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長編12
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裏かくれんぼ (前編)

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これはジムで知り合った清水さんと、山下さんと言う2人組の男性から聞かせてもらった話で、後に少し繋がりがある話になります。

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先ずは清水さんから聞いた話です。

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この2人は大学時代からの友人で年齢は見た感じ20代後半から30代前半、社会人になっても付き合いがあり定期的に遊んでいるそうです。

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事の始まりは2人が大学1年生の時の事です。

この2人以外にもあと2人仲の良い人がいて、いつも4人でつるんで遊んでいました。

(ちなみに自分はこの2人とは会っていませんが、今でも付き合いがあり定期的に会っているみたいです。あとこの2人はA君、B君とします。)

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その年の夏休み前にA君の方から「夏と言えばキャンプでしょ」と言う案が出て4人でキャンプに出かけることになりました。

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清水さんは、キャンプと言えば学校の行事や町内会の行事でしかやった事がなくて、友人とやるキャンプをとても楽しみにしていました。

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当時になり、みんなで買い出し行ったり、バーベキューしたりして異様に盛り上がって楽しいキャンプを過ごしました。

さらに盛り上がったのはその夜の事でした。

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夜はテントではなく、ペンションかロッジみたいな山小屋で泊まったそうで、そこで行われた怪談会が異様に楽しかったとの事でした。

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この発案もA君だったみたいで「キャンプの夜と言えば怪談でしょ!」的な軽いノリで行われました。

山小屋とはいえ人気がない山の中、音も外でなく虫の声が聞こえる程度、さらに電気を消して懐中電灯の灯りでやる怪談はとても雰囲気抜群で怖く、異様に盛り上がりました。

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あまりにも楽しかったのでまた来年もキャンプをやろうと決めてその年のキャンプは終わりました。

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大学2年目の夏もまたA君の方から「今年キャンプやるぞ!」と号令がかかり、その年の夏休みも昼はキャンプ、夜は怪談会を行いました。

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この年の怪談会は去年以上に盛り上がったみたいなんですが、そんな中清水さんは「しまった!」的な感じになってしまいました。

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それと言うのも回りの友人がみんなガチなんです。

この日ためにネタ帳を作ってくる人もいたり、話もまるで練習してきたかのように上手なんです。

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清水さんは怪談は好きなんですが、基本的に聞いたり読んだりする専門で、霊感とかもないので体験は全くなく、怪談会で披露するネタ自体がそもそも少なかったそうです。

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それでも少しはあった怪談ネタも一年目でほとんど使ってしまった状態でした。

一応今日の怪談会用にネットで拾った簡単なネタでやり過ごそと、軽い気持ちで挑んだため練習とかもしてこなかったそうです。

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そんな状態だったので、回りの友人のガチ振りに焦ってしまい自分も上手く話そうとするのですが時すでに遅く「えーと…、それで…、」みたいな単語が多くなってしまい、さらに焦ったのか、話も途中軽く飛んでしまったりなど全く上手く話せませんでした。

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それに対して回りの友人は何も不満は言わず、逆に話のフォローとかしてくれたんですが、清水さん的にはその優しさが痛い…。

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そんな状態のまま怪談会は盛り上がってるのに、清水さんはその流れに乗り切らず終わってしまい、来年はちゃんとネタ探して良いとこ見せてやろうと心に誓い二年目のキャンプ、怪談会は終わりました。

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そして3年目!

去年のリベンジと言う熱い思いを抱え、いつも幹事をしてくれてるA君に「今年もやるの?」と聞くと「もちろん!」と言う返事が返ってきたので、早速清水さんは友人、知人に「なんか怖い話ない?」「怪談持ってない?」と聞いて回りました。

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ところが………、見つからない…。

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正確に言うとちゃんとお話になるようなものがなくて、例えば中学、高校生の時に金縛りあったとか、「心霊スポットに行った事はあるよ」と言う話を聞いて「何かあったの?」と聞いても「なんか足音みたいなものは聞こえたけど…」とか「なんか声みたいなものは聞こえたけど…」など。

