中編3
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心霊体験の話・お守り

これは私の知り合い霊子(仮名)から聞いた話です。

昔から霊が見えるという霊子です。

本当かどうかは私にはわかりません。

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今から20年ほど前、高校生の霊子は田舎のイオンにあるアイスクリームのサーティーワンでバイトをしていました。

1年ほど勤め続けると、霊子はストック用の冷凍庫の在庫チェックを行うことになりました。

チェックリストを持ち冷凍庫に入りました。始めの3回くらいは何事もなくチェックを行いました。

しかし、次のチェックで見えてしまったのです。

冷凍庫に入ると、霊がいました。50代くらいに見えるおじさんで、座り込んでいるのが見えたのです。

霊子は昔から霊が見えていましたが、その経験上、霊が見えることが霊に気づかれると付いてきたりして面倒なため、ノーリアクションでいました。

でもその霊は話しかけてきたのです。自分は昔この場所で殺された。その時お守りをなくしてしまい、探していると。でも見つからないので霊子に探してほしいと言うのです。

無視して冷凍庫を出ましたが、在庫チェックに行くたびにしつこく頼んでくるので、しかたなく探すことにしました。

まずは図書館の新聞資料で殺人事件を探してみました。イオンのある場所の近くで探しましたが、時期が分からないのでいくつかの遺体発見などの記事が見つかりましたが、昭和29年の記事に疑わしいものが見つかりました。

その記事には被害者の名前もありました。古い話なので無理だろうと思いながらも警察の遺失物係に亡くなったお爺ちゃんの形見を探しているふりをして問い合わせをしたりしましたが、ありません。

しかし、何か資料的な価値がある場合、県の文化財係で古いものを保管してある場合があると聞きました。

そこで県庁に電話で問い合わせると、該当するものがあるかは電話で回答は出来ないがその可能性もあるので来庁するように言われました。

霊子はアルバイトが休みの日に、県庁まで出かけ、古い資料を閲覧しました。

その中にはお守りはありませんでしたがボロボロになったメモ用紙があり、その中にその被害者の名前があったのです。

それを見たとき体がぞわぞわするのを感じました。その霊が後ろにいました。そしてその紙だというのです。

霊子はその紙だと申告をして保管費用26,000円を支払い、返却を行ってもらいました。

霊子は思ってもいない高額が掛かったのでその霊に「こんなことのために一生懸命バイトをしているわけじゃない」と文句を言ったそうです。

その紙をポケットに仕舞い、家へ帰りました。

家に帰りつくと確かにポケットにしまったはずのその紙は無くなっていました。

翌日アルバイトに行くと、イオンの通路に茶封筒が落ちているのを拾いました。

事務所に届けると中身を確認する事になったのですが、現金3万円が入っていました。その落し物は翌日まで保管されましたが届け出が無いので警察に移されました。

その後警察から連絡があり、落とし主が現れないとのことで霊子の物になりました。

以後、その霊は冷凍庫に行っても現れませんでした。

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