【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

夏の日の話

1週間ほど前の話です。息子2人とお昼寝をしていたのですが、子供たちの方が先に目を覚ましたようで、リビングの方から声が聞こえてきました。私も目が覚めてリビングへ行ってみると、息子2人が見知らぬ5歳くらいの子と庭で遊んでいました。その子は髪を結んでいて、青い甚平を着ていました。「こんにちは」と声をかけると、その子も「こんにちは」と返してくれました。

しばらく眺めていると、息子たちの動きが少し変だと気付きました。まるで月面を歩いているかのように、ぴょんぴょんと飛び跳ねているのです。何かおかしいと感じ、大きな声で息子たちを呼びました。すると息子たちと一緒に、その甚平を着た子もこちらに近づいてきました。

その瞬間、得体の知れない恐怖を感じましたが、「そのふわふわしてるの、どうしたの?大丈夫?」と優しく声をかけました。恐怖で声や体が震えそうになるのを必死に抑えました。しかし、長男はそんな私の不安に気付くことなく、「大丈夫!この子がやってくれたの!見て!」と元気に教えてくれました。

すると、その甚平の子が、私の目の前で大きな鍋をかき混ぜるようなジェスチャーを始めました。何が起きているのかわからず、2〜3秒間その様子を見ていると、その子は大きく息を吐きました。すると、私の右足が急に軽くなり、バランスを崩して左に倒れてしまいました。息子たちも甚平の子も大笑いしていました。

私は何が起きたのか混乱しつつ、その子に「すごいね、おじさん転んじゃった。パパとママは一緒にいるの?」とできるだけ冷静に聞きました。我が家はぽつんと一軒家で、周りには私の所有する森と田んぼ、畑しかありません。

しかし、甚平の子は私の問いには答えず、ニコニコと笑って「ここにいて」と息子たちに言い残し、田んぼの土手の方へ走り去ってしまいました。息子たちと一緒にその子の行く先を見ていると、ムーミンに出てくる白い棒のようなものが現れました。甚平の子がその前で再び鍋を混ぜるようなジェスチャーをすると、地面がもぞもぞと盛り上がり、玉ねぎ型の大きな物体が現れて浮かび上がり、風船のように空へ飛んでいきました。それを見て、息子たちは大喜びしていました。

物体が飛び去るのを見送った後、甚平の子は「まるくんたち、また遊ぼうね!」と言って大きく手を振りながら、田んぼの先にある森の中へと消えていきました。

私は「これは人ではない何かだったのだろう」と感じましたが、息子たちには「田んぼの先には行ってはいけない」と常に教えていたため、「大丈夫かどうか、パパが見てくるね」と伝えて森に行ってみました。そこには、大きな丸い穴が残っていましたが、森には足跡ひとつありませんでした。

家に戻り、子どもたちに「神様の使いだったのかな?だから大丈夫。でも、2人はパパかママと一緒じゃないと森に近付いちゃダメだよ」と言い聞かせました。すると息子は、「神様の使いじゃなくて、コーヒーくんだよ!ポケモンも知らなかったから、バスボールで出たリザードンをあげちゃった」と言いました。

ちなみに、うちの息子たちは2人とも「まる」なんて名前ではありません。不思議な夏の出来事でした。

その日の、夕飯で奥さんに出来事を話ました。

奥さんが、息子たちに「コーヒーくんは、お家を守ってくれてる白蛇さんの友達?」と聞いていました。我が家では、守り神として白蛇を大事にしています。なので、聞いたと思うんですが、「違うよ。コーヒーくんって言ってるじゃん!」と一蹴されてしまっていました。

あとから、あの子は座敷わらしの類いなのかな?ムーミンの白いやつは、怪談に出てくるウネウネ?ひょろひょろ?だったんでは、ないかな?と思いました。

Concrete
コメント怖い
3
4
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信