中編6
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呪いのコンパクト

巣くうものシリーズ第7作目、コピペです。

長いお話なので暇な人向け。

…………………………………

本スレ208の128です。

“巣くうものシリーズ”で纏めてもらったので、 説明は省略。

仕事が多忙で2ちゃんから遠ざかってたが、時間できたんで投下。

今年初めのことだから、もう結構前のことです。

前回書いた怨霊のカタマリ憑き男Iの件で知り合った、俺の人生2人目の「おそらく本当にみえるひと」Hがらみの事件だ。

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BがAに連絡して、会おうと言ったそうで。

思えば、学生時代からAはBを(というかBについてるモノを)避け気味だったが、BはAを気に入ってたようだった。

去年から何だかんだでAがBが関わってるから、このまま友達付き合いを復活したい(現在進行形)んじゃないかと思う。

Aは断る理由もなく、先の件で引け目があったのでOKしたものの、Bと2人きりはどうしても気が進まず、俺を呼び出した次第だ。

引け目とは、怨霊塊憑男Iの家に熟睡中のBが連れ込まれた段階で反対しなかったことだそうだ。

A曰く、前回は本当にとんでもなかったらしい。

「井戸の時は逃げたら済んだけど、あの時はHさんが逃げ道を塞いでたから……ドアが揺れ始めてからずっと、止めなきゃいけなかったんじゃないかって思って、もしBのアレが負けたらBはどうなるの?って凄く怖かった」

と。

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当日、Bと待ち合わせ場所で会った時、すでにAが微妙な顔してた。

ファミレスに入ると、Bが

「コレ見て♪」

と鞄から何か出した。

コンパクト?ってのか?丸い平たい2つ折りで、内側は両面が鏡の奴。

何か古そうな奴。

金属っぽい質感で、凄く古っぽい感じ。

横のAは、また表情が固まってる。

「アンティークなんだよー。この前ほら、肝試しなのに現地到着前に私が寝ちゃったでしょ?Aと俺君が旦那に連絡してくれて」

Bは、あの後Cの呼び出しで“肝試しスポットを教えてくれた人”としてHに会ったそうだった。

「Hさん、おかしな場所に行かせたせいで倒れたんじゃないかって謝ってくれてね、お詫びにってコレくれたの♪

結構よくて気に入ってるんだけど、安いものじゃないみたいなんだよね。 お返しにお菓子でも送ろうかと思ってさー」

適当に喋ってBを返した後、Aが即効でHに連絡して、数日後に会った。

現れたHは、俺らがBに会ったと聞いた段階で何やら察してたようだった。

Aが

「何考えてんですか!」

と怒鳴ると、Hはフフンと鼻で笑って言った。

「いいアイディアだと思わない?散らばらないよ、あれ」

……呪いの部屋と同じように呪いのグッズも現実に存在することを、改めて知らされました。

いや、指輪の一件で既に判っていたようにも思うが、古物やリサイクル品に稀にでもその類のものがあると思うとやはり怖い。

件のコンパクト、確かにモノは良いがHは一銭も払ってないそうです。

むしろ金をやるから黙って引き取ってくれと泣かれた代物だと。

前回の話の怨霊塊憑き男IのためにHが情報収集してる間、Hが「みえるひと」だという情報も、広く垂れ流しだったそうで、お払いしてくれと妙なものを持ち込んでくる奴は割りと居たと。

Hは、何も憑いてない場合はそう教えてやり、たまに出てくるホンモノについては小遣い稼ぎのネタにしていたと言ってました。

金目の物で自力で片付くものは引き取り(そして片付けて売り)、奉納で済むものは処理方法を助言したりして、ポツポツ稼いでたのだそうな。

「もちろん命は惜しいから、手に負えないのは ムリだっつって断ったよ。あの鏡はね、間違えた。鏡から離れないんだから最悪本体ごとおっぽり出せば済むわけで、リスクも小さいと思ったんだけどね。甘かったねー。だからBさんに頼んじゃった」

