかし着くと白くて大きな車が停まっていて私はその中に押し込まれました。
中には男性が3人乗っていて
女子は「じゃあ宜しくね」と手を振り帰ってしまいました。
車は暫く走り、まだ夕方なのに真っ暗な山の中に着きました。
そこでレイプされました。
怖くて声が出ない私に男達は「何故叫ばない?何故喘がない?」とイラついたように怒鳴り、何度も殴られました。
怖くて痛くて 早く終われ早く終われ 神様助けて とずっと願っていました。
大量の写真を撮られ「バラしたら分かるよね?」と言われ、学校の近くで降ろされました。
その時にはもう別に悲しくないし、辛くないし、怖くなかった
ただ下半身と殴られた顔だけが痛かった。
あまりよく覚えてないけど
「あ、死のう」と思ってヨロヨロと近くの踏切へ行き線路上を少し歩いてから線路の上に横になりました。
暫くそのまま待っていたら遠くから電車の光が近づいてきました。
「これで終わるんだ」と幸せすら感じていました。
轢かれる瞬間「お母さん今行くね」と思いました。
気がついたら真っ暗な場所に居ました。
部屋の中の様ですが暗すぎてよく見えません。
頭を何か固い物にぶつけました。グワーンと音がしたので金属の様でした。
電車に轢かれたよね?ここは?
パニックでした。
目がだいぶ慣れてきた頃
部屋の外からパタパタと足音がしました。
そしてガチャリとドアが空き誰かが入ってきました。
逆光で最初は分かりませんでしたが割烹着を着た女の人でした。
20代くらいのすごく可愛い人で
「もう大丈夫だよ」と言いました。
まだよく分かってない私を見て女の人が青ざめました。
どうやら下半身から結構出血していたようで足の内側が赤く染まっていた様です。
女の人は私を抱きしめてくれました。
泣きながら「がんばった 偉かった もう大丈夫」と繰り返し声をかけてくれました。
なんだか安心して私も泣きました。
多分ここは天国かもしれないと思いました。
そのあと「立てる?」と聞かれ手を引っ張られ部屋から出ました。
階段を登りまたドアがあり、また小さな部屋を通って外に出ました。
凄く広い広場の様な場所で、塀に囲まれており白くて大きな建物がありました。
美術館や博物館のような感じです。
私がいたのは広場の中にある小さな建物だった様です。公園のトイレのような感じです。
その小さな建物の近くに三体の胸像が並んで立っていました。
「雄太 長谷川」と書いてありました(長谷部だったかもしれません)。他の二体は覚えていません。
女の人は私を白くて大きな建物に連れていきました。
中には結構人がいるようで、すれ違う度に女の人は「ごきげんよう」と挨拶をしていました。
その後シャワー室でシャワーを借り、暖かいお茶を出してくれました。
「ここは天国ですか?」
と聞くと女の人はふふっと笑って
「違うよ。でも神様はいるよ。ここの神様があなたを助けたいと仰られて、あなたを連れてきたの。」
と言いました。
「何という場所なんですか?」と聞くと
「サルボリ」と言われ
「...?外国ですか?」と言うと
また笑って
「あなたの住んでいた場所の近くだよ。」
と言われました。
「じゃあ私が轢かれる寸前に助けてくれたんですね。私何も覚えていなくて。すみません。ありがとうございます。」とお礼を言うと
「もう少ししたら神様に会いに行こうか。今まだ〇〇中だから(聞き取れなかった)あと30分くらいかな。
あ、私の事はヨシコって呼んでね。」
と言われました。
暫くしてからヨシコさんに連れられ神様?に会いに行きました。
大きな扉の前の左右に甲冑が飾られている、と、思ったら人間が入っていたらしく
ガチャンガチャンと動き扉を開けてくれました。
部屋の中からブワァっとバニラの様なココナッツのような香りがしました。
絵本で見たような赤くて長い絨毯の先に金色と赤の大きな椅子があり、神様はそこに座っていました。
