母から聞いた話です。
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以前、執筆させて頂いた「ついてきていた」に書いた様に、私の母はI県出身です。山奥の田舎ということもあって、学校とか少人数で皆、仲が良い…とは限らず女子は幾つかグループに分かれます。
(昔も今も変わらないですね)
母が中学生の時、自分のグループにFちゃんが居ました。
Fちゃんの家は、結構裕福な家庭で、母は貧しかったにも関わらず一緒に山や沢で遊んだり、かき氷を奢ってもらったりと仲が良かった。
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そのFちゃんには、3歳年下の小学5年生のMという弟がいました。
2人は結構仲が良かった様ですが、M君は少し身体が弱く、激しい運動とかは出来ませんでした。それでも別に、命に関わる病気と言う訳では無く、ただ身体が弱かっただけです。
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夏休みが終わり、半袖では肌寒くなってきたある日、母はFちゃんと遊ぶ約束をして、学校の裏手の神社の境内で待ち合わせをしました。
しばらくすると、境内の階段をFちゃんが登ってきました。
(あれ…?)
Fちゃんの後ろに隠れる様に、男の子が1人います。小綺麗な服装をした小学生位の子、その子がM君でした。
「ごめんねぇ、なんか今日Mが調子良いみたいで。 一緒に遊びたいって言うんだけど、良いかな?」
Fちゃんの言葉に、母は頷き、一緒に遊ぶことになりました。M君は身体が悪いと言うことを聞いて、かくれんぼやお手玉、あやとりなんかを境内の石畳の上でやりました。
しばらくすると、M君が首にかけていたヒモを握って上に上げました。
服の中から、小さな黒いカメラが現れました。
ーわー、すごい! カメラだ!ー
母はカメラを触らしてもらいました。
表面が少しザラザラした、高級そうなカメラです。
(さすが、お金持ちだなぁ…)
カメラを堪能してM君に返しました。M君は、カメラを構えて境内の写真を撮り始めました。
M君に遠くに行かない様に、と伝えた、母とFちゃんは縄跳びで遊ぶことにしました。
しばらくして、視界からM君が居なくなっていました。大きな声で呼んでも、出てくる様子がありません。
慌てて、2人で手分けして境内を探し始めました。
しかし、M君は見つからなかった…
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…なんて事も無く、数分で境内の裏手の林の中で写真を撮っているM君が見つかった。見つけた母は、Fちゃんを呼びました。
FちゃんはM君に
「呼んだら、ちゃんと返事してよ! 心配したんだけど!」
キツメの口調で叱りつけます。
M君は少しシュンとしましたが、目線が一点を見つめています。その先には、しめ縄のされた立派な御神木がありました。
3人はその正面に立ちました。所々、コケがビッシリ生えていて、相当古い木だと分かります。
日が傾き始めてきました。林の中にいるせいか、周りがどんどん暗くなってきました。
「もう、帰ろうか」
「そうしようか。 この木、見れて良かったね」
母とFちゃんは話して、帰ることにしました。
「ねぇねぇ、写真とろー。 この木の前で、3人で」
突然M君が、Fちゃんの服をギュッと握って言いました。
じゃあ、帰る前に撮ろうか、と御神木をバックに写真を撮ることにしました。
御神木の前に、左から母•M君•Fちゃんの順で並んで写真を撮り、境内を後にして帰路につきました。
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土日を挟んで、月曜日に学校でFちゃんに会いました。軽い挨拶をして、いくらか様子がおかしい事に母は気づきました。
「どうしたのー? 何か嫌な事でもあったの?」
心配して、放課後聞いてみました。
「うん、あのね。 金曜日遊んだとき、写真撮ったじゃん。 あの写真を日曜日に現像したんだけど…」
そう言ってカバンから、茶封筒を取り出して、机の上に置きました。母は茶封筒の中から数枚の写真を取り出しました。
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境内の木や狛犬、雲などの写った写真の中にソレはありました。
御神木の前で並ぶ3人の写真。
「きゃああぁ!」
母は思わず叫び声を上げて、写真を落としました。Fちゃんがソレを恐る恐る拾い上げました。
「私も同じ反応したよ。 ビックリしちゃって」
母とM君とFちゃんが御神木の前で笑顔でピースをしてる3人の写真。
ただ、それだけだったら良い写真でした。
でも、確かに真ん中に立つM君の頭の上には一羽のカラスが羽を広げてとまっていました。
その異様な光景。笑ってるM君の上にカラスという奇妙な写真。
「この写真、M君には…?」
母は聞きました。
「もちろん、見せてないよ。 こんな写真見せたらM、益々身体悪くしちゃいそうだし…」
2人は少しの間、黙っていました。
そして、母が、その写真を神社に持ってって供養した方が良い、ということを伝えました。
Fちゃんは顔をしかめながら、コクン、と頷き、2人は別れました。
それから、5日後。ちょうど不気味な写真を撮って一週間後の金曜日、M君が風邪をこじらせて、そのまま息を引き取りました。
母曰わく、
「あの写真はM君の死を予告したものだと思う。 今はFと連絡取ってないけど、共通の友人を介して聞いた話じゃ、あの写真まだ持ってるみたいなのよね」
真顔で語った話(というかオカルトとか大嫌いで幽霊とか信じてない母が)なので実話だと思います。
最後に私は今、執筆中にあることに気がつき、鳥肌がたちました。読者の方たちは気づかれたでしょうか…?
作者朽屋