それって家鳴りか、動物の足音や声だよなぁ…?みたいな話しか聞けなかったそうです。

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それでも頑張って聞き込みをしていると、何とか2個くらいはちゃんとした怪談を見つけ内心少しホッ!とはしたのですが、清水さん的に「流石に2個だけじゃなぁ…」って感じだったみたいです。

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ただ、これ以上聞き込みをしても見つからないなぁと思い、どうしようかと考えました。

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怪談会には最低5話、予備で1話くらいは持って行きたいと思っていたので、とりあえず一番手っ取り早いのは怖い話のサイトから見つけるのが良いかなぁ!と思ったので、サイトから3話ほど見繕いました。

ただ、あんまりサイトから使うと他の人とかぶるの嫌だなぁとか、「それ知ってる!」とか言われるの嫌だなぁと思ったので、最後の1話はいっそ自分のオリジナルの創作怪談を作ってみようと考えました。

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先ず、怪談を創作するにあたって、あくまでも創作なのでリアルな感じよりも都市伝説的な、あるのか?ないのか?的な話にしようと考えたそうです。

そして先ず、1番最初に決めたのがタイトルでした。

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清水さんは普段から怖い話は聞いていて、その中で「裏○○」や「闇○○」みたいなタイトルがちょっとカッコいいと感じていたので、是非自分の創作怪談にもつけたいと思いました。

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そこで何かネタがないかなぁ?と探していたところ、あるYouTuberさんが一人かくれんぼをやっているのを見てたらピン!とくるものがあったとの事で「一人かくれんぼって確か、こっくりさんみたいに不特定の幽霊を呼び出す降霊術だから、これを特定の人を呼び出す儀式にしたら面白いんじゃないかなぁ」と考えたそうです。

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それで出来上がったタイトルが「裏かくれんぼ」でした。

「闇かくれんぼ」でも良かったみたいなんですが、清水さん的に言葉の響きが「裏かくれんぼ」の方がしっくりきそうで、あと後付けなんですが「裏技の一人かくれんぼ」って言う意味にもなるなぁと、割りと軽い気持ちでタイトルを決めたとの事でした。

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タイトルも決まり、次は裏かくれんぼの儀式のやり方を考えました。

基本的にはヒトリかくれんぼと同じやり方で、所々に変更点を加えていきました。

以下が変更点になります。

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1、時間は丑の刻(1時~3時)の間に行う事。

2、一人かくれんぼでは、ぬいぐるみに自分の爪や髪をいれるのだが、そこは呼び出す人(亡くなった人)の遺髪や遺骨(あと持っている人は少なくと思うけど爪とかも可)を入れる。

入れる量は髪の毛1本でも、遺骨を少しでも大丈夫だが、量を増やせば成功率や会える時の時間が変わってくる。

3、ぬいぐるみに名前をつける時は呼び出す人のフルネームで名前をつける事。

その際に呼び出す人の顔を思い出しながら唱えると来る可能が上がる。

4、一人かくれんぼではぬいぐるみを湯船に浸けるのだが、この儀式ではぬいぐるみは湯船に浸けなくても良い。

5、テレビをつける時は必ず音量は消す。

6、押入れに入り実際に現象が起こった場合、その現象が終わるまでけして押入れのドアを開けてはならない。

死者が来ている間は死者の世界と繋がってる状態で、押入れのドアはその境界線になっているのでもし開ければ連れていかれてしまう。

7、儀式を終えたあとは出来るだけ早くぬいぐるみを燃す(出来れば使った直後、遅くても次の日の丑の刻までに燃やす)。

そして儀式に使ったぬいぐるみは絶対に2度使ってはいけない。

死者との結びつきを燃やす事により一旦立ちきるのと、使ったぬいぐるみを放置しておくと他の死者が入り込んだり、死者との結びつきが強くなり儀式を行ったものもあの世に持っていかれてしまう可能性がある。

と言うルールを追加しました。

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ここまで決めてよいよ本題の創作の怪談の製作に入りました。

