12:↓名無し:23/02/17(金) 16:35:42 ID:q3rx8
狂ってしまったお爺ちゃんの思い出
小学生の頃お盆によく田舎に遊びに行ってた。
田舎には神社があってお祭りの日には黒い握り飯をお供えしていた。
お爺ちゃんには「お供えは絶対につまみ食いしちゃいけないよ」と言われていた。
ある時、お供えをどうしても食べたくなってお爺ちゃんにバレない様に東京に帰る直前にしまいつまみ食いしてしまった。
その日の午後にテレビでお爺ちゃんがお婆ちゃんを包丁で刺殺して家に立て籠り。
制圧しようとした警官も7人程殺害してしまったというニュースが報道された。
『犯人は「どうして食ったんやどうして食ったんや!お供えが食われてしまった!」と意味不明な供述をしており精神鑑定を・・・』
とキャスター淡々と語っている様子に恐怖で愕然となり両親に泣きながら懺悔し相談したが「30年前に祖父は亡くなっておりあんなお爺さん知らない。それにウチは無宗教の共産党だし仏壇も無い。」という言葉が返って来た。
今では赤の他人となってしまったお爺ちゃんの田舎の家を買い取って暮らしている。
両親とも疎遠になった。
生前刑務所に面会に何度か行ったが完全に狂っていてお爺ちゃんとは会話にならなかった。
そしてお爺ちゃんは獄中で亡くなった。
あれから10年経った。
最近では事件の事をネットでググってもヒットしない。
不思議な事に当時の新聞記事も消えてしまっている。
自分がファイルにスクラッチした記事も真っ黒く変色して判読不能になってしまっている。
事件のせいか会話すら無かったご近所さんも親切にしてくれる様になった。
この話を投稿したのは昨日遂にお爺ちゃんが戻って来てくれたからだ。
お供え物のつまみ食いは止めよう。
作者退会会員