中編4
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命短し、恋せよ乙女

私は晴れやかな気持ちで、美容整形外科をあとにした。

今まで、容姿のために、暗い人生を送ってきたが、もうその心配はない。

道行く何人かの男の、振り向く顔が私の自信をより確かなものにして行く。

私は大丈夫。

今までの気弱な私、バイバイ。

これで、憧れのあの人に堂々と告白することができる。

私は、真っ先に憧れのあの人の経営する喫茶店へと足を運んだ。

カランコロンと、軽やかなドアベルを鳴らした。

憧れの店長さんは、「いらっしゃ・・・」と言ったまま固まってしまった。

きっと私の美しさに驚いてしまったのね。

私は自分の指定席、一番奥の席へと進んだ。

以前は自分の容姿が誰にも見られないようにと、この席に自然に落ち着いたのだが、それがもう習慣になってしまったようだ。

私は、今か今かと店長さんが、オーダーを取りに来るのを待った。

今日はあの倉科とかいう、天然女は休みのはず。

私の店長さんに馴れ馴れしすぎるので、好きではない。

ところが、いくら待っても店長さんは私にオーダーを取りに来ない。

しびれを切らした私は、仕方なく声をかけた。

「あのー、注文したいんですけど。」

それでも、店長さんは私を無視した。

どうして?

私、あなたのために整形までして、ここに来たのに。

私は、悲しくて店を出ると外は雨が降っていた。

私は、雨の中、人目もはばからず泣いた。

美しくなればきっと、店長さんに告白できる、そう思ったのに。

私の容姿はもう完ぺきなはず。

ふと、街のショーウィンドウを見た。

「あっ」

私は思わず、声が出てしまった。

私の顔は、フジツボだらけだった。

どうして?

私は記憶があいまいな霧に包まれたようにもやもやしてきた。

確か、私は、店長さんに告白するために、この醜い容姿を整形するために、美容外科を訪れて美容整形の手術を受けた。

そして?

「ああ、これは失敗だ。どうします?」

遠くで男の声がする。目はあかないが、耳だけがその声をとらえている。

「このことが公になったら、うちのクリニックの名折れになる。このことは闇に葬ろう。」

何のこと?

「このまま麻酔を投入し続けてくれ。幸い、この女性には家族がいないようだ。」

ちょっと待って、麻酔を投入し続けるってどういうことなの?

それからだんだんと、意識が遠くなって行って。

フジツボからは、黄色い膿や、赤い血液の混じった汁が噴出している。

嘘、整形失敗したの?

麻酔を投入されて、私は?

誰か、誰か助けてください。

私はなりふり構わず、手あたり次第にすがりついたが、道行く人は知らぬ顔。

それどころか、触ることすらできない。

そこで、私は初めて、知ったのだ。

もしかして、私、死んだの?

すぐに整形外科に取って返し、施術した医師に詰め寄ったが、まったく無反応。

それどころか、私など見えていないようだ。

私のこと、見えないの?何度問いかけても反応はなく、のれんに腕押しとはこのことだ。

私は悔しくて泣いた。

泣いて街をさまよった。

すると、誰かの肩に、ドンとぶつかった。

振り向くと、そこには、憧れの店長さんが驚いたような顔でこちらを見ていた。

二人の視線は合っている。間違いない。

私はすぐさま、店長さんの右肩から覗き込んでこう言った。

「ミエテル?」

店長さんは、見えてるのに、私をずっと無視して歩き続けた。

やはり見えてるんだ。うれしい。運命を感じた。

やはり店長さんと私は運命の糸で結ばれてる。

でも、無視し続けるのは、私が醜いからですよね?

私は悲しくなったが、唯一私のことが見える人に助けてほしかった。

だから、道々、ずっとミエテル?と話しかけたのだ。

すると、前方から、あの天然女、倉科が歩いてきたので、私は舌打ちをした。

「ちょ!変なの連れてこないでくださいよ!なんなんですか、このフジツボ!」

この女にも見えてるのか。驚いた。

「町でぶつかって声かけたら、付き纏われてるんだよ、俺だって知るか。」

そう倉科に返していて、少なからずショックを受けた。

でも、この二人についていけば、何とかなる。

私は執念で二人の行き先に付いていった。

まったくもって、この倉科という女は失礼にもほどがある。

私のことを「コレ」扱いし、私が店長さんについてることを、対岸の火事だのなんだのと、言いたい放題だ。

そして、私たちは、雑居ビルの二階にあるバーにたどり着いた。

そして、この店のマスター、黒木という男にも私が見えるようだ。

私は黒木に連れられて彼のマンションへと向かう。

私は救われた。

しかも、私が希望した通りの美しい姿になって生まれ変わったのだ。

しばらくして、私のもとに、憧れの店長さんが訪ねてきた。

正確に言えば、黒木のコレクションの人形になった私に会いに来てくれた。

嬉しかった。

ねえ、見て、店長さん。私、キレイ?

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コメント 怖い、ありがとうございます。
むぅ様
この話は当たり前なのですが、怖話にしか書いていませんw
コラボ、楽しいし、もう伏線が引いてあるので、これほどおいしいものはありませんw
ふたば様
つくづくミエル人に生まれなくてよかったと思いますw
もしかしたら優しい人にはミエルんでしょうか。私、割と冷たいほうなので見えないのかもw
智花様
私も店長シリーズの大ファンです。
とくに店長と倉科ちゃんの掛け合いに、作者様のユーモアのセンスが光ってますね(*^^*)

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ロビン様

ほら、ビビっとくるでしょう?w

そ、それはもしかしてフリですか?よもつ先生…ひ…

フレール様
コメント、怖い、ありがとうございます。
すみません、勝手にスピンオフ、書いちゃいました。
ちょっとフジツボ女が流行りそうな予感がしますよ。
ほら、ビビっとくるのが得意な人とかw

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コメント、怖い、ありがとうございます。
沙羅様
どうやらビビっとくる病が、ある男から感染したようです。
誰とは言いませんが、顔の白い中華鍋を振る妖怪・・・ゲフンゲフンもとい紳士さんw
フジツボですぐにニキビを思い浮かべました。私も高校生くらいまでは、フジツボが大噴火してましたよ。
りこ様
コントw フレール様は、きっとああいうドラマの脚本家に向いてますね。最近、とんとテレビを見てませんが、ああいうドラマだったら絶対録画してでも見ますねw
レイ様
フジツボ、哀れですが、最後に店長に美しい姿を見られてよかったですw

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さすがです!!
素晴らしく、フジツボの感情を掴みきってますね~~!

・・・で、その・・お願いが・・・
ビビッとくるアンテナと、表現力の爪の垢、くださいっっ!!!!