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中編7
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【お節介怪談】姦姦蛇螺

【注意】

こちらは自分の体験談やオリジナル作品ではございません。

※全文は怖話公式アカウントさんも公開しています!

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洒落怖を始め、インターネット上には様々な興味深い怪談や不思議な話がありますが、長編も多く、

「あらすじで知りたいんだけどな…」

「全部原文で読むのは勇気が…」

などといった人もいるのではないかと思い

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お節介にも\結末までネタバレで/

できるだけ手軽に読めるよう心掛けお送りしたいと思います乁(-ω-乁)

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個人的な感想や考察は解説欄に記載致します!

それではどうぞ…

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【形式】

体験談

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【投稿時期】

2009年頃

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【登場人物】

オレ→投稿者。体験当時は中三。小中学生の頃荒れていた。友人のA・Bと遊び回り、家族には見放されていた。

A→オレの友達。オレと同じく家族に見放されていた。

B→オレの友達。親との喧嘩がきっかけで、オレとAを誘い、立ち入り禁止の区域へ踏み込む。

Bの母→厳しくもBを見捨てる事はない母親。

Bの父→Bが母を傷付けた事から、立ち入り禁止の区域へ言ってしまえと発言する。

おっさん→柄が悪い見た目のおっさんで、姦姦蛇螺の事情を知っている。神職なのか、お祓いをするような家柄らしい(原文では「特殊な家柄」「うちみたいな家柄のもんが」といった表現がされている)。

葵→おっさんの姪で、オレより少し年上と見られる巫女姿の少女。同じく姦姦蛇螺について知っている。名前は「あおいかんじょ」か何かオレが聞き取れなかった為、便宜上「葵」と表記された。

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オレ達が中三のある日、Bが母親を精神的に酷く傷付けたそう。

(詳細は不明だが、髪も服もボロボロという描写がある為、いくらか暴力もあったか?)

母親の様子を見たBの父親は「親としてではなく一人の人間として、お前が死んでも構わない」と前置きして、怖い物なんて無いと豪語するなら地元の小さな山の森にある、立ち入り禁止区域で暴れて来いと言った。

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その区域は特定の日に巫女姿の人達が集まっている事は皆認識しているものの、何故立ち入り禁止なのかほとんど誰も知らず、カルト教団の洗脳施設があるといった噂が囁かれていたのだが、深夜1時頃、オレとAは面白半分でBに同行しそこへ向かう事にした。

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立ち入り禁止区域には森の外から40分近く歩かないと着かないのだが、3人は5分もしないうちに何者かが歩いているような音がしている事に気付いた。

動物だろうと思いそのまま進んでいたが、森に入ってから20分程経ったところで、自分達が進めば何者かも動き(歩く音がする)、止まれば何者かも止まる事に気付いた。

しかし着けられてる気配は無い。

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と、音よりも衝撃を受けたのが、ついに辿り着いた立ち入り禁止区域。

高さ2m程ある歪な柵に囲まれた区域で、柵には太い縄や有刺鉄線が巻かれており、紙垂のような紙、大小様々な鈴が括られていて不気味だった。

オレ達がいる柵の反対側の柵までは歩いて30分程と、広い区域である。

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柵内に侵入し反対側の柵が見えて来る程度まで進むと、6本の柱とそれを繋ぐ縄で六角形に囲われた真ん中にある、賽銭箱のような物に遭遇した。

箱は様々な家紋が描かれ錆付いていた。

何かヤバいと感じたオレ達だったが、Bは強気で箱を開けた。

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中には、

四隅にペットボトルのような形状の壺

中央に先端が赤く塗られた爪楊枝のような小さな棒が6本あったのだが、棒は

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このような形で配置されていた。

オレとAは箱や壺に少し触れてみた程度だが、Bはそれらをしっかり探り、不意に爪楊枝のような物の配置をズラした。

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その瞬間、柵に張り巡らされた鈴が激しく鳴り、懐中電灯で照らされた先に半分だけひょっこりと顔だけを見せた女が、口元だけニタ~ッと笑っているのが見えた。

3人は反射的に元来た方向へ走り、必死に柵の外へ出たところで、裸の上半身に左右3本ずつの腕がある先程の女が蜘蛛のように柵を伝い向かって来た。

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必死に走って逃げると、森の外には地元の人が集まっており、集会所に連れて行かれた。

集会所には3人の家族がそれぞれ来ていて、Bの母親が「私のせいで」と必死に謝った。

その場では説明もなくそれぞれ帰宅となったが…

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昼過ぎにBの母から電話がかかって来て、柵の中に行っただけではないのか?昨夜からBの様子がおかしいと言う。

