長編13
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百物語の、百話目。

『カシマさん』という怪談を知ってるかな?

終戦直後の混乱期に、米兵に強姦された女性が列車に投身自殺をした。

しかし、死に切れずにしばらく体の一部を欠損した状態でもがき苦しみながら生きていた。この女性の名前はカシマレイコさんという。

この話を聞いた人の夢の中に近いうちにこの体が欠損した状態のカシマレイコさんが現れて問いかけをしてくる。

それに間違った解答をすると、あなたの体の一部はカシマさんに奪われてしまう。

さらに、この怪談を聞いた人のもとには、その夜、カシマさんが現れるんだってさ。

この怪談は、所謂『自己責任型の怪談』と呼ばれている。

『自己責任型の怪談』

他にも、『ムラサキカガミ』。

もう一度、言うよ。

『ムラサキカガミ』。

この言葉を成人になるまで覚えていたら、死ぬんだってさ。

他にも、三回見たら死ぬ、というベクシンスキーの絵とかね。

この手のオカルトネタの特徴は、

『貴方に降りかかる災いは、貴方の責任。見た貴方が悪い』だ。

…。

少し話題を変えよう。

君は、『百物語』を知っているかい?

百物語。

それは、百話の怪談を行う事。

百物語は、一種の儀式的な取り決めの元、一定の作法に従って行われる。

新月の夜を選んで、参加者は一箇所に集まる。

この時、参加者は「青い着物」を着用する。

そして、百本の点火した蝋燭を用意する。

参加者はそれぞれの怖い話を語り、一話語り終わるごとに蝋燭の灯火を消していく。

これを百回繰り返し、百の話を語り終えたとき、全ての蝋燭が消え去る時、何かの怪異が起こる。

これが百物語の全容だ。

百物語の肝とは「怖い話を百話集め語る」ことで怪異を呼び出すことにある。

正に究極の自己責任型怪談だとも言える。

「塵も積もれば山となる」の例え通り、集めれば集めるほど相乗効果で呼び出す怪異が強くなると言われており、過去、百物語を行った場所で悲惨な災禍が発生し、その場所は硬く封印されたという伝説も多く聞かれている。

だが後世、百物語は形を変え、世に広まる事となる。

例えば、行う場所や時間。実際に一晩で百人が百話の物語を語り合う事や、100本の蝋燭を用意し、場所を維持する事は困難であった。

故に、百物語の儀式は簡略化され、同日や同場所で行う義務から解放され、更には江戸時代、「書物としての百物語」である「耳袋」が誕生する事になる。

さて、ここで一つ、問題が発生する。

百の怪談を通じて集め、相乗効果でその力を高めた怪異は、「何処」に集うのだろうか?

時代の移り変わりとともに、

行うべき「場所」を失い、

集うべき「時間」を失い、

残されたモノは、語り聞くべき「人」だけとなった。

つまり、百物語の百話分の怪異は、「人」に宿るのだと僕は考える。

さて、ここからが、僕がこれから語る物語の本質となるのだが…、

…。

ここで一つの疑問が浮かぶ。

今、君は怪談を読もうとして、この話を目にしているのだろう。

では、今君が読んでいるこの物語は、君にとっての「何話目」なんだろうか?

君は、今まで読んできた怪談の数を覚えているのかな?

もし、今君が読んでいるこの物語が、君の百話目なら、今すぐ読むのをやめたほうがいいかもしれない。

『奇を談ずれば怪にいたると言へり』

怖い話、怪奇な物語を積み重ね、経れば経るほど、そこに怪異は集まる。

百話を通じて、怪異を呼び寄せる行為。それが百物語。

つまりは百物語とは、降霊術に近い。

そして、百物語は呼び寄せる怪異は、場所ではなく、人にも宿る。

つまり、怪異が集まる先は、過去、幾多の怪談を目にしてきた「君」そのものに宿るんだ。

今ならまだ引き返せる。

…実は、僕は過去、百の物語を目にした為に怪異に呪われ、酷い体験した事があるんだ。

だから、君には僕のようになってほしくないんだよ。

だから、さぁ、今すぐに読むのを止めるんだ!

