長編11
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飛行機で出会った妖怪

暖かくなり、女性たちの露出が増えてきて、目のやり場が…迷う事無く!太腿にいく季節になってまいりましたね…私も男ですからね。

なんて、どうでもいい事を言っておりますが。

…私は怖い話、『怖話』を探すために旅をする怖話ハンターだ。

かれこれ、…あなた方にお会いするのも何度目になりますかね?知らない?私も覚えておりません。ハハ…

え?今日はどんな話を聞かしてくれるのかって?…そうだな、じゃあ、私の奇妙な力の話でもしましょうか…

………………………………

突然ですが、質問。…今、貴方の見ている視界は貴方のものですか?

その通り「は?」ですよね…

じゃあ、貴方が触れているそのスマートフォンやパソコンのマウスの手触りは貴方のものですか?

「意味不明…」その通り!確かに…今私が言っていることは何がなんだかさっぱり分からないことだと思う…

言い方を変えましょうか?

あなたの視界も手触りも貴方だけのモノではないとしたら、貴方はどう思いますか?

分かります?

…そう!気味が悪いですよね…

実は私、あなた方の視界も手触りも感じる事が出来るんです。

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…うそ。

ゴメン。こういう話は好きじゃないですよね…別の話をしましょう…

………………………………

海外旅行に行ったある夫婦から聞いた話…

___________

サングラスをしていても分かる、顔立ちの整った彼が…少し照れた様に語った…

「僕らは初めての海外旅行で、テンションも上がりっ放しで…空港に向かう電車に乗っていたんです。」

本田将生(仮名)と名乗る男性と奥さんの美樹穂さんと会ったのは、ほんの数日前のことだった…

久々の怖話ハンティングで私のテンションが上がる…

行きつけの喫茶店。

奥のテーブル席は何時も私が利用している場所だ…

今時、珍しいシューティングゲームがついたテーブルに珈琲が運ばれ…湯気とともに香りが立ち込め癒しの空間へと誘(いざな)われる…

…………

美樹穂さんが前髪を耳にかけながら口を開いた…

「うん…あたしもあの時は、嬉しくて、すでに『何処何処に行ってぇ…何処何処で食事をしてぇ…』なんてはしゃいでたよね…」

美樹穂さんは綺麗な方で、ショートヘアーがよくに合う美人さん…サングラスが邪魔で顔は殆ど見えないがスタイルが…なんとも…

…まったく羨ましい限りだ。

……ソレが現れたのは、飛行機に乗って直ぐだったと彼は語る

「飛行機に乗った時からだったんですよ…違和感?なんかちょっと嫌な予感みたいな…ミキも感じてたろ?」

「そう…なんて言うか、誰かにつけられてるみたいな?…あたしが気づいてマー君に話したんだよね…?確かそうだったよ!?」

美樹穂さんが自分のほうが先に違和感を感じたことを主張しているが、構わず彼が続けた…

「新婚旅行だったんで、楽しく行きたいじゃないですか?なので、気にしない様に二人で努めたんですけど…」

ソレが明らかに不気味に思えたのは、離陸してほんの数分経った頃だったと彼は話す。

「ある一人の変な乗客が乗っていたんですよ。

身長が異常に低い…あの…よく生まれつき病気なんかで身長が伸びない方って居るじゃないですか?でも、あの人は、そうゆう感じじゃなくて…子供の体に大人の頭と腕を無理やりくっつけた感じの不気味な体型の人だったんです…身体は小さいのに頭は異常に大きくて…腕が細くて長い…

