短編2
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恥ずかしがりやでね

ある若者はバイクで全国を旅し

土地土地の風景を見て

その土地の人と交流するのが趣味だった

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ある地方に行ったとき

駅前のベンチがある休憩所で

地元のお婆さんと知り合った

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お婆さんは年がいっていたが愛想がよく

若者とも年齢関係なく話が盛り上がって

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「じゃあ今日は家に泊まるかね?」

というお婆さんの提案に若者も喜んで乗った

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お婆さんの家は本当に懐かしい

囲炉裏があってゴザが敷いてあり桐のタンスがあるような

田舎の昔ながらの日本家屋で

若者には物珍しくてキョロキョロと家の中を見回した

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夕方になると

「そろそろ夕飯にしようか」

とお婆さんが囲炉裏を囲んで

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様々な手作りの地元料理を並べてくれた

現代っ子の若者の口には合わないものもあったが

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お婆さんの心遣いが嬉しくて

またお婆さんのこの土地の昔話などで

二人で盛り上がった

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と、

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「お爺ちゃん」

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「お爺ちゃん、お客さんだよ」

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「……?」

 若者には意味がわからない

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「お爺ちゃん夕飯だよお客さんもきてるし」

「こっちきて一緒に食べよう」

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やっと

お婆さんが若者の向かいの

暗い畳の部屋に話しているのに気がつく

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「お爺ちゃん恥ずかしがりやでね

なかなかこっち来ないんだよ」

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お婆さんは若者に笑いかける

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若者には暗い部屋に誰も見えないが

仏壇がおいてあるのが見え

ゾッとする

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「ちょっとはばかりに行ってくるで…」

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「え…?」

お婆さんが席を立ち

向かいの暗闇と二人きりにされると

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若者は生きた心地がしなかった

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