読んでしまうんだね…。

そうか、解ったよ。

僕が君を百物語の怪異から守れる機会は、これで最後かもしれない。

だから、全部伝えておきたいんだ。

百話目を読んでしまった僕の体験した怪異を、

僕の身に降りかかった物語を、

全て君に話しておきたいんだ。

僕の体験談を知るかどうかで、君の運命は大きく変わると思う。それだけは、約束しよう。

だから、出来る事ならこのまま読み進めて欲しい。

それから決めて欲しい。選んで欲しい。僕が選べなかった選択肢を。

それがきっと、君を百物語の怪異から救う事になると僕は信じている。

今の僕に出来る事は、それぐらいしか残されていないんだ。

…。

じゃあ、始めるよ。

…。

そう、あれは、僕にとっての百話目を読み終えた時、だった。

え?

何故、百話目だって解ったかって?

笑ったんだ。百話目が。ウヒヒって。そう笑ったんだ。

君にもいずれ解るよ。

…。

それが百話目だと理解したその時。

僕の神経は焦燥に似た感覚に包まれた。

息が苦しい。肺が空気を求めているのが解る。

心臓が脈打つ音が聴こえる。

握りしめた掌の中が不快に滑り汗ばむ。

口の中は湿り気を失いカラカラだ。

僕は無理矢理に口腔内に唾液を絞り出してゴキュりと飲み込んだ。

瞳の奥がジンと熱を持っているのが解る。

そして、

瞬きすら忘れた瞳の先に、

ヤツはいた。

定まらない視界の視界の端っこに、ヤツがいた。

黒く、蹲る、ナニカ。

なんだアレは?

背中に流れ落ちる汗が一瞬にして冷たく凍りつく。

信じられない。信じたくない。

何かの間違いだ。

眼を閉じ、視界を一度闇に染める。

消えろ、消えてくれ!

もう一度、眼を開ける。

ひ!

眼を開けた僕の顔面の、鼻先の数センチ向こうに、ヤツはいた。

天井に届くほどの真っ黒なヒトガタが、酷く歪で長細く痩せた体躯を折り曲げて、僕の顔を覗き込んでいる。

見たくもないヤツの顔が、嫌でも僕に視界を埋め尽くす。

その顔を見た僕の神経が凍りつく。

全身にムカデが這っているかのような怖気が僕を支配する。

ヤツには、顔がなかった。

代わりにポッカリとした穴が開いている。

顔面を抉り取られたような歪な陥没穴。

その瞳の無い顔面で、僕をジッと見つめていた。

身動きすら忘れた僕の顔面を、ヤツの両の掌が包み込む。

ヒヤリとしたその感触を顔面に感じた瞬間、僕は我に返った!

逃げなきゃ!

ヤツから逃れるために、僕は身を捩る。

だが、僕の顔面を包み込むヤツの掌がそれを許さない。

凍える掌が万力のように僕の顔をギリギリと締め付ける。

逃げられない。

ヤツは僕を逃さない。

それを自覚した瞬間。

僕の意識は闇に飛ばされた。

僕は夢を見た。

そう、夢。悪夢。奇怪で悪い夢だ。

…夢である事を願った。

……ただの悪夢でいてほしかった。

…。

くそ!

クソクソクソ!

なんで夢じゃなかったんだよ!

何故僕ばかりがこんな目に会わなきゃならないんだ!!

畜生畜生畜生!

糞糞糞糞糞糞!

…。

すまない。

少し興奮してしまったみたいだ。

話を続ける。

ともかく、僕は夢を見た。

夢の中で僕は、薄暗い和室に立ち尽くしていた。

畳の香りが僕の鼻腔をつく。

ここは何処だ?

周囲を見渡す為に僕は身体を動かす。

が、動かせなかった。手も足も、首も、指の一本すら、動かせなかった。

身体に力は入る。でも、動かせない。

何かが、僕の身体を押さえつけている。

何だ? 何が起こっている?