オレがAと共にB宅へ訪ねると、Bは手足が痛いと叫びのたうち回っていた。

Bの母は昨日あそこで何があったのか聞かせてくれと言う。

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Bの母が確認したいのは「何を見たか」ではなく「何をしたか」のようだが、オレとAは追いかけてきた女が衝撃的で箱を開けたという事くらいしかなかなか思い出せなかった。

そしてしばらく考え、Bだけが楊枝のような棒に触れた事を思い出し伝えた。

するとBの母は大慌てでどこかへ電話をして、説明は無しに新幹線で数時間と車で数十分という遠い村の古い立派なお屋敷にオレとAを連れて行った。

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ヤクザのような柄の悪いおっさんと巫女姿の葵に迎えられ、何があったか詳しく説明させられたのだが、楊枝のような棒の件でおっさんがすごい剣幕で「あれを動かしたのか」と迫ってきた。

葵は「触れたかどうかではなく、形を崩したかが重要」と言う。

オレ達がBが崩したと言うと、おっさんは「息子さんは助からない」とBの母に伝えた。

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唖然とするオレ達を見て、おっさんと葵はオレ達が見た物について説明を始めた。

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あの女は

俗称を「生離蛇螺(なりじゃら)」もしくは「生離唾螺(なりだら)」と言い、

古くは「姦姦蛇螺(かんかんじゃら)」もしくは「姦姦唾螺(かんかんだら)」と言って、年代や家柄などで様々な呼び方があるそう。

今では一般人には「だら」と呼ぶ人が多く、おっさん達のような家柄の人は「かんかんだら」と呼んでいるとの事。

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遠い昔、人喰い大蛇に困っていたある村で、神の子としての力を受け継ぐ家柄の、中でも力が強い巫女が大蛇に立ち向かったのだが下半身を食われてしまった。

村人達はこれ以上巫女に勝ち目はないと見て、大蛇に「巫女を生贄に捧げるので村を襲わないで欲しい」と願い出た。大蛇は了承し、村人達は食べやすいよう巫女の腕を切り落とした。

実はこの流れは巫女の家族の計画の内であった。

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これを機に大蛇は村を襲わなくなったのだが、その後、巫女の家族6人を含む村人18人が、いずれも片腕を失った状態で次々と変死した。

生き残った村人は4人だったという。

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あの箱や箱を囲む柱と縄はこの言い伝えの巫女の供養の為の物だと言うが、いつから始まりどこから伝わったか謎で、一定期間毎に場所を移され管理者はその度に違うらしい。

箱に無数に描かれた家紋は、供養の管理をする各家の物だそう。

一般の人には詳細は知らされず、曰くがある物だと言う事と万一何かあった際の緊急連絡先として管理者の連絡先が知らされるそうで、今はおっさん達の家系の管理ではないが、緊急事態で相談に乗る事になったとか。

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箱を囲む6本の柱と6本の縄は変死した村人達を、四隅に置かれた壺は生き残った村人4人を、6本の楊枝のような棒は巫女の家族を表しており、その棒が形成している

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この形が、亡くなった巫女を表していると言う。

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おっさんの家系には”かんかんだら”を祓った人が何人かいたが、いずれも2・3年以内に亡くなったと言い、非常に難しい存在だそう。

しかし、Bの母がBの助けを懇願する中、おっさんはオレ達に「あいつの下半身を見たならあの(棒の)形の意味が分かるはず」と言ったのだが…

オレ達が見たのは下半身がない6本腕の女であった。

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本当に下半身を見ていないのかと確認したおっさんは、見ていないならBは助かるかもしれないと言った。

禁忌である行動は、棒の形を崩す事と巫女の全身を見る事で、全身の状態で現れればそれは”かんかんだら”であり、下半身が無い状態は”巫女”として現れた姿だと言う。

葵曰く、巫女にBを殺す意思は無くお遊びであったのではないかとの事で、Bはおっさんの所でしばらく預かられる事になった。

この家の決まりにより、オレ達はもうBに会う事はなく、更生してどこかでうまくやっているらしいとだけ聞いている。

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オレが後に聞いた事は

森に行った際に音がしたのは、”かんかんだら”が柵内に放し飼いのようにされていて自由に動ける為。

特定の日に集まる巫女達は”おっさん達のような家柄”の人達(その時に管理者を務めている家)で、山や森の神である大蛇や神のように祀った”かんかんだら”に神楽を捧げたりする集まりをしていた。

供養の区域は何らかの法則で事細かに場所を指定し、”かんかんだら”は区域外には出られないものの、オレ達が見たように柵の外側に張り付いて現れる事はあると言う。

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オレ達がこの体験をして一年ほど経ち柵が撤去された事から、今は別の場所に移されたのだろう…

Concrete
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