神様の目の前に行くとヨシコさんが膝まづいたので私も慌てて真似をしました。
神様は白髪のお爺さんでずっとニコニコしていて可愛らしい感じの方でした。西洋風の作りの部屋に日本人のお爺さんという違和感が凄かったですけど。
「ヨーーーーーシコ(本当にこう言った)!面倒ご苦労!!」
と大きな声で言ったのでビックリしました。
私は「あ、あの...助けていただきありがとうございました。」
とお礼を言いました。
神様は椅子から降り、ずいっと顔を近づけてきて
「辛かったか。もう大丈夫だよ。暫くここに居なさい。」と言ってくれました。
私が
「いえ、でもご迷惑だと思いますし...」
と言うと
「準備が整うまで30日はかかるだろう。」
と言いました。
訳が分からずポカンとする私をよそに、ヨシコさんが
「神。これからこちらの者に食事を与えますので失礼致します。」
と頭を下げ私を連れて神様の部屋を出ました。
その後食堂に連れていかれテーブルで待つように言われ座っていると、ヨシコさんがパンやローストビーフを持ってきてくれました。
私以外にも2人食事をしている方がいました。
食べている私をヨシコさんは向かい側に座ってニコニコ見ていました。
「あの、ヨシコさん。さっき神様が言っていた
準備って何のことなんですか?」と尋ねると
「あまり詳しくは教えられないんだけど、ここはあなたのいた場所と違う場所なんだよね。同じ場所だけど違う場所。世界線が違うんだよ。異世界とも言うかな?知ってる?」と言われました。
「異世界...。キサラギ駅とかなら読んだことがありますけど。」と言うとヨシコさんは笑って
「そうそう。そんな感じ。あの話は作り話だけどね。あなたが助けを求めた事でこちらの世界に連れて来られたの。
本当に助けが必要な人しか来られないんだって。その選別は神様がしているみたい。
さっき言ってたのはあなたを元の場所に帰す準備ってところかな。」
と言いました。
なんだか頭がフワフワしていて「信じられない」とか「騙されている」という概念が無く
「ふーん。そうなんだ。」と言う感じでした。
それから私はヨシコさんの部屋で何日か過ごしました。
ヨシコさんはお手伝いさんのような感じで、建物の中を掃除したり
同じく割烹着を着た女の人達とお茶をしたりしていて
私も掃除を手伝ったり、お茶に混ぜてもらったりしました。
一度ヨシコさんの買い物に連れて行ってもらいました。
塀の外に出たのはその一度きりで、その時足首に番号がかかれた機械のようなものを付けられました。
塀の外は普通の町で、小さ目のスーパーに行きました。
ヨシコさんと私でカートを2台押し、あれもこれもと、結局4万円分買い物をしました。
あまりの量に2人で持って戻れるかな?と思いましたが、後で配達してくれる様でした。
その後地下にある怪しげな雑貨屋?にも行き、ヨシコさんは大量のお香を買いました。箱に「Heaven」と書いてあり、漂う匂いから神様の部屋で嗅いだあのバニラの香りはこのお香なんだと思いました。
塀の中に戻ると足首の機械も取ってくれました。
何日か経ったある朝、私は物凄い音で飛び起きました。
ラッパやパイプオルガン等の音楽がスピーカーから爆音で流れたのです。
ファンファーレと言うのでしょうか。
既に起きていたヨシコさんが部屋に勢いよく入ってきて
「帰れるよ!」と言いました。
「???」
ヨシコさんは何も分からない私の髪をとかしてから手を引っ張り神様の部屋へ連れていきました。
ヨシコさんが神様の部屋の扉をバーンと押して中に入りました。
最初この部屋を訪れた時には甲冑の2人が外側に開いてくれたので
外側にも内側にも開くんだなーと思いました。
神様は前と同じように椅子に座っていました。会うのは二度目でしたが少し痩せたように思いました。
