あまり怖くないかもしれませんが実話です。僕にとっては死ぬほど怖い体験でした。
5年ほど前の話です。
当時付き合ってた彼女とLINE通話をしながら寝るのが毎日の楽しみでした。寝落ち通話ってやつですかね。彼女はイビキや寝言が結構うるさかったのですが、全然嫌ではなく、むしろ愛おしく思っていました。僕は彼女のいびきや寝言を聞きながら寝るのが大好きでした。彼女がほんとに横で寝ているかのように感じられるからです。
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ある日の夜、彼女が高熱を出しました。
僕は「今日は通話するのやめとこうか」と言いましたが、
彼女が「◯◯君と通話しながら寝る方が安心して眠れる」と言っていたため、いつものようにLINE通話をしながら布団に入りました。
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「明日仕事が終わったらご飯でも作りにいくよ」
「え…いいよ。家散らかってるしすっぴんだし、こんなの見られてもし嫌われたら嫌だな…」
「そんなことで嫌いにならんよ」
「それに…移してしまったら悪いし…」
「俺は昔から健康だけが取り柄やから大丈夫」
事実、僕は中学2年生の頃にノロウィルスにかかった以外はほとんど病気になったことがなく、めちゃくちゃ健康でした。
「じゃあ、仕事終わって、もし◯◯君が疲れてなかったら来てもらってもいい?」
「もちろん!」
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そんなこんなで会話をしている内に彼女がいびきをかき始めました。いつものように彼女のいびきを聞きながら、僕もそろそろ夢の世界に旅立とうかという時に異変が起きました。
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shake
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwww」
イヤホンから聞こえてくる耳をつんざくかのような笑い声に一気に目が覚めました。
すぐにイヤホンを外して、しばらく怖すぎてぼーっと天井を眺めていました。めっちゃ怖かったのですが、実は彼女が寝言?で大笑いし出すことは以前にも何度か(といっても年に2~3回ぐらいの頻度で)あったので、楽しい夢でも見てるんだろう程度に考えて再び寝ようとイヤホンを耳につけるとまだ笑い声が聞こえてきます。
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今日はよく笑うな…と思っていると笑い声がやみました。
そして数分後、再び眠りに落ちかけていた時彼女が僕を呼ぶ声が聞こえました。が、様子がおかしい。
shake
「◯◯君www後ろいるよwww危ないよwwwwwwアヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwwwwwww◯◯君wwwwwww後ろ後ろwwwwwwww」
と、異常なほどケタケタ笑いながら後ろが危ないとしきりに言うのです。仰向けで寝ていたので後ろに誰かがいるわけでもありませんが、流石に鳥肌が立ちイヤホンを外しました。それでも時折イヤホンから彼女の笑い声が漏れてきたため、怖すぎてその日は一睡もできませんでした。
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もうこんな時間か…
朝5時頃、仕事に行く準備を始めました。アドレナリン?が出ているのか眠気は全くありませんでした。
外も明るくなってきたので、もう怖くないぞ!とイヤホンをつけてみました。ゴク…ゴク…と水を飲む音が聞こえます。
「おはよう△△。起きてた?体調はどう?」
「おはよ…体調最悪だよ…頭痛い…」
「そっかそっか。今日は1日ゆっくりしとくんやで。」
「ありがとう…」
「じゃあ、そろそろ仕事行くから通話切るね。」
「うん。ありがとね…」
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そしてなんやかんやで仕事が終わりました。寝てなかった影響で疲れがドッと出ましたが、高熱を出して寝込んでいる彼女を放ってはおけず、栄養のありそうな物を買って彼女の家に向かいました。LINEで「今買い物してそっちの家に向かってるよ!起きてる?」と送りましたが既読なし…どうやら寝ているようです。
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彼女の家に到着しました。インターホンを鳴らして起こしてしまっては悪いので合鍵で家に入りました。家の中は真っ暗。留守かな?と思いましたが彼女の靴が玄関にあります。とりあえず電気をつけて靴を脱いで家に上がろうとしたとき
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「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwwwwひひひひひひひひひひwwwwwww」
と笑い声が聞こえてきたので、玄関で立ちすくんでしまいました。
怖すぎてしばらく硬直していましたが、まず寝室まで彼女の様子を見に行きました。起こしてしまっては悪いのでチラッと見ただけですが時折笑い出す点に目を瞑れば気持ち良さそうに寝ています。寝ている時に笑い出すことは今までにも何回かありましたが、こんなに頻繁に笑うのは今回が始めてだったので、怖いな…と思いつつも料理を始めました。
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内心帰りたかったのですが、なんか栄養のあるものを作ってあげないと…とその一心で帰りたい気持ちを抑えつつ、買ってきたネギや生姜、鶏のミンチ肉等を使って鍋料理を作り、完成した鍋料理を冷蔵庫に入れて、ご飯を炊きました。一通り料理を作り終えて溜まっていた洗い物をしていると「◯◯君~」と彼女が僕を呼ぶ声が聞こえました。
ん!起きたかな?と思って
「ごめん、起こしちゃった?」と寝室へ向かうと彼女はいびきをかいて寝ていました。
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あら?寝言かな?と思いキッチンに戻ろうとすると
shake
「後ろ連れていけるねwwwwwwwwwwwwwwwwwアヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャwwwwwwww連れていけるねwwwwwwwwww」
と笑い声が。しかも今までになく激しかったので怖さよりも心配が勝って彼女の近くにかけよりました。
そこで再びゾッとしたのですが、彼女は目を開けながら僕の方をじっと見つめて笑っているのです。笑っていると書きましたが、顔は無表情で身体だけを大きく痙攣させて笑っていました。
「wwwwwヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwww」
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しばらくその場に立ち尽くしていると、少し冷静になり、本当に痙攣しているのでは?と思いました。おでこを触ってみるとかなり熱く、「△△?」「大丈夫?」と呼び掛けてもこっちを見て無表情で笑っているだけでそれ以外の反応は無し。「高熱を出した彼女が呼び掛けても反応しない」と救急車を呼び、救急車が到着するまで彼女の側で手を握っていました。
彼女はただの風邪だったようで、安心しました。
「◯◯君、ありがとう」
「あの時って△△は意識あったの?」
「ううん、無かった。気がついたら病院にいたよ」
「そか…無事で良かった…」
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それからしばらくは平穏な日々が続き、また、毎日のように彼女とLINE通話をしながら過ごしていましたが、ある日彼女が奇妙なことを言い出しました。
「そういえば◯◯君、最近テレビつけっぱなしで寝てるみたいだけど、ちょっとうるさく感じて…寝る前に切ってもらえたら助かる!」
「え、俺ここしばらくテレビつけてないけど…」
「え!?………◯◯君の家、もしかして壁薄かったりする?
「いや、壁薄かったら夜中に通話なんかできひんよ」
「なんかね、最近◯◯君と通話したら、ざーーーーってノイズと話し声みたいなのがずっと聞こえるの。テレビの音だとばかり思ってた。怖過ぎるんだけど。」
作者もぐお