障子の隙間から覗く月の僅かな灯りが部屋の中を薄く照らす。

首を捻り、自身の身体を目にした時、僕は自身の身体を動かせない理由を理解した。

僕の四肢の自由を奪っているもの。

それは、無数の腕だった。

細く青白く夥しい数の腕が、僕の全身を掴んでいるのだ!

数え切れえない数の腕が、僕の手首を、太腿を、足首を、胸を腹を、指の一本一本に至るまで。

身を捩ることすらも許さない。

う、うわーー!

叫び声を挙げようとする僕の口元を、青白く細い指が覆い包む。

叫ぶことすら許されなかった。

口元を掴む指が僕の口に入り込み、舌を絡め取る。

苦い土の味が混じる腐臭が僕の口腔内に広がり、僕の喉元に嘔吐感が込み上げる。

が、新たな無数の腕が僕の首を握り締めあげる。

呼吸すらままならない。

嘔吐感を感じることすらも、許さない。

これは夢だ!

ただの悪夢だ!

神様、どうかお願いします。僕を夢から覚ましてください!

願いを込めて、僕は目を瞑る。

だがその瞬間に現れた新たな指が僕の眦を押さえつけ、眼をこじ開けた。

目を瞑る自由すらも奪われた。

身動きを封じられ、四肢の自由を奪われる恐怖。

僕に許された自由は、視界の先に広がる光景を見続ける事のみ。

その視界の先の、薄暗い部屋に、変化が現れた。

部屋の中にポッと、一つの小さな灯りが浮かび上がった。

小さく揺れる灯り。その灯りの正体を見極めようと、僕は灯りを見詰める。

…蝋燭だった。

それは、蝋燭に灯る炎の明かりだった。

部屋の真ん中に浮かぶ一本の蝋燭。

いや、浮いているのではない。

誰かが、その蝋燭を手にして部屋の真ん中に立ち尽くしているのだ。

その灯りが蝋燭を手にするモノを照らす。

そこにいたのは…、

ヤツだった。

薄暗い天井に届くほどの真っ黒な、ヒトガタ。

僕の瞳が恐怖で収縮する。

瞳の無いヤツの顔面の空虚な穴が僕を見据えるヤツの手には、火の灯る一本の蝋燭が握られている。

そう、蝋燭だ。

何が起きているんだ?

何故、ヤツは蝋燭を持っている?

その時、再び変化が生じた。

その灯火が、一つ二つと、少しづつ増えているのだ。

ヤツの背後で、少しづつ灯火の数が、…蝋燭が、その数を増やしている。

ヤツの背後に続々と灯る蝋燭の火。

蝋燭の数とともに広がる明かりが、部屋の奥を、ヤツの背後を照らす。

そこには、…青い着物を身に付けた無数の人間がいた。

その一人一人が、死人のような生気の無い表情で火灯る蝋燭を手にしながら立ち尽くしているのだ。

顔の無い黒いヒトガタのナニカ。その後方に現れた無数の青い和服の集団。

そして、手に持つ蝋燭。

増え続ける蝋燭がその数を止めた時。

僕は、気付いてしまった。

その蝋燭の数が、おそらく、百本である事に。

僕の脳裏によぎる嫌な予感。

その予感を体現するかのように、蝋燭に灯された火が、一つ、また一つと消え始めた。

火の消えた蝋燭から生じた煙は、部屋の天井を漂い、そして吸い寄せられるように黒いヒトガタの顔面の穴に吸い込まれていく。

ゆっくり、ゆっくり、秒読みを行うが如く、消えた灯火から生じた煙の姿をしたモノが黒いヒトガタの顔面の穴に消えていく。

…儀式だ。

これは、儀式なんだ。

その光景は、僕に嫌でもそれを想像させる。

そしてついに、99本の火が消えた。

残されたのは、黒いヒトガタが手にする蝋燭の灯火のみ。

その最後の火も消える。僕の希望と一緒に。

黒いヒトガタが、動き出す。僕に向かって。

来るな。来るんじゃ無い!