そして出来上がったのが次の怪談になります。

(これから話す清水さんが創作した怪談なんですが、清水さんからは割りとざっくりとしか聞いていないので、清水さんの話を元に多分こんな感じだったんじゃないかなぁ?と思って自分が作った怪談になるのでご了承ください)

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これはある男性の話。

仮にこの男性の名前をAさんとします。

このAさん、早くに奥様を亡くされ男手一人で娘さんを大事に育てていました。

その娘さんも小学生6年生になり、来年中学生になることを楽しみにしていた矢先事故で急死されてしまいました。

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Aさんはその事が悲しくとても立ち直れない感じでしたが、会社の友人の支えもあり何とか仕事に復帰出来たそうです。

ただ、以前のような明るい感じではなく、いつも暗い表情で口数も少なくなり、会社の人達は心配していました。

そんな時Aさんは、もう一度娘さんに会いたいと言う気持ちが高まり、何か方法がないかと探しました。

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そしていろいろやってはみるものの、会えません。

時には高額のお金を払って占い師、霊能力師みたいな方にお願いしてみても怪しい結果にしかならず。

それでも諦めずに探していると、とある小さいオカルトサイトの中に「裏かくれんぼ」と言う方法を見つけました。

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やり方をメモしてさっそくAさんは行いました。

一回目…、ダメ。二回目…、ダメ。三回、四回試すもダメ。

諦めようと思った五回目の時に娘さんが現れました。

本当にうれしく涙ながらに娘さんと話ました。

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あまりのうれしさから、次の日にその事を会社の人達に話したのですが、会社の人達は苦笑いする人、冷ややかな態度をする人だけでした。

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会社の人達は「よいよ、Aさんおかしくなってしまったかぁ!」と思っていたのですが、その中で一人の友人の男性がAさんをいさめたそうです。

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「あんたの言うことが本当なのか?、幻覚なのか分からないけど、こんな事はもうやってはいけないよ。

俺はこういう事は分からないけど、きっと死者を呼び出す儀式なんてきっと危ない事だし、娘さんも安らかに寝てられないじゃないか!

娘さんのためにもしっかり生きていかないとダメだよ」とAさんに伝えました。

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それを聞いてAさんは少し考えた感じで「そうだよなぁ……。もうやらないよぉ。

これからは娘のためにも頑張っていくと」と答えました。

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それからAさんは徐々にですが元気に仕事をするようになり、会社の人達とも以前のように話すようになっていき、会社の人達も安心していきました。

そしてしばらく経った頃、またAさんの様子が変わっていきました。

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今度は娘さんが亡くなった時の様に落ち込んでいるって感じではなくて、何か考え込む感じ。

しかも何かブツブツと独り言を言っている状態です。

それを見て、Aさんをいさめた友人さんが「どうしたの?」と声をかけようとAさんに近づいた時にAさんの呟いていた声が聞こえてきました。

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「もう骨がない…、どうしよう…、骨がない…」

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それを聞いた友人さんはもしかして!と思いAさんを問い詰めました。

Aさんの話では実はまだあの儀式は定期的におこなっていて娘と会っている。

そしてもっと会いたい、もっと長い時間会いたいと言う気持ちが日に日に膨らんでいき、最初は娘が亡くなった時にとってあった遺髪を使い、そしてそれも量が増えていったために無くなってしまい、お墓から娘の骨壺を持ってきてそれを使っていたのだが、それもあと儀式一回分の量しか残っていないことを友人さんに話ました。

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それを聞いた友人さんは寒気の様なものを感じましたが、そんな寒気を振り払う様にAさんに強い口調で言いました。

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「あんたいい加減にしな!娘さんの骨が無くなってしまったらお墓参りに行った時に何にお参りするんだ。少しでも骨が残っているならすぐにそれをお墓に返して娘さんが安らかに眠れる様にしてあげなきゃダメじゃないか!」と伝えました。

