中編3
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ユウキくん

僕の同級生のA君から聞いた話。

A君が小学1年生の時に実体験した話とのこと。

A君には5歳離れたお兄さんがいて、よく遊びに連れて行ってくれたらしい。

小学1年生のA君は小学6年生のお兄さんと一緒に近所の空き地でラジコンを走らせて遊んでいた。

お兄さんと2人きりでラジコンを走らせていたら、空き地の外側からA君と同い年くらいの男の子がこちらを見ていた。

A君もお兄さんも知らない子だったけど、お兄さんが「こっち来て一緒にラジコンする?」と声を掛けたら嬉しそうに近付いてきた。

お兄さんも自分のラジコンを貸してあげて、3人で一緒に夕方までに遊んだとのこと。

名前を聞いたら「ユウキだよ」「小学2年生だよ」と教えてくれた。

すぐ3人は仲良くなり、度々空き地に現れるユウキ君と何度か遊んだらしい。

しかし、妙なことに気付く。

学校でユウキ君を見たことがなかったのだ。

「もしかして別の小学校に通ってるのかな」

そう思ってはみたが、A君の地元は田舎で隣の学区までは峠を越えないといけない場所だったので、ユウキ君が1人で峠を超えてきたとは思えなかった。

不思議な関係がしばらく続くも、A君とお兄さんが空き地で遊んでいると必ずユウキ君も後からやってきたらしい。

お兄さんが「ユウキ君はどこの学校なの?」と聞くとユウキ君は「言っても知らないと思う」と答えるだけで、学校名は何故か言わなかった。

夏休みに入り、空き地で遊ぶよりも川で遊ぶ時間が増えてきたことでユウキ君と会わない日々がしばらく続いた日のこと。

A君がお兄さんに「ユウキ君なにしてるかな」と聞くとお兄さんが信じられない言葉を返してきた。

「ユウキ君ってだれ?」

A君は耳を疑った。

むしろからかわれていると思って必死でお兄さんに「ユウキ君って一緒にラジコンやったユウキ君だよ!なに言ってるの?!」と言うが、お兄さんは一貫して「いや、知らないよ」と返すばかり。

A君はお兄さんにまだからかわれていると思い、家に帰った後に母親にも同じ質問をした。

実はユウキ君、空き地で一緒に遊んでいた時に母親がやってきて「スイカを切ったから一緒に食べない?」と声を掛けてきたことがあったのだ。

その後、ユウキ君と3人で家に行って一緒にスイカを食べているのを母親は見ていたからだ。

すると母親もお兄さんと同じように「ユウキ君?そんな友達いた?」と返してくるのだ。

何故かお兄さんと母親からユウキ君の記憶が消えている。A君は怖いというより信じられないという不思議な気持ちになった。それからユウキ君には会っていない。

時が流れてA君も成人した。

成人式の後、家で夕食をしている時に母親から「A、小さい時に遊んだユウキ君って覚えてる?」と急に言われたのだ。

もうユウキ君の存在が記憶から消えかかっていたが、母親の言葉で思い出した。

すると母親が

「あのね、あのユウキ君はね、幽霊なんだよ」

と、言ってきたのだ。

A君は意味が話の整理がつかず、パニック状態で話を聞いていた。

どうやら母親には霊感があるらしく、初めてユウキ君を見た時には霊だと気付いていたようだ。

そしてA君を怖がらせないために、当時は霊だと告げずに知らないフリをしたとのことだった。

お兄さんの記憶からユウキ君が消えたのは謎のままだが、小学1年生の頃に何も知らず幽霊と遊んでいたということになる。

この話をA君は職場の同僚に話した。

すると同僚の方が「じゃあ今でも空き地に行ったらユウキ君いるんじゃない?」と言ってきたそうだ。

さすがにA君は怖くて、それから帰省してもその空き地には近付いていないそうだ。

ただ、ユウキ君はいるのだ。

何故なら帰省した時にお兄さんの保育園年長の子供が妙な事を言っていたからだ。

「ユウキ君ってね、保育園では一緒に遊んだことないんだけど、空き地で遊んでると来るんだよ」と。

それをお兄さんは「そうなんだ〜ユウキ君って友達がいるのか〜」と何も知らない顔で子供と会話していたそうだ。

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