だが僕は身動きを封じられ、声すら出せない。

ヤツが、僕の目前に迫る。

そしてヤツは、夢の前と同じく、酷く歪に細長く痩せた体躯を折り曲げて、僕の顔面を掴み、顔を覗き込む。

ヤツの顔面の穴は、既に空虚な穴ではなかった。

ヤツは笑っていた。

真っ赤な舌を覗かせる開いた唇がウヒヒと笑っていた。

ヤツが更に身を屈め、僕の口を覗き込む。

なんだ! 何をするつもりだ!

ヤツが僕の口に向かって、顔面を突き出す。

まさか!

ヤツは僕の口という穴に身を捻じ込ませようとしているのだ!

嫌だ! やめてくれ!

僕は歯を食いしばる。

が、数十本の指が再び僕の口に絡み付き、無理矢理に閉じられた歯をこじ開けた。

グギョ

僕の顎の骨が砕ける不快な音と共に、ヤツの歪な体躯が僕の口に侵入してくる。

嫌だ、嫌だ、止めてくれ!!

夢ならどうか、覚めてくれ!

僕は目を覚ました時。

左手の掌に痛みを感じた。

僕は自分の右掌を見詰める。

傷があった。

真横一文字の傷があった。

その傷がざくりと裂け始める。

自然に、口が開くように。

口の中には、真白な歯が見えた、真っ赤な舌が見えた、ウヒヒ、掌の唇が語り出す

「血に塗れた斧を握り締めた復讐の神父は今宵も墓場で呪いの獣を擂り潰す。すでに獣の姿すら失った足元の死骸が病で獣の姿に成り果てた妻娘である事も気付かずに」

な、なんだこれは?なんなんだ?

嘘だと思って手を握りしめ爪を食い込ませ消えロトばりに願いを込めて血が溢れる程に力を込めて込めて込めて込めて一所懸命に開いて見れば口は消え無い赤い舌をチロチロしながら嫌なほどに真白な歯覗かせ笑うんだ語るんだ消えないんだ

「生贄の獣は身体の皮膚を剥ぎ取られる、一皮剥がせば人も猿も変わらず生贄だ。今日の生贄は君だよ、明日の生贄だーれだ」

全身が痒い痒い痒い僕は身体を掻き毟る、左掌の唇が喋り出す、やめろやめてくれヤメロヤメテクレ、左手を殴る、殴る殴る踏みつける踏みつけるぅ、砕けた骨が甲を突き破り激し痛み、でも消えた潰した、唇は無くなった、

あぁ痒い痒いボリボリと全身を掻き毟り、あれ?新たな傷はまた裂けて唇になる僕の腕は唇だらけ蚯蚓のような舌が腕から幾多も夥しく蠢いている、蠢く唇が語り出す物語

「石の蜘蛛の目は7つ、部屋の隅から廊下の奥から僕を見詰める。虫の理性は捕食すべきだと空の脳味噌に語り掛ける。よく見れば僕の足は蜘蛛蜘蛛蜘蛛」

閉じても瞑っても消えない消えてくれない嘘だと言ってくれ夢じゃないよ肘の先の傷が開いて動き出し足の裏がパクリ開いて、ほら、言葉を紡ぐ

「その屋敷に入ったモノは呪われる。誤解と嫉妬で夫に殺された女と、ゴミと同じに扱われた息子は霊と化し、関わるモノ皆呪い怨む、際限は無く、果ても無く、無限に、終わり無く。寧ろ終わらせる事すらも困難だ」

嫌だ嫌だ耳を閉じても塞いでも声が僕をしはいする物語は止まらない鼓膜を震わせ脳髄を溶かす声が僕をつつむ勘弁してくれ僕が何をしたんだもう聞きたくないいいいいいいい無駄だよウヒヒのがれるなんて、もう既に手遅れだって言っただろうもう無駄なんだよだから聞けよモノガタリヲ

