ブアメードの血の実験という言葉はあまり耳覚えがないかもしれませんがその実験内容を知っている人は多いのではないでしょうか?
これは1883年のオランダにおけるブアメードという犯罪者を使った人体実験です。
まず科学者達はブアメードを拘束し、目隠しをしました。
次にブアメードに聞こえるように「人はどの程度血液を失うと死に至るか?」について議論を行い、最終的には30%を失えば死に至るだろうと結論づけました。
そしてブアメードに今から足をメスで切って死ぬまで徐々に出血させる実験を行うと宣告し、メスの刃のない側で足を擦り痛みを与えました。
さらにあらかじめ用意していた滴下装置を使ってバケツに水をポタポタと垂らして、その音をブアメードに聴かせました。
しばらく観察をしながら科学者は10%・・・20%とカウントし、まもなく30%の血液が流れると言ったところ、ブアメードは自分の死が近いと錯覚してショック死してしまいました。
これがブアメードの血という実験のお話です。
人は暗示や錯覚でも死に至るということを示した実験なのですがこれに着目した他の科学者がいたそうです。
この科学者はナチスドイツの軍医で、思い込みは人の想像以上に人の肉体に影響を与える可能性があると仮定し、一種の不死身の軍隊が作れないかと模索したそうです。
数々のグロテスクな実験の中の一つですが彼はブアメードの血の逆を試してみたのです。
まず彼は被験者の軍規違反者を拘束し、目隠しをしました。
次に被験者に聞こえるように他の科学者達と「人はどの程度血液を失うと死に至るか?」について議論を行い、最終的には30%を失えば死に至るだろうと結論づけました。
ここで彼はこの実験の準備の不手際に気づいたフリをして小休止を取りました。
実験室の外で休憩中の科学者達はこの実験は人の暗示を確かめるものであること、ブアメードの血の実験の具体的な手法を出してなんの危険性もないことを被験者にわざと聞こえるように話しました。
休憩から戻ってきた科学者達は厳かに被験者に今から足をメスで切って死ぬまで徐々に出血させる実験を行うと宣告し、メスで足を切り、血液がバケツにポタポタと滴るようにしました。
しばらく観察をしながら科学者は被験者から失われた血液量をカウントしていきました。
なんと被験者は30%を超えても口元はニヤニヤしており、50%もの血液を失っても顔色は悪いものの余裕の笑みを浮かべておりました。
実験の結果に満足した科学者は被験者の拘束と目隠しを解いてやりました。
だるそうに上体を起こした被験者は今も血が垂れている足と大量の血液が溜まったバケツを目にし、一言「違う」と小さく呟いて絶命したそうです。
作者礎吽亭雁鵜