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それを聞いたAさんは「分かった……」とつぶやきました。

そしてそれから1週間後Aさんは会社を無断欠勤をしました、そして次の日も会社に来ませんでした。

嫌な予感がした友人さんは、会社の上司と一緒にAさんの家に行きました。

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Aさんの家に着いてインターフォンを鳴らすも出ず、玄関のノブを回すと玄関が開いたので、「Aさんいるー!」「Aさん大丈夫!入るよぉ!」などの言葉を言いながら家の中に入って行きました。

そしてとある部屋の押し入れにAさんはいました。

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亡くなっている状態で。

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しかもその亡くなり方がかなり変で、押し入れのドアは開いていて、その中のAさんはまるで恐怖にひきつったものすごい顔をしていて体は何かもがいてる様な状態で亡くなってました。

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すぐに警察を呼び待っている間、友人さんは確かめたい事があったのでさんの家の中を見て回りました。

そして仏間にそれはありました…。

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骨壺です。

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蓋を開けて中身を確認したところ、中身は全くありません。

それこそわずかな灰ですらありませんでした。

以前Aさんを問い詰めた時に裏かくれんぼのやり方を聞いていた友人さんは、最後の骨を使って儀式をして、押し入れのドアを開けて娘さんに連れていかれてしまったんだなぁと思いました。

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その後、Aさんの葬儀も終わり少し経った時に友人さんはいつも行くバーで飲んでいました。

そしてそこのマスターにこの話をしたところマスターは「うーん?」と首を傾げたそうです。

「どうしたの?」と友人が聞いたところマスターがこんな事を言いました。

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「Aさんってきっと亡くなる覚悟を決めて儀式をして押し入れのドアを開けたと思うんですよぉ。

ただ、そこで娘さんに会えたのならそんな恐怖でひきつったような亡くなり方するんですかねぇ?

自分の考えなんですが、Aさんは1回使ったぬいぐるみを処分しないで2回使ってしまったんじゃないですかねぇ?

そして娘さんじゃないものに連れていってしまったんじゃないのかなぁ…。

だから恐怖にひきつった顔で亡くなっていたんじゃないですかねぇ?」と言いました。

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それを聞いてAさんは「あぁ!確かにそうかも知れないね。」とマスターに答えました。

と言う様な話が出来上がりました。

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清水さん的に「けっこう良い感じに出来たなぁ」と思ったらしく、じゃあこれは怪談会で一番盛り上がった時に話そうと決めました。

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そして3年目のキャンプの日がきました。

日中は以前と同様にワイワイと楽しく過ごし、夜になり怪談会が始まりました。

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会も進んであと1話づつ話そうか!と言う時に「待ってました!」と思い、自分が作った創作怪談を披露しました。

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喋りも、雰囲気もバッチリで会心の語りだったそうです。

そして回りの反応は…、とても好評でした。

「何それ!」「初めて聞いた!」など、みんな喜んでくれていました。

そしてひとしきり盛り上がったタイミングで「実はーーぁ…。」とネタばらしをしたそうです。

最初こそ「何だよ~ぉ」とか「何だぁ、作った話かぁ!」とか言われましたが、「でもけっこう良かったよ」「面白かった」などや、「ここは、こうした方がもっと良かったんじゃないか?」「こういう設定も入れた方が面白いんじゃないか?」とかで盛り上がり、清水さんは見事去年のリベンジを果たして怪談会は終わりました。

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そして大学最後の夏なんですが、この年は4人ともいろいろと予定が入ってしまい、結局この年はキャンプは出来ずに夏が終わってしまい、その後4人は就職先も見つかり大学も無事に卒業したそうです。

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社会人になってからも4人とも住んでる場所が近かったので交流は続いていて、コロナとかもあって少し控えていた期間もありましたが定期的に飲み会やったり遊んだりしてたみたいです。

そして社会人になってから2年が過ぎて3年目に入ろうかと言う時のある土曜日の朝に、突然メンバーの山下さんから電話がありました。

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その日は清水さん、仕事だったので出かける準備をしてる最中の電話でした。

電話に出て「山下どうした?」と聞いたところ山下さんは「今日暇?これから会えない?」と言ってきました。

前半終わり

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