でも…もしかしたら、なんかの難病でそうなってしまっている方なのかなぁってその時は、僕らも気にしなかったんです…『こんにちはぁ』…なんて挨拶交わしたり…」

「え?あたしは、ずっと気持ち悪くって、見れなかったよ…だってあの人、ずっとあたし達の事見てたでしょ?!…マー君も気づいてたよね?」

「うん…あの人が見てきたから挨拶したんだったね…」

彼はテーブルの端にある角砂糖を左手で、二つ…珈琲カップに入れ、スプーンで三回程かき回してから、口に運び、話の続きを話しはじめた…

「…それで、機内も消灯になって、毛布に包まって二人で眠っていたら…急にその人、僕の毛布の端を…こうっ…やって」

引っ張る仕草をしながら語る彼の不思議な特徴を私は見逃さなかった…全ての事を左手のみで行う…右腕はだらりとテーブルの下に下ろしたままで、使うことは無い。

角砂糖を取るのも、珈琲をかき混ぜるのも…飲む時すら左手のみで行う…左利きだとしても、この行動は不思議だ…

彼が続ける。

「引っ張ってきたんですよ!その人の席は三列斜め前だったんですけど、わざわざ僕らのトコまで来て…グイッ!グイッ!って…」

それは確かに気味が悪い…

「それから?」

「で『何ですか?』って聞いたら、あれ中国語?…」

彼が隣に顔を向け、美樹穂さんに尋ねるが…

「ミキ寝てたから知らないし…」

と首を降る。彼の事を見る事なく首を降っている事に少し違和感を感じた…が気のせいだと彼に、「それから?」と話を振った…

「兎に角、日本語じゃない言葉でグニャグニャッ!って言って、席に戻って行くんですよ…

うわぁ…気持ち悪っ!ってなって気づかず寝てたミキを起こして内容を話して…」

「てか、寝てること知ってたくせに変な質問しないでよ!」

「うん…ゴメン……」

美樹穂さんのキツイ一言で沈黙の彼…

「あのね、なんかマー君、めっちゃ焦っててぇ…やばいやばいって!ね?…ハハハ!」

「笑い事じゃなかったんだってマジで!?あいつの顔、超〜怖かったんだよ?」

「ああ…そうだねぇ…怖かったんだよね…よちよちっ!」

二人で私が居ることを忘れイチャイチャしている事に苛立ちを覚えた私は少し不機嫌に尋ねた。

「どんな顔してたんですか?」

「え?あぁ…はい。最初、あの人を見た時は、あの…ミキが今付けてるみたいな…大きめの、サングラスをしてたんで分からなかったんですけど……

その…目が無かったんです…」

ほほう…思いのほかヤバメの話が聞けそうだと思い、私は身を乗り出して聞いた…

「目玉がですか?」

「いえ…違います…なんて言えばいいかな…その…」

「のっぺらぼう?みたいな?」

「そう!そんな感じ!目があるところに何にも無いんです!分かります?」

コレは妖怪系、もしくは宇宙人系の話かもしれない、実に面白い!兎に角、ワクワクしながら相槌を打った

「ええ…」

「もう、あんなん見ちゃったら寝れなくて…で、そのままアメリカに着いちゃって…」

すると、ビックリした様には美樹穂さんが尋ねる…

「寝てなかったの!?」

「眠れるわけないじゃん!本っ当、怖かったんだよ…。

で、飛行機を降りる時、その人が気になっちゃって、僕、その人が先に降りるのを待ってたんです。でも一向に降りる気配がなくて…仕方なく逃げる様に先に降りようと、その人の席をチラチラ見ながら降りたんです。そしたら、その人の座っていた席には誰も居なくて…あれ?ってなって…」

消えたというのか?明らかに不気味だ…もし本当だとしたら、間違いなく幽霊か、もしくは妖怪だろう…

「消えていたんですか?」

「はい。その後は、普通に二人で旅行を楽しんで…僕は少し眠かったけど…ね?」

「そう!眠そうにしてて、時差ボケ酷いぃ!ってミキがツッコミいれながら…」

「それって、ツッコミって言うの?」

「さあ…?」

話の邪魔をするオナゴよの…美樹穂…

「で?」

「あ…はい。で、その日は夕方にホテルにチェックインしたんですけど…その時、また違和感を感じたんです…フロントで立っていたら、背中に寒気みたいな…後ろにはミキが立っていたんですけど、なんて言うか…僕とミキの間になんかいる様な…」