そして「準備は整った。早く行きなさい。」と言われました。
その時神様がヨシコさんにメモの様な紙を渡しました。
私はもうここに居られないんだと悟り、元に戻る恐怖からか子供の様に大泣きしてしまいました。
ずっとここにいたい。ずっとヨシコさんといたい。
泣きながら
「ヨシコさんみたいにお手伝いさんになりたい。働かせてほしい。」と懇願しましたが
神様から
「それは無理。帰らなければならない。何も怖い事は無い。信じてほしい。」
と言われ
両脇を甲冑の人達に支えられ部屋を出ました。
連れて行かれるというより、優しく、寄り添ってくれるような感じでした。
ヨシコさんも後ろから付いてきてくれました。
そして私が最初にいた小さな建物に着きました。
ヨシコさんが甲冑の方達に
「私が行くからもう大丈夫です。」と言い
甲冑の方達は戻って行きました。
「さ、行こう。」
ヨシコさんに手を引かれて建物に入りました。
来た時はあまり気にしてなかったのですが中は本当に公園のトイレの様で、3つ並んだ1番奥の個室をあけると階段がありました。
階段を降りドアを開けると広い部屋が1つだけありました。
来た時は真っ暗だったのに、その時はオレンジの小さい電気がいくつも光っていました。
部屋にはとても大きな銀色の輪っかがぶら下がっていました。
来た時頭をぶつけたのはこれだなと思いました。
ヨシコさんが
「この輪を抜けると元の世界に戻るよ。
あ、でも心配しないで。もう辛い事は無いからね。神様からのプレゼントだよ。」
と言いました。
「本当に?」涙でぐちゃぐちゃの顔を割烹着の裾で拭いてくれました。
そして「でも1つだけ...」と言い神様から受け取ったメモを私に渡しました。
そこには「加奈子 森山」と書いてありました(仮にです)。
「戻ったらあなたの名前は加奈子になるからね。加奈子 森山。
あ、あっちでは森山 加奈子か。
最初は慣れないかもしれないけど、頑張ってね!」
と言われました。
「時間がないよ。ほらもう行きなさい。」と私の背中を押しました。
「あっ!」
私はヨシコさんや神様にお礼の1つも言えずに戻ってきてしまいました。
気がついたら自分の部屋のベッドの上でした。
暫くボーっとしていると
「加奈子ー!」と叫びながら誰かがドスドスと部屋に近づいて来ました。
ガチャリ
私は部屋に入って来た人を見て悲鳴をあげてしまいました。
それは私が3歳の時に亡くなった母でした。
記憶はないけど母の遺影は毎日のように見ていました。
まるで遺影から飛び出てきたような衝撃でした。
そのあと私は失神して病院に運ばれた様です。
簡単に書きますと
私の名前が森山 加奈子(仮)になっていた。
母が生き返っていた(見た目は亡くなった時のままですが年齢は40歳らしいです。)。
父が人が変わった様に優しくなっていた。
父と母の名前も変わっていた。
私をいじめていた3人の存在が無くなっていた。
木登りをさせられた公園がなくなっていた。
戻ってきた日にちがレイプをされた7日前に戻っていた。
と言う感じです。
最初は頭がおかしくなりそうでカウンセリング等に行かされていました。
今はもうすっかり慣れて幸せに生きています。
神様。ヨシコさん。お茶をしてくれたお手伝いのみなさん。
お礼も言わずに戻ってしまってすみませんでした。その節は本当にありがとうございました。
今は名前が変わってしまいましたが坂上海です。
ヨシコさん。キサラギ駅を知っていましたよね。この話も見られるといいのですが。
神様。私を選んでくれてありがとうございました。最初は慣れずに大変でしたが今は毎日が楽しいです。
今は子供も産まれて幸せです。
神様がくれた命を大切に精一杯行きたいと思います。
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作者関