18年11月怖話アワード受賞作品
長編8
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Nくんの怪異~白い女編~

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私の友人Nくんは、周りは老人ばかりの田舎で無農薬の野菜を作る農家さんだ。

口は悪いが正義感の塊の様なNくん。

人知れず、近くの山で命に関わる様な悪さをする者からご近所の老人達やハイカー達を守っている、正義の使者…

かも…

しれない…。

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久しぶりのそんなNくんのお話し。

ここ1年半程、闘病中のNくん。

最初はダニに噛まれた事から始まり、現在も入退院を繰り返している。

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既に人の形を成していない、かなり悪いモノにストーカーの如く付き纏われ、以前にも【Nくんの怪異~独白・幼少編~】でお話しした、浴室に現れていた、天井から長い髪を垂らす女。

そんな輩も、弱ったNくんの元に再来。

しかも、病床の弟を心配した実兄の家に居候をしている彼の姪っ子ちゃんや従姉妹などの入浴中に現れていたそうです。

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今回の話しは、昨年の秋頃…。

台風の被害が心配になったNくんの身に起こった奇怪な話し…。

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お兄さんの家で過ごしていたNくん。

夜になると台風の風雨も強くなり、誰もいない自宅(お化け屋敷とも言う)や畑が心配になる。

お兄さんは未だ帰宅していない。

当時のNくんはほぼ寝たきりの状態の為、車の運転どころの話ではなく、暫くは大人しくしていたらしい。(畑は弟子に任せて)

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だけど、やはりどうしても気になってしまう。

「ボロ屋の屋根が吹っ飛んでんじゃねぇーか?」

「畑の作物、全部ダメになっちまうんじゃねぇーか?」

一度気になり出すと落ち着かず、気になって気になって仕方がない。

なので、やっとの思いで布団から這いずり出ると義姉さんに

「ちょっと家に帰って様子見して来るわ」と告げた。

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義姉さん、そりゃ慌てますって。

介助なしで入浴も移動も難しい状態の義弟。

同じ県内とは言え片道、どんなに急いでも1時間はかかるであろうど田舎まで、どうやっても一人で帰れる訳がない。

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家に送って行くと言ってもどのルートを通っても寂しい夜の山道を行く事になる。

しかも、この義弟と一緒にいると碌な目に遭わない…。

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義姉はどうにかNくんを朝まで引き留めようと説得を試みたが、超が付くほどの頑固者のNくんがそんな説得を聞き入れる筈もなく

「でーじょーぶだ!一人で帰れっから!」と、相も変わらず口だけは元気で達者。

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一度言い出したら頑として曲げない義弟を知っている義姉。

溜息を吐き、肩を落としつつも義弟を家まで送り届ける決心をしてくれた。

(優しい義姉さんだ…。)

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県内の、割と大きな都市部に住む兄家から、どのルートで義弟の家まで行くかを迷う義姉を尻目に、既に頭の中で家までのルートを決めているNくん。

勿論、最短ルートで行く事を義姉に指示する。

途中、待避所もない細い山道を行く事になるが、国道を行くより遥かに時間は短縮される。

そして、暗い、街灯さえない山道を義姉のコンパクトカーは進んで行った。

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山頂に向かう上り坂。

Nくんの妖怪アンテナがピピッと来てしまう。

(ヤベェなぁ…)と、思いつつも今更Uターンさえも出来ない山道。

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一応、ハンドルを握る義姉に前以て言っておいたそうだ。

「いいか?

こっから何が起こっても慌てんなよ?

エンジンも切れるだろうし、車は動かなくなるけど慌てんな?」と…。

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義姉、霊感ゼロな人の筈が、この義弟のお陰で何度かとばっちりも食らっている事から焦り出してしまう。

すると、車のエンジンがNくんの宣言通り、プスプス…プス…と、切れてしまった。

「えっ?なになに(;;o△o)!?何でよっ!!」

義姉は軽くパニックに。

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義弟に何が起こっているのか聞いたところで何も答えず、義弟の視線は真っ直ぐ前方を険しい表情で見詰めているだけ。

義姉…

義弟の視線の先に自分の視線も重ねた。

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真っ暗な山道。

そこに白い何かが浮かんでいる。

それが猛スピードで自分達の車に向かって移動して来る。

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「えっ?

えっ?

何?何?

アレ…何なのぉぉおおおっ」

義姉は悲鳴をあげた。

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Nくんの見詰める先、猛スピードでこちらに向かって来るのは、白いワンピースを着た女。

まるで、動く歩道の超高速版に乗っているかの様に、真っ直ぐにNくんと義姉の車に向かって来る。

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Nくん、このままじゃ義姉までヤバいと判断し、義姉に言ったそうだ。

「俺が車から降りたら、バックで下ってエンジンかかる所まで行け。

そっから、山道に入る前にあったコンビニで待ってろ。

必ず行くから。

俺と一緒にいたら、スゲェ怖い思いすんぞ。」

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そう言うと車から降りたNくん。

義姉は言う通り、エンジンのかからない車でそのまま山道を下って行った。

暫くすると、ギュルギュル!!と、物凄い音を立てて車が遠去かる音を聞く。

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Nくんの目の前には白い女。

目の当たりは真っ黒の空洞の様な闇。

Nくんを見ているのか見ていないのかさえも分からない。

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大きく開けた口の中も真っ黒の空洞。

それを大きく開けてNくんに訴えて来る。

~かえして…

~かえして…

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勿論、Nくんには思い当たる節も何もなく、何でいつもこんなもんに付き纏われるのか、腹も立ち、白い女に返す。