「あたしは分からなかったよ?」

美樹穂さんがまた話の邪魔をしようとしたので私は…

「……でしょうね…」と嫌味っぽく答えた。

「な…なに?でしょうねって?意味不明…つか!目線がエロいんですけど!」

「は?どうしたの?」

「マー君、この人さっきからミキの太腿見てんだけど…」

「え?考え過ぎだろ?」

「本当だよ!だってミキ分かるもん!」

私のもう一人の人格、助平がいつの間にか出ていた様だ…

「いえ、すみません…お綺麗だったものですから、つい…」と謝罪の意を表明しておく…

「ハハハ…チョット!チョットチョット!!」

まさかの古めのギャグ…ほっといて話の続きを振る…

「すみませんでした。続けて頂けます?…それとも…怒っちゃいました?」

「大丈夫です。えっと…で、フロントを離れてエレベーターに乗ったんです。寒気は少し和らいでいたんですけど、違和感はまだあって…」

「居たよあいつ…」

美樹穂さんが真顔で語る…

「は?ウソ!エレベーター内に?」

「ハハハ!ウソウソ!」

「ざけんな!馬鹿!」

今の美樹穂さんの言い方に少しリアルな何かを感じた私は、美樹穂さんに質問をぶつける…

「居たんですねミキホさん?見たとかじゃなくて、感じたんじゃないですか?」

「いや!だからウソだって!」

すると彼が少し怒りながら続けた…

「もういいよ…で、部屋に入って荷物を受け取って、チップをベルボーイに渡して、ベットにダイブしました…疲れたぁ!って…」

話の途中だったが、私はどうしても美樹穂さんのあの発言が気になってしょうがなかった…

…エレベーター内、美樹穂さんは何を見たのか…しつこく聞いてみた…

「あの…本当に何も見てないんですね?美樹穂さん…」

「え?あの…」

コレは間違いなく見ている。と確信した私は、更に続けた…

「さっき将生さんが言ってた目の無い化け物が居たんじゃないですか?」

「………はい…私にしがみついていました…」

それを聞いた彼が驚き、目を丸くして美樹穂さんの顔を覗き込む…

「は?マジで?何で言わなかったんだよ!…あぁ…それであの時、具合い悪そうだったの?」

隠していたことを申し訳なさそうに、でも、少しハニカミながら美樹穂さんは頷いた…

「そうだったのか…」

と彼も青ざめて、うな垂れる…

このままだと、話がときれる可能性があったため、私はすかさず聞いた…

「話の腰を折る様なことをして失礼しました。話の続きをお聞かせ願いますか?」

「は…はい…そ…その日はそのまま、ルームサービスを呼んで食事をして…ベットで…その…寝…」

「Hしたんだよね…?」

美樹穂さんのリアルな表現に食いつくドスケベな私が顔を覗かせる…「いいですね、どんな感じでしたか?」

が…邪魔が入る

「馬鹿!言わなくていいよ!」

「いえ、詳しくお願いします。」

邪魔は許さんと私は妄想の世界に…すると、美樹穂さんはニヤニヤしながら少し前のめりで話し出した…

「あのねぇ…先にシャワー…」

「チョット!」

彼が美樹穂さんの肩を漫才師のツッコミの様に叩く…

…クソ!後でマスターベーションの種にしようとしたのに…ってそんな話を聞きにきたわけじゃなかった…怖い話の続きを…

「失礼…それから?…次の日からで結構ですんで…ふふふ…」

「犬神さんエロいッすね…」

ほんの少し悪くなっていた空気が元に戻ったようだ…

「えっと…その日は疲れもあって、すぐ寝ちゃったんです…まぁ、やる事はやったんですけどね…

ミキがハネムーンベイビーを強く熱望していたんで…えへへ…」

「あの…死んでくれ。」と言う言葉を飲み込み続きを、目尻をヒクヒクさせながら聞く…

「それから!?」

「あ…すみません。で、朝起きて…お腹も空いていたし、朝ごはん食べたくて、ミキを起こしたんです…」

「うん、あたし爆睡してて、起こされて機嫌悪く起きた…でもね…目を開けても真っ暗なの…変でしょ?なぁんにも見えないの…」

は?え…チョット待って…美樹穂さん今何て?見えない?

