かぐや姫シンドローム

「月が綺麗ですね」

有名な夏目漱石の言葉。

それとは裏腹に月には昔から「かつらおとこ」と呼ばれる妖怪が棲みつき、手招きされた者は寿命が縮むなんて話もある。

江戸川乱歩の作品にも確か、月の妖術の虜になってしまった殺人鬼のお話があったね。

人はどういう訳か昔から月の持つ不思議な魔力に魅了されている。

それは次代に連綿と受け継がれており、もはや人類の故郷は『母なる海』ではなく『月』なのではないかとさえ疑ってしまうほどである。

もし、今手元にスマホがあるならば是非見て欲しい。

SNS上に無数にアップされている月の画像。

世界では今も尚、月に導かれて飛び降りる者が後を絶たない。

「かぐや姫シンドローム」

それは、ひょっとして人類が『母なる月』に還りたがっている何よりの証拠ではないだろうか。

───まぁ、いずれにせよ…

今宵も月が綺麗ですね。