中編2
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狂〜かくれんぼ〜

《数ヶ月前、○○町で起きたストーカー殺人の加害者が、今朝、刑務所内で自殺していたことが判明しました。なお、第一発見者は見回りの警察官…》

『行ってきまーす。』

女子高生が二人、いつもの通学路を自転車で高校へと向かっていた。

『ごめん、ちょっと次の電柱までスピードあげよう。』

『え?ああ、わかった。』

空が変なことを言い出すときは、いつも決まって何か視えるとき。

それを芽依は良く分かっている。

『何かいたの?』

『うん、髪の長い女がね。』

『芽依、一応ここの道暫く通らない方がいいかも。』

明らかにこの世の者ではない雰囲気で、手を前にダランと垂れるようにして立っていた。顔は黒髪に覆われていて口元しか見えなかったが、ニヤリと笑っていた。

『あれは、ヤバいかもね。』

空は、今来た道を振り返りそう言った。

(標的は私達じゃないか、少し安心かな。)

狙われていると思ったのは通り過ぎる際に聞こえた言葉からだった。

『ミィヅゲダアァァ。』

髪の長い女がニヤリと笑う。

____________数時間後。

『あいつが、来る、来る、くる、あいつがく…』

『何か分かったか?』

『いやー、駄目ですね。ずっと[来る]としか言わないですね。』

『やはりそおか、狂ってるのか演技なのか。』

『まったく…、何が[来る]のやら。』

二人の警察官はそう言いながら溜息を漏らしていた。

実の妻と子供を殺害した容疑で、取調室に男が連れて来られていた。取り押さえられた時は、俺はやっていないと言っていたらしい。

だが今は、狂ったように同じ言葉を呟いていて警察は全く証言が取れないでいた。

その警察官を横に取調室に髪の長い女が入ろうとしている。

普通ならば部外者は立ち入り禁止だ。

しかし、警察官の目にはその女の姿が映っていなかった。

『くる、クる、くル、クル、クルクルクルクル、狂。』

取調室にいる男は、ずっと下を向いて呪文のように呟いていた。

不意に正面に何かいる気配がした為、前を向くが…何もいない。

また下に向き直した瞬間、そいつはいた。

目は窪み、肌は白く、口は笑い、不気味な笑みと冷たい手で男の顔を掴んできた。

『ずッとイっしョ。』

う゛わあ゛ぁ゛ぁ゛ああー

叫び声が聞こえてきた為、警察官が取調室に入る。

男は座ったまま死んでいた。

アへへヒヒハハヒヒヒヒヒ。

何処からともなく狂った様に女の笑い声が聞こえていた。

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