若き日の肝試し三 公衆電話

中編5
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若き日の肝試し三 公衆電話

 今では携帯が普及してほとんどなくなった公衆電話

そんな公衆電話がまだいたるところにあったころの話です。

私の地元ではある公衆電話がちょっとした心霊スポットとなって

話題となっていました。

その内容とは、深夜二時になるとその公衆電話のベルがなり

その電話の受話器をとって電話から聞こえてくる声を聞いたものは

死んでしまう、というものでした。

怖い話がすきな私にとっては興味を惹かれる話ですが

実際にその電話の声を聞いたという人の話を聞いたわけでもなく

もし内容が本当ならそんな恐怖の公衆電話、すぐに撤去されてるハズと

誰かが創作したデマ話だと私たちの中ではすぐに風化されていった。

ある夏休みの事です、友達の家に泊まりにいくことになりました。

いつもの仲のいいメンツが集まり、ゲームなどして遊んでましたが

それもすぐに飽きて、夜だったこともあり

いつの間にか怪談話に話題が切り替わってました

そんな中で、一人が「そういえば、あの公衆電話まだあるのかな?」

と一人が言い出し、もう一人が「公衆電話って何処のよ?」

「あの深夜に電話がなる公衆電話の噂あったべよ、あの電話さ」

「あ~あれね、どうだろうな。でも、無くなったって話も聞かないしあるんじゃない?」

そんな会話の行き来の中、一人が口を開いた。

「せっかくだから、今から行ってみね~、ちょうど電話が鳴る時間も近づいてるし」

みんな怪談話で気持ちも高ぶって、そろそろほんとの恐怖を味わいたくなった頃合

だったので、誰も反対するものがなく、あのの公衆電話の場所に行くことにしました。

公衆電話の周りには普通に家が立ち並び、これといって心霊スポットというような

恐怖感は何も感じず、時間だけがすぎていき、噂の時間を30分ほどすぎて

「何もおきね~し、もう帰らねえか?」一人が口にしました。

みんなも、何もおこらなかった現実にガッカリしながら公衆電話を後にして

帰ろうと歩き始めたそのとき!

「プルルル~」

電話が鳴り出しました、そのにいる全員公衆電話へ一瞬視線を向けたあと

それぞれの顔を見合わしました。

「マジ!!マジで電話鳴ってるよ、どうする?」

「どうするって、電話なったんならすることは一つだろうよ」

みんなで恐る恐る電話に近づき、狭いボックスにギュウギュウ詰め状態で

入り、言いだしっぺの者が受話器をとることになった

恐る恐る受話器を取って、そっと耳にあてる!

しばらく沈黙が続く、私達には受話器の中の内容は全く聞こえない。

どのくらいの沈黙が続いただろう、彼は静かに受話器を下ろした。

私達は、受話器のむこうから何が聞こえてきたのか早く聞きたかった。

が、彼はしばらく考えこむような素振りをみせ、そのあと重い口を開いた。

「受話器からは、ジ~っていう感じのノイズしか聞こえなかったよ」

みんなは期待していただけに、そのコメントにがっかりした。

「なんだよ、結局何もなかったのかよガッカリだ~」

一人がそう言うと

「じゃあ、なんで電話が鳴ったわけ?それって不思議じゃねえ?」

確かに公衆電話がなるなんて不思議だ、でもたまにメンテナンスかなんかで

鳴ることがあるってどっかで聞いたことがある。

結局、無理やり納得したような感じでまとまったかにみえたが

受話器をとった彼がボソっとつぶやいた

「でも、最後に何かつぶやきのような声がしたような気がするんだよ」

「でも、なんて言ってるかはっきり聞き取れなかったから多分聞き間違いだろう」

あれから、三十年以上たってクラス会で再び私達は再会した。

みんな、もういいおっさんで頭が薄くなっているものもあれば

太りすぎて昔の面影がないものもいた。

それでも再会の喜びにクラス会はおおいに盛り上がった。

三次会までになると、さすがに人数も少なくなり

中のいいグループ同士、すきな場所に飲みに行きあの頃のグループでまとまった。

ただひとり、彼を除いて。

「なあ、あいつ今日こなかったけどどうしたんだ?せっかくのクラス会なのに」

ひとりが口を開いた

「お前たちは知らないかもしれないけど、あいつ実は自殺したんだよ」

「うそだろ!!、それいつの話よ!!」

彼は続けてこう言った

「昔、みんなで夜に公衆電話行ったべ?あれが原因だとおれは思ってる」

「あれからみんな卒業して別々の高校行ったべ?でもあいつとおれは

同じ高校になったじゃん、しばらくは集まって高校の話とかしてたけど

そのうち、それぞれが高校で新しい友達もできてだんだん疎遠になっていったよな。

でもおれはあいつと高校同じだったから、二人でよくつるんでたんだ。

でも、あいつあれからも、どっかであの時の電話から聞こえてきたつぶやきがずっと

気になってたみたいで、考えてたらしいんだ」

私が「それで、わかったのか?」と聞くと

彼が「ある日、あいつから電話が来てあの時の言葉が分かったって言ったんだよ」

内容を聞いても彼は明日話すからと忙しそうに早々に電話を切ってしまったそうです。

それ以来、彼は学校にこなくなった

気になって友達は家にも行ってみたそうですが、母親が応対してちょっと重い病気で

しばらく入院することになったということで、病院の場所を聞いても面会謝絶なので

会えないからと病院名すら教えてくれなかったそうです。その後も何度か電話したものの

最後にはもうあなたとは会えそうもないからと丁寧にだが、電話するのも断られた

そうです。

それから、大人になって県外で就職して、たまたまお盆に実家に帰ったときに彼が

死んだことを聞かされたそうです。

彼は精神が病んでしまって手がつけられなくなり、ある精神病院に入院していたそうです。

それも随分長い間、それでもだいぶ良くなり家族と同伴で外出できるようにまで

回復してたそうです。そしてある日、外出先で母親が目を話したスキに道路に飛び出し

車に突っ込んでいってそのままはねられて亡くなったそうです。

ほぼ、即死状態だったそうです。

彼が死ぬ前に残した言葉は一言「いまいくよ!!」だったそうです。

彼は続けてこう言った

「おれは、あいつの家に言ったんだよ、詳しい話聞きたくて、っていうよりあの時の

電話のつぶやきがなんだったのか知りたくて。何かこう胸騒ぎがしてあいつが死んだ

のもあのことがきっかけじゃないかって思ってな。」

彼の家にいくとまたあの時のように母親が出迎えてくれたそうです

でも、あの時とは全く姿がちがっていて驚いたようでした。

精神的にそうとうなショックだったのか髪は白髪だらけで、痩せこけてしまっていて

まるで老婆のようだったそうです。

その母親は友達の顔を見るなり、「いつかあなたが来ると思って、ずっと持ってました」

母親は多くは語らず、彼に一通の手紙らしきものを渡したそうです。

彼は、その手紙をこの場に持ってきておりスーツの内ポケットから出して

広げて私たちに見せた

内容は短い文章でこう書かれていた

「あれ以来、あの声が頭から離れない!!おれ以外聞いてないから誰も信じない!!

誰もわからない!!ずっと考えてやっと分かったんだあの言葉!!」

「こっちへ来い!!」って。

「誰かがこれを見た頃、多分おれはこの世にいない。あっちの世界に言ってるから!!」

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