だってさっき私が太腿見てる事に気づいて…

「ミキ…実はその時から目が見えなくなってるんです…」

サングラスをしている理由をいきなり教えられた…しかし私の目線に気がついていた事は……

いや、あえて聞かない事にしておこう。何故か…それは、何と無くだが…ある予感があったからだ、ある奇怪な予感が。

「それから?」

「勿論、旅行はそこで全てキャンセルして帰国しました。

でも、帰りの飛行機で…」

「また居たんですね?アレが…」

震える声がその時の恐怖を物語る。

「隣の席に居たんです…でも、行きの時とは別の奴で…男の人でした…」

「行きは女?」

「はい…多分…で、帰りのアレは右腕が無かったんです…

兎に角、怖くてその人を見れなくて…」

何と無くだが、その場に異様な空気が流れるのが分かった…

美樹穂さんが視力を…

将生さんが右腕を…

奇妙な一致。偶然ではない、確信に似た何かを感じざるを得ない。

「襲われましたか?」

「襲うってほどではなかったんですが、僕、右腕を掴まれました…あまりの恐怖でその後は覚えていません…多分…気を失ったんだと思います…」

「日本についてから異変はありましたか?」

彼はグッと涙をこらえる様に話し始めた…

「僕の右腕が動かなくなりました…」

やはり腕が…そして美樹穂さんは目を…

私は美樹穂さんに一番気になっていた事を尋ねてみる事にした。

「あの…美樹穂さん。何故、私があなたの太腿を見ている事が分かったんですか?」

美樹穂さんは黙り込み何も答えない…

代わりに彼が口を開く。

「目が見えない代わりに人の視線を感じる事が出来るんです。あと…人の目線から周りを見たりも出来る様なんです…」

「あなたは?」

「僕は…人が右手で触れた感触を感じる事が出来ます…」

「私に対しても出来ますか?」

「はい…」

私はおもむろに珈琲カップを掴んだ…

「どうですか?」

「ヌルいです…あと、ザラザラした手触りです…」

彼の言う通り、話が長くなっていた為か、珈琲カップは熱が冷めてヌルくなっている。それに、この店で私専用として作って貰ったカップは凹凸のある手触りのものだ…だが、そんなモノは大体予想がつく…ならばと…

「美樹穂さんもおねがいできますか?」と彼女に向き聞いた…

美樹穂さんは嫌そうな顔をしたが、小さく頷いた。

「私…今、何を見ていますか?」

「………エッチ…」

確かに彼女は私の視界でモノを見る事が出来る様だ…

私は美樹穂さんの豊満な胸元を見ていたのだ…ボーダーのシャツから覗く谷間がいやらしく…エロい。視力が無いのなら予想はつくまい…

…彼はさらに続ける

「あと…僕ら夜になると、こいつらに完全に身体を支配されるんです…」

「こいつらってのは?」

「あの時見た化け物ですよ…」

彼の話によれば、支配されている時は彼の腕も、美樹穂さんの視界も正常に機能するらしい…感覚だけは残っているそうだ。

「支配されてるって、つまり…取り憑かれてるって事?」

「はい…それから…実は僕らの知らないウチにこんなモノを…多分、夜…こいつらが僕らを支配している時に書いたものだと思うのですが…」

と、将生さんが取り出したものを見て私はゾクッとした…

二通の遺書…

「僕とミキの字で間違いないです…」

と、真剣な眼差しでその手紙を差し出した…

「拝見します。」

『お母さんへ…

お母さんがこれを読んでいるという事は、私は既に死んでいるのですね。

こんな形で…』

あまりにリアルなものでこれ以上読めない内容だった…

「全く記憶が無いんですか?これを書いた記憶が…」

「ありません…感覚だけは残っているんですが…手紙を書いた感覚だけは…」

どうやら、かなりやばいシロモノが彼らに憑いている様だ…

「お祓いは?」

「僕はクリスチャンですから…一応教会には行きましたが…」

美樹穂さんも同じくクリスチャンだと彼は話した…

神父には悪魔払いの儀式についてはよく知らないと言われたらしく、二人は仕方なく教会を後にしたらしいが…

…兎に角、私は、お祓いはした方がいいとだけ話し逃げる様に彼らと別れた…。

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かってに遺書書かれるとかイヤだなぁ・・・