「かの聖人は人の世を憂い、正義の為に世界の真実を模索する。炎の歴史の偽りを見た聖人は深海の神を見出して、人の世の王と愛する女神、その娘らを喰らい尽くす」

解ったよ解ったよ、聞きたくない聴かなきゃいいそうだダメなんだ聞かなきゃいんだ僕は頭がいいぞ、さあ潰そう耳潰そう聞こえないように、そうこれでいいもうこれで聞く事はないこれで終わり、んぎゃあああああああこんな熱い熱いいいいんだでもこれで終わるん…「赤子を喰おう、熱して切って盛り付けて」

誰?誰の声?ぼく?ぼくが喋ってるの?ウヒヒ終わらないよ、そんな事では終わらないよ百の呪いは消えないよ、さあ、また始めようか

「我を裏切った世界蛇は我が妻を孕ませ神の子を産み落とした。許さん許さん許さん。我は蛇を屠り妻を殺し、神の子を食らおう。我は気付いていなかった。既に我の身体はあの蛇と変わらぬ蛭に成り果てた」

滅びろ消えされ僕から消えろとザクリと刃を突き立て肉を切り裂く、だが無駄無駄ウヒヒそんな事では僕は消えない、消えないよ掌から、亡くした足の指から噴する熱い血潮が迸るああ痛い痛いよでもこれで消える逃れられるお願いお願い消えてくれ、ああダメだよ、さぁ物語を続けよう

「我らは天使の娘を護る三兵士。幾多の敵を屠り賜うた。けれど敵は終わらない。我らは天使の娘を護る三兵士。また敵が来る。娘の羽を毟り、顔を焼き、手足を切り取り、天使は蛆の子と化した。これで天使の娘は護られる…。我らは天使の娘を護る三天使。だが、天使は既に消え去った」

切り離したよこれで僕の口は喋らないべチャリとした舌が床に転がる、ザマァみろあるこれが全て悪いんだ終わりだ終わってくれ…何?

「何をしたか、貴様が何をしていたか、理解しているか、冒涜、貴様は我らを冒涜した、」

何?もう聞こえないんだよ、僕、喋らないんだよ、でも、ダメなの?これでもダメなの?

あぁ、僕を見ないで、見つめないで、口を開けないで、見たくないよ、見たくないのに、あぁ、やめ、やめて、お願い、しますから

「冒涜。命を捧げ、悲しみで作られた幾多の不幸な物語は愚者の遊戯に堕ちた。それは冒涜。百の物語の罪の記憶がその証。呪え、呪え、呪え」

ねえ、

あとナニをすればコイツはぼくの中からキえるのかなぁ

ねえ、助けて、助けて、たすけてよ

…死にたく、ないよ…

…。

「助けてくれ! 百物語に殺される!」

百話目を読んだ『僕』は、百物語に取り憑かれたんだ。

だから『僕』は、百物語から逃れる為に、

手足を切り裂き、四肢を潰し、

耳に熱湯をかけて鼓膜を潰し、

舌を切り取り、眼も抉った。

それでも『僕』は百物語から逃れられなかった。

重体だった『僕』は運良く病院に運ばれたけど、

何も見えない、

何も聞こえない、

何も喋れない、

四肢すら動かせない、

無明無言の闇の中で、今も苦しみもがいている。

もしかしたら、死んじゃえばいいのかもしれない。

そうすれば、百物語の呪いから解放されるかもしれない。

でも、今の『僕』には、それすら難しいだろうね。

『僕』がどうなったか、君は理解したかな?

え?

訳がわからない?

まぁ、伝えたかったことは、「全部、君の責任」だってこと。

『僕』…彼は、せっかくの忠告を無視した。だから、呪われた。

…。

ねえ、

握りしめた掌の中が汗ばんでいないかい?

口の中がカラカラになっていないかい?。

どうだろう? 

顔を上げた視界の端っこに、あのナニカが見えてはいないかい?

…。

もう一度聞くけど、

君は今までいくつの怪談を目にしてきたのかな?

今、君が読んでいたこの話が、君にとっての百話目ではないと、君は言い切れるだろうか?

それが、君の運命の分かれ目だ。

もう手遅れ。ウヒヒ。

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