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24年04月怖話アワード受賞作品
短編2
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トンネルの囁き

夏休みのある日、A君、B君、C君の大学生三人がAの家に集まり、あるDVDを観賞することになった。

それは「霧風トンネル」と黒いサインペンで記された、不穏な雰囲気を纏う一枚のディスクだった。

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Aがアルバイト先の居酒屋で見つけたもので、しばらく放置されていた忘れ物だ。

保管期限が過ぎても持ち主は現れず、店長の了解を得てAが持ち帰ったのだった。

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「これ、オバケとか映ってるんじゃないの?w」Aが半ば冗談交じりに言うと、Bは「いや、俺はエロいやつだと思うw」とニヤニヤしながら返した。

Cが「俺、実は霊感あるからそういうの嫌なんだけど」と言ったが、AとBはそれを聞き「マジ?なら尚更観てもらわないとなw」と、かえって盛り上がっていた。

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早速、DVDをパソコンに挿入し接続されたテレビに映し出された映像。

それは、撮影者が無言でトンネル内を歩く様子を捉えたものだった。

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AとBはウキウキした表情で「これはオバケ系だな!」と盛り上がっているが、霊感があるCは静かに怯えたような表情で画面を凝視している。

トンネル内を時々振り返ったりしながら進む撮影者。

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トンネルの壁面には無数のシミがついており、心なしかそれが人の顔のようにも見えてくる。

トンネルの中を半分程進んだ頃、撮影者は立ち止まり、何気なく自身の足元を映した。

その時、血の気の無い青白い手のようなものが撮影者の足首を掴んでいるように見えた。

撮影者はそれに気づいていないようで、また前を向き歩き始め、トンネルから出ると最後にトンネルの出口を遠目で映し映像は終了した。

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再生が終わり、AとBは「手、写ってたよな!」「マジでやべぇ、俺ら呪われるかもなw」などと騒いだ。

しかし、その時、黙っていたCが「えっ...」と口を開いた。

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「この映像の怖いところって、ずっとアップで女が笑いながら

『イクヨ、イクヨ、イクヨ、イクヨ…』

って言ってるところじゃないの...」

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AとBは唖然とし、部屋を沈黙が支配した。

Aは引きつった顔で笑いながら「女?wちょw Cお前そういうのいいってw」

と言うもCは依然怯えた表情を浮かべている。

その時不意に三人の耳に生暖かい息が掛った。

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「キタヨ」

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@キンドリル
コメントありがとうございます。
楽しんで頂けたら幸いです。

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