短編2
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この夢を初めて見たのは小学生の頃だったと思います。

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「ただいま」

学校から帰ってきて家に入り、いつも通り靴を脱いで自室の前まで歩いていく。

部屋の前まで行くと、自室の扉が空いている。

閉め忘れたのか、はたまた母親が入ったのか、なんてことを考えているとあることに気が付く。

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部屋の中が暗すぎるのである。

普通、部屋の電気が着いていなくとも廊下からの光が差し込むことで少しは部屋の中の様子が分かるはずだ。

だが、分からない。

まるで黒い壁で塞がれてしまったようだった。

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気がつくと朝を迎えていました。

その時は 変な夢だなぁ、などと思いながらさほど気にとめてはいませんでしたが、この日から時々この夢を見るようになりました。

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そして中学生となったある日

部活動で疲れて帰ってきて、もう今日はご飯を食べてお風呂に入って直ぐに寝てしまおう、などと考えて荷物を自室に置きに行くと、

部屋の扉が空いている。

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・・・母親が勝手に部屋に入ったのだろう

そう思い、部屋の前まで歩いていき、だんだんと自室に近づいていく。

そこには夢で見慣れた部屋の光景が広がっていた。

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その事に気がついた私は、恐怖に慄く訳でも狼狽える訳でもなく、ただただ、部屋を見ていた。

自室に入る2歩手前に立ち止まり、これは通れるのかなぁ なんてことを考えて黒い壁のような空間に手を伸ばした。

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さらっ

何かが手に触れた感覚をおぼえた

これが黒い壁の正体か、何か細い糸が大量に天井部分から垂れ下がっている。なるほど、これだから部屋の中が見えないわけだ。これだけの黒い糸が…

黒い、細い、糸…?

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……あぁ、これは髪の毛だ

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途端、背筋が凍りつき、息が詰まる。

伸ばした手にかかる黒々しい髪の毛を目の前に、身体が動かない。

何故自分の部屋に…?何故髪の毛…?

と、考えながらふと上を見上げると、

髪の毛の間から瞳がこちらを見つめていた

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気が付くと、朝の5時を過ぎていました。

状況から判断するに、どうやら先程までの光景は夢だったようです。

大学生になった今もこの夢を見続けています。

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本当に、あの日見たのは夢だったのでしょうか。

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