佐伯一家シリーズ〜弐話・赤い夕陽〜

中編4
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佐伯一家シリーズ〜弐話・赤い夕陽〜

俺の名前は【佐伯 海(さえき かい)】

小さい頃から霊媒体質で迷惑な事に、見える・触れる・話せるの三拍子ときたもんだ。

ただ話すのは波長が合わないと中々難しい。

幽霊や妖怪といった類は、現代でも存在しているのか証明はされていない。

しかし、逆に存在していないとも言い切れない。

なぜなら科学では説明出来難い現象は年に数例起きており、[見える]という人もいるからである。

俺もそんな[見える]人の一人なんだけど、そういえば家族の紹介がまだだったね。

ソファに寝転びながらTVを見てるのが姉ちゃんの【佐伯 空(くう)】

台所で皿を洗っているオカンが【佐伯 佳恵(よしえ)】

鼻歌交じりで風呂に入っているのがオトンの【佐伯 一雄(かずお)】

この三人も俺と同じように幽霊が見える・触れる・話せるの三拍子。プラス祓えるというおまけ付きだ。

特に見たいTVも無かったので自分の部屋に戻った俺は、ゴロゴロしている内に眠っていた。

___満点の星空。凛とした空間。

ここはどこだろう。見渡せば闇ばかり。

しかし、不思議と怖くわない。

暫くすると、前方に蛍ほどの小さな光が現れた。

何だか凄く嫌な感じのする光だ。

それが徐々に大きくなり、それと共に嫌な感じも増してきた。

光は徐々に人型になり、それが何なのかもっとよく見ようと前に出ようとした。

その時、後ろからガッと何かに腕を掴まれた。

後ろを見ると死んだはずの爺ちゃんがいた。

『……き………ろ…。』

『じ、爺ちゃんやんな??なんて言ったん?』

生前の笑顔で優しかった爺ちゃんとは違い、眉間にシワを寄せ、痛いくらいに腕を掴んでくる。

『爺ちゃん、腕イテェ。どうしたんだよ!』

上手く聴き取れないが爺ちゃんは何かを訴えようとしている事は分かった。

『…………ろ。』

そして、一瞬の瞬きのうちに爺ちゃんの顔がオカンになっていた。

爺ちゃんの身体にオカンの顔、正直幽霊より怖い。

『ご飯やでー!起きろー!!』

オカンの怒号で一気に現実世界へと引き戻される。

ボヤ〜とした頭で二階にある自分の部屋からダイニングに降りると朝食がしっかりと並べられていた。

オカンはもちろんのこと姉ちゃんも既にいた。

オトンは朝が早いためにいない。

『そうそう、最近変なのが多いから気を付けてね。』

『あー、こないだも通り魔事件とかあったしね。』

『いや、生きてる方じゃなくて…』

『ああ、あっちね。』

こんな会話をしている母と娘はウチくらいだろう。

姉ちゃんの言う[あっち]とは霊の事である。

こーゆう会話はよくある事なので聞き流していたのだか、気になるフレーズが飛び出た。

『こないだな、多分交通事故で亡くなったと思うんやけど、お婆ちゃんがいてな。変わってくれってしがみつかれて頼まれたんやん。でね…』

『えっ?!お母さんも?私も会ったで。小学生くらいの子やったけど。』

『本間に?!実はお父さんにもこの話をしたんやけど、お父さんもちょっと前に変わってて言う霊に会ったんやて。』

『マジか!何?霊にもブームとかあるんかな。』

(んなもんあるわけ無いやろ)

と心の中でツッコミを入れていると、何を察知したのか姉ちゃんと目があった。

『海、今ちょっとバカにしたやろ。』

恐るべき洞察力。

怒られる前に話題を戻さないと…。

『いやいや、してないしてない。てゆうか俺もこないだ会ったわ。』

『え!?』

オカンと姉ちゃんが同時に驚く。

『皆会ってるなんてなんかちょっとおかしいわね。』

『うーん…これはちょっと気をつけたほうが良さそうやね』

『まあ確かにな、そーいや夢で…』

『あっ、時間!遅刻するで』

夢の話をしようとしたが遅刻しそうだったので、

また今度話す事にした。

『やバッ、行くで海!』

姉ちゃんは2歳年上で現在高校三年生。

俺はピカピカの高校一年生だ。

同じ高校に通っているため通学路も一緒なのだが、俺が用意にもたもたしているうちに姉ちゃんは見えなくなっていた。

用水路沿いの道を通った時のことだ。

うちと同じ制服を着た男子が立っていた。

何してんだ?遅刻すんぞと思ったが、兄弟かなんかが感傷に浸っているんだろうと思いその時は特に気にしなかった。

ギリギリで学校に着き、いつもと変わりない一日が終わった帰宅途中ふと用水路沿いのことが気になり寄ってみた。

『あっ!あの時のおじちゃん。』

おじちゃんと呼ばれるのは早くないかと思ったが、小さい子から見たら高校生でもおじちゃんに見えるのかもしれないと一人で勝手に納得した。

『まだ成仏してへんかったんか。てかお前兄弟おったんか?』

いないということだろう、首を横に降っている。

『じゃあ今日の朝俺と同じ制服のやつ来てなかったか?』

男の子は少し考えたあと思い出したようだ。

『来てたよ。でも名前は知らない。』

話しを聞けば生前にも会った事はないらしく、ここ数週間で見るようになったらしい。

そして男の子から話しを聞くうちに俺ら家族が[変わって]という幽霊に遭遇する理由がわかった。

そのとき後ろから声をかけられた。

『なにを話しているんですか?』

なぜだか今朝見た夢を思い出した。

[気をつけろ]と、あの時爺ちゃんは言っていた。

この日から少しずつ俺の運命は狂い始めた。

その元凶が血のように赤い夕陽を背に立っていた…。

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続き楽しみです!ゆっくりでいいので、更新頑張ってください、

カヤさんコメントありがとうございます。
中々面白いアイディアが浮かばず現在滞っています。もうしばらくお待ち下さい。

続きが気になる…