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短編2
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わかんない

脳の発達に障害があるのか「わかんない」が口癖のお姉さんが近所に居た。

通学路で良く会うので挨拶がてら今日ね学校で○○があったんだよみたいな他愛ない世間話を振っても「え?わかんない?」「何それ、どういう意味?」といつも訊き返す。

可哀想な方なんだなと思ってたが後から知った噂によると新興宗教に嵌まっているらしくとんでもない額を貢いでいるとの事だった。

まさに泣きっ面に蜂。

本当に日本は弱者がバカを見る世の中なのだと子供心に思い知らされた。

しかし無情にも事態は更に悪化した。

挨拶する度にお姉さんの白痴化はエスカレートしていったのだ。

こんにちは、と言っても「え?コンニチワってどういう意味?」と言い返された。

流石にここまで来ると発達障害というレベルじゃない。

何らかの認知症を疑って先生や親に相談した。

恐怖はそれが切っ掛けだった。

俺の報告を聞いてお姉さんの様子を見に行った担任と副担の先生が同時に失踪したのだ。

失踪届けを出してから5ヶ月程2人は行方不明だった。

5ヶ月後に発見された時は2人共にホームレス状態でしかも記憶を喪失していた。

自分の名前さえ言えなかったらしく方々を捜索していた家族が偶然2人を発見してDNA鑑定が決め手となったみたい。

漏れ伝わった噂を信じるならば2人は失踪直前に妙な事を口走っていたらしい。

お姉さんに妙な宗教画を見せられてから気分が悪くなったと。

失踪はその直後だったそうだ。

これって絵画に残されたくねくねって事なのかな?

同時期にお姉さんはどこかに引っ越してしまったそうで詳細は分からない。

訊き様が無いと言うか訊いてもお姉さんは何も答えられないと思うよ。

結局責任感じてしまって俺はその学校を転校したんだけどさ。

思い出せないんだ。

担任の先生の名前もお姉さんの名前も。

確かに知っていた筈なのに。

それだけじゃない。

実はもっと物忘れが激しくなってるんだ。

医者に掛かっているが原因不明と言われてる。

ただ一つだけ今でも鮮明に覚えている事がある。

お姉さんの癖だった奇妙なくねくね踊りだ。

Concrete
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