Hは、からからと笑って言った。

Hに聞いたところでは、そのコンパクト?は持ち主の不在を許さないのだとか。

捨てようとすると邪魔が入って、どうしても捨てられなかったそうです。

憑いてるモノはHの手に余るから長く持ってたくないし、かと言って他人に譲るのも良心が痛むので、持て余してた一品だと。

「本体から他所にはいけない奴だし、Bさんのアレと勝負できるレベルじゃないから問題なし。Bさん、寝なかったっしょ?」

Bが例のコンパクトをしばらく愛用してくれた ら擦り切れて掠れて消え去ってくれるだろう、と言うのがHの言い分でした。

で、実はここまでが前フリです。

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再度俺にAから連絡が来たのが、確か5月下旬。

……B、コンパクトを手放してしまったと。

Hにも連絡したら、あの飄々としたHがあわくってたそうです。

俺も巻き込まれで付き合い、3人で次の所有者を訪ねました。

AがBに聞いたところだと、友人(学生時代のではない、俺達とは面識なし)に見せたら、凄く良い品だと言われ羨ましがられ、ちょっとだけ貸して欲しいと言うから貸したら返してくれない、と。

「携帯に連絡してもメールしても返事がない の」

と言った時のAの表情を誤解したようで

「貰い物なのに申し訳ない」

とBは凹んでいたそうです。

……Aが苦労してBから聞きだした名前その他の情報を頼りに俺達がB友人宅を探し当てた時、B友人は離婚前提の別居だとかで、家には居ませんでした。

ご主人だけいて、俺達の目的が奥さんに貸したコンパクトだと言うと、出てきて暗い顔で言葉少なくモノを渡してくれました。

そのとき、両足首に包帯を巻いていた彼の右袖 口からちらりと、手首より少しだけ上辺りに何か見えました。

モノを引き取りB友人宅を辞して、俺はAとHに確認しました。

…見間違いじゃなかったです。

ヒトの歯型だった、と2人とも言いました。

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その後の2人の会話は、以下の通り。

「奥さんの歯型だよね、アレ」

「だろうね。……やっちゃったねえ」

さすがのHが、真っ青に青ざめていました。

「Hさんのせいだよ」

「うん、俺のせい。…呪いのコンパクトだよって言っといたから、 Bさん離さないと思ってた」

「勝手なこと言わないで下さい。大体、高価なものなら泥棒にあうことだって考えられるでしょ。何でそんないい加減なことするんですか」

Aが物凄く刺々しい口調で言ってHが黙り込み、 気まずい気分で俺らはHと別れました。

例のコンパクトは、Hが持ち帰りました。

もっともA曰く、もうコンパクトには何もないそうでした。

Bが愛用していた数ヶ月で削り取られ磨り減り続けたモノの、最後っ屁と言うか断末魔と言うか、そういうものをB友人は受けてしまったのだと思う、と。

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その後、俺が6月にHと飲んだとき(Iの件以 降、何となく付き合いしてる)に聞いたところでは、まっさらになった例のコンパクトを売り払った金に色をつけて、例のB友人である女性に送金したそうです。

送金先は自腹で調べたそうで、いつも能天気に見えるコイツでもあの一件はこたえたんだな、と思いました。

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また最後になりますが、そのコンパクトに憑いてたものの正体について。

Bのコンパクト紛失以前、AがHを呼び出した際に少し聞きました。

……俺にはよく判らなかった話ですが、Hが“みた”ところでは、

『4つ足の哺乳類に昆虫の羽根がある』

生き物がしがみ付いてたとか。

Aには姿は見えなかったが(能力の差か、Bが居たことによる影響かは 解らないと)、ぶんぶんと背筋の寒い羽音が絡まりついてたと。

その中では1人だけみえない俺が、

「哺乳類に虫の羽って何?異次元の生き物とか?」

と聞いたら、AとHがまるで狙ったようなタイミングでバッと目をそらしたのが印象的でした。

Aは黙ってましたが、Hはハハハとわざとらしく 笑い、

「……人間が、恨みとか呪いだけで精神のカタチまで捻じ曲げてあんなモノになれるってのが怖いよね。本当に」

と言いました。

正直、俺はグロいものを見る力が無くてよかっ たです。

曖昧な部分が多いですが、以上です。

……………………………………

相変わらずのHですな。

次の話は「模倣」、B子のアレとは別なレアケース。

最後まで読んでくださり有り難うございました。

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