皆さん、ねこまた…いや
猫又ってご存知でしょうか?
色々説はありますが、私の知っている
猫又は長寿を迎え、死んだ猫が
尾を2つにして生き返ってくる
という話です。
今回は私の飼っている猫、
Mとしますが、その猫の
不思議な話です。
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私の家族は、皆動物が大好きです。
母は子供の頃から牛や鶏を始め
猫やネズミなどを飼っていて
結婚後、私達が産まれてからも
犬や猫、ハムスターや兎などなど
凄い数になります。
そんな動物達も野犬に襲われたり
共食いを始めたり、ゲージから
脱走したりして、現在は
知り合いに頂いた猫1匹に成りました。
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その猫がMちゃんです。
床屋さんで飼われていた為
とても人懐っこく、ウチに来て
2日間いなくなりましたが
3日間には戻ってきて家族の
一員になりました。
Mちゃんは、もうお婆ちゃん猫
ですが、毛艶が良く顔も凛とした
灰色の毛並みが似合う美猫です。
(これ以上は親バカになるので控えます)
私も動物好きなので、沢山愛情を
注ぎました。
そのおかげか、家族の中でも特に
私に懐いてくれ、猫に何かあると
家族から
「ほら、あんたの彼女が鳴いてるよ」
と、言われるほどです。
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そんなM(以降、M猫にします)が
ウチに来て3年位が経ったころでしょうか、
お婆ちゃん猫だけど長生きしてくれてる
そう家族で話していた時、M猫が
目の前でオシッコをし始めました。
今まで布団にされたことはありましたが
トイレの砂が汚れてたり、外に出していた時でした。
今回は普段通りいつも使用してる
猫砂に新しく変えて家の中に
あったのに、放尿をしたのです。
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それからです。M猫は少しずつ
おかしくなりました。
雷雨の日では無いのに
テーブルの下でガタガタ震えていたり、
普段風呂場に入らないのに
夜中に風呂場の鏡を立ち上がって
覗いていたりという事が続き
私は不安になりました。
そして遂に、食事を取らなくなりました。
この時は流石にショックを受け
必死に水でも飲むように頭を
抑えますが、拒みます。
母だけは、猫が寿命で死ぬのを2回
も見ていたので悟っていました。
泣き出す妹や私達に、
「もう寿命なんだよ、最期まで
可愛がってあげよう」
そう言いました。
頭で理解していても、感情は否定して
パソコンで病気なのではと
検索しましたが、症状の似た病気
がありましたが、治療に耐えられる
体力はありそうも有りませんでした。
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「このまま逝かせてあげよう。母の言う通り最期まで可愛がってあげよう」
私は覚悟を決めて、今まで以上に
可愛がってあげました。
shake
しかし、二日後M猫はいなくなりました。
猫は死ぬ時、縁の下など人目に付かない
ところで死ぬ。
母にそう聞いていたので、
遂にきたか
と、思って悲しみの中諦めました。
最後に見たM猫は、ガリガリに痩せ
毛並みが荒れてて見る影も有りませんでした。
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居なくなって、最初はきつかったですが
学業もあり、少しずつ悲しみが
薄れ始めて二週間が経とうとした
ある日、私がパソコンの電源を
消してボーっとしていた時、
黒い画面にM猫が写りました。
「え、M猫?」
そう思って後ろを振り返ると
確かにM猫がいました。
でも、そこにいたのは
最後に見た悲惨な姿のM猫
ではなく、生き生きしていた頃の
肉付きが良く毛並みの美しい
猫でした。
しかし、見た目も鳴き声も
確かにM猫。
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その数日間は家族みんなで
喜びました。
もう死にそうだった猫が
凛として戻ってきたのですから。
私が恐怖を覚えたのは
その数日後です。
その日、帰宅した私は
パソコンをつけYouT○beを
見てました。
夕方、夕日が居間を赤い空間に
作りあげていました。
急に見ていた動画が止まり
パソコン画面が真っ黒になりました。
そこには私を見つめるM猫が。
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私は少しビクッとして
後ろを向くと
「にゃーにゃー」
M猫が鳴いています。
テーブルの影で黒く見えたのが
印象に残っています。
「どうした、遊びたいのかー?」
私は耳掻きを取り、目の前で
左右に振りじゃらそうとしますが
無反応で鳴き続ける。
「にゃーにゃー」
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不気味に感じた私は
ふとこんな事を口にしました。
「お前、あんな事もあって帰ってきて驚いたよー。ただ死にそうだったのに、どうやって復活したんだ?」
M猫に話しかけても
「にゃーにゃー」
苦笑しつつ
「実は、猫又になったのかもな」
冗談のつもりで言いました。
でも、そう言った後
そこにいたのは
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shake
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無表情で沈黙し、私を
見つめる真っ黒なM猫。
勿論、猫に表情なるものは
ありません。
しかし無表情としか言い表せない顔で
何か禍々しい雰囲気を醸し出して
見つめてくるM猫。
影の所為なのか目が真っ黒。
その真っ黒な目で私を見つめてくる。
何分経ったのか私は目を離せず
その場から動けませんでした。
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いきなりM猫は動き出し、私に向かって
きました。
「う、うわっ!」
思わず声が出ました。
しかし、M猫は私を通り過ぎて
玄関に。
同時に
「ただいまー」
弟の声が玄関から聞こえました。
「おぉー、M猫出迎えご苦労ー!」
「にゃーお」
そのやり取りが聞こえ
私はその場でへたりと腰を落として
しまいました。
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その後、M猫は普段通り私に
接してくれますが
私は偶に怖くなります。
あの日を思い出して。
あの時、M猫が人語を話したら
私は家を飛び出していたと思います。
勿論、今もM猫は尾は分かれていませんし
人語を話したりしませんw
心霊的な話でなくて
期待していた方々は
スミマセン。
しかしあの日の恐怖は
文章に表し難い程でした。
作者朽屋