「かえしても何も、知らねぇ~よ」と。

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暫く、白い女の

~かえして…

と、Nくんの

「知らねぇ~よ!」の言い合いは続いたそうだ。

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取り敢えず、義姉は麓のコンビ二まで安全に逃げ切ったであろう頃かと、Nくん、杖をつきながら義姉の待つコンビ二までと、山道を下る事にした。

その間、白い女はずっとNくんに向かって

~かえして…

と言っているが、それも無視して歩く。

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だが、闘病中のNくん。

口は達者で態度もいつもの俺様だけど、身体は確実に弱っているから、足元がフラつき何度も躓いたり転んだり。

元気な時なら30分もかからないであろう麓のコンビ二までが遠い。

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数歩進んで休み、又数歩進んでは休み…

時々、木に寄りかかり座って休む。

白い女は飽きもせず、ずっとNくんに付き纏い、何かをかえせと煩い。

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山道の片側は木の茂る山林。

そしてもう片側は崖になっていて、その下には川がある。

台風の強風の中、杖をついて歩くNくん。

白い女と寄り添って(?)

未だ麓まで半分も行かない場所。

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歩くのも嫌になっていたが、義姉が狂った様に心配するサマが浮かんで来る。

(面倒くせぇなぁ~)と思いつつも、山道を只管に下っていた。

そして、崖側にある木を背凭れに座って休んでいると、何者かに腰の辺りをワシっと掴まれ引っ張られる。

見ると、崖の下から伸びた手がNくんの腰の辺りの服を掴んで引っ張っている。

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(まったくよぅ~。新たな奴か。

ふざけんなっ!!)

Nくん、その手から自分の服をグイッと引き戻し、ゆっくりと立ち上がるとその木から離れて又歩き出す。

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そして、4時間程掛けて、義姉の待つコンビ二に着いた。

義姉はNくんの姿を見付けると駆け寄り、ブワッと涙で目を潤ませながら

「無事で良かった…。」と、ハグしてくれる。

そして、違うルートからNくんの家に行こうと車を走らせた。

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それからは何もなく、無事にNくんの住むお化け屋敷に到着するが、未だ深夜。

一人で帰るのが怖いと言う義姉は、広いお化け屋敷の他の部屋に行く事もなく、朝が来るまで布団に横になるNくんと同じ部屋で怖さの余り、一人お喋りをしていたそうだ。

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(うるせぇーなぁ)と、思いつつも、多少なりとも自分の所為で怖い思いをさせてしまった罪悪感もあるので、適当に相槌を打ちながら義姉の話に付き合っていたそうだ。

そして、前夜の嵐も嘘のように落ち着き、清々しい初秋の朝がやって来て、義姉は家に帰って行った。

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「本当にワガママばかり言いやがって(。・ˇ_ˇ・。)

Nくんが大人しく、家に帰らないでお兄さんのとこにいたら、そんな怖い思い、お義姉さんもしなくて済んだのに(-""-;)」

私、Nくんにお説教。

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でも、その白い女の行方もちょっとばかり気になって聞いてみた。

Nくん、大笑いしながら言う。

「はははっ!!

それがよぅ!実はずっと付いて来てたんだよww

コンビ二着いて、義姉と俺の家に向かってる最中も、ずっと俺の横で『かえして~』って言ってやがったww」

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私「えっ( ⁰▱⁰ )?」

Nくん「義姉が気付いてなかったから何も言わなかったけどなぁ。

ずっと車に引っ付いていたんだわww」と…。

それが何処に言ったのかは聞かなかった。

もしかしたら、ソレもNくんの家の住人の一人になっているのかもしれないと思うと、恐ろしくて聞けません( ;∀;)

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ここ数年の間、Nくんの家に住み着いている増えて行くお化け達…。

通りすがりの侍が縁側で休んでいたり、お風呂に入ろうと浴室のドアを開けると、床から生えた頭やら、深夜になると家の裏側でお経を読む坊主?やら…。

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仏壇の置いてある部屋には、斬馬刀と言う大きな刀を持った鎧武者。

Nくんと同じ家紋があるから、もしかしたらご先祖様かもしれないとの事。

(以前Nくんの家飼ってた猫は、決してその部屋には入らなかったと言うから、猫には鎧武者が見えていたのだろう。)

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いつも死闘を繰り広げていた斧女も相も変わらず襲って来るし、シミの様に壁の中にいる、いつか足を掴んで引き摺り込もうとした地味な着物を着た婆さんも健在。

いつしかその横には爺さんまで居座っているし、つい最近は、その真ん中に孫?なのか…

頭の小さな子供まで出現し始めた。

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しかも、Nくんの妖怪アンテナでは、その子供が一番タチの悪いモノに感じるそう。

未だ実害はないらしいけど。

そのうち、息子やら嫁やら、ファミリーで出現してくるのではないかと、私だけはちょっと楽しみでもある。

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家の中に入ろうと、天井の板をガリガリと削る姿の見えないモノから…

数年前に亡くなった、ご近所で一番仲の良かった爺さんが、どんどん悪いモノになって来ている事や…。

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今はちょっとだけ弱気になっているNくん。

又、いつもの強気で豪快なNくんに戻って欲しいですね。

まだまだ、Nくんから聞いた話、皆さんにお伝えしたいと思います。

これからもNくんから聞いて、震え上がりながら文字に起こして投稿したいと思います。

ずっとずっと、このNくんの怪異を続けたいと思います。

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お読み下さった皆さんの元気。

少しずつ分けて下さい。

そして、大きな元気玉にしてNくんに届けたいと思います(/ ᐛ)/

Nくんの怪異は、まだまだ続く…。

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