1幻夢アリスは仕事熱心である。
「ふぅやっと仕事がおちついたわ」
幻夢アリスはめをつむる。
いつものようにゴシックロリータをみにまとい幻想的な雰囲気をだす幻夢アリス。
沈黙が洋館を支配する。
ドス、ドス。
外からドアを叩く音が沈黙を破る。
2「入ってらっしゃい」
失礼しますといい入ってきたのは、まだ12才か13才くらいだと思われる一人の少女。
「依頼があってきました」
少女はそう言い俺を見た。
「話してもらおうかしら?」
幻夢アリスはそう言い再び目をつむる。
「私修東高校二年の軌条飛鳥と言います。依頼内容は」
彼女はそう言い語り始めた。
彼女は怪奇現象に悩まされているそうだ。
ものが勝手に動いたり、誰もいない部屋から物音がしたり 内容は様々なようだ。
彼女は一年前に恋人を事故で亡くしたそうだ。
もうすぐ命日とのこと。
そのこととなにか、関係あるか調査してほしいというのが依頼内容だ。
「で、お金のことなんですが」
「必要ないわ。学生から金をとらないことにしてるの」
幻夢アリスはそう言い終えると急に立ち上がり、家に案内するよう彼女にいい部屋を出た。
俺と彼女は慌ててその後に続いた。
3
6月28日
同じ学年の軌条飛鳥。
軌条飛鳥はポニーテールが特徴的な明るい性格の少女だ。
今日は雨が降っていた。
俺は遅刻ギリギリのため、全速力で走っていた。
そんな中足の悪そうなおばあさんの手をとって一緒に歩いている少女をみかけた。
同じクラスの軌条飛鳥だ。
「おまえなにしてるの。学校遅刻しちまうぜ」
「あれ、明君?このおばあさん足が悪いらしくて。それで家まで送っていこうかなって」
馬鹿だと思った。
だって他人だぜ。
普通ほっとくだろ。
だが、彼女は精一杯おばあさんを送っていこうとしている。
その姿をみてほっとけなかった俺は
「見ていられないな」
おばあさんを背負いゆっくり歩きはじめた。
軌条って結構かわいいやつなんだなってそう思った。
当然のことながら二人とも遅刻。
その結果、教師から有り難いお説教をきくはめになった。
4
「ここが家です。どうぞ」
彼女はそういいながら、ドアを開けて俺と幻夢アリスに入るよう促す。
彼女の部屋は二階だった。
部屋はさほど広くない。
ぬいぐるみが溢れるほどあり可愛らしい部屋だ。
「なるほど」
幻夢アリスがなにかに気づいたようだ。
「物音がするという部屋は?」
幻夢アリスが彼女に尋ねた。
「あ、こちらです」
その部屋は二階の一番はしにあった。
物置としてつかわれているそうだ。
「この箱の中身は?」
「明君。あ、亡くなった子のご両親から預かってたものです」
5
7月3日
遅刻してから数日後俺と軌条は日直当番となった。
担任から教科書を職員室に運ぶよう言われ、二人で運んでいた。
運んでいたんだが、軌条のやつ、全然体力がないのだ。
すぐに休んでは運ぶ。
すぐに休んでは運ぶ。
これを繰り返すもんだから頭きちまって軌条のぶんも持って運んでやった。
そうしたら軌条のやつ泣きやがった。
おおげさ過ぎるだろと思いながらハンカチ渡してやった。
6
箱の中身は日記だった。
亡くなったのが8月5日。
この日記は8月4日まで綴られていた。
「亡くなった子はどんな子だったの?」
すると突然彼女は泣き出した。
「活発でとてもたよりになる人でした。とても」
今にも死んでしまいそうなほどたよりない声でそう言った。
7
7月7日
今日帰りに軌条が不良に絡まれていた。
無視したかったが軌条がこちらに気付き助けをもとめてきた。
不良は当然ながら俺の所にあつまってきた。
総勢6名。
もうやってられるか。
一番近くにいた奴をぶん殴った。
殴りあい。
俺が解放されるまでたっぷり1時間はかかった。
そして、これも当然のことのように担任に大目玉くらった。
軌条が事情説明してなんとかなったが。
カッコ悪い所みせちまったな。
軌条に。
8彼女の部屋に戻った。
「簡潔にいうわ。この家でおきてる怪奇現象はその亡くなった子が原因なのは間違いないわ」
幻夢アリスは断言した。
「亡くなった子は私に恨みでもあるんですか?」
彼女は相変わらず泣きながらそう言った。
「違うわ。なにかしらの未練があるみたい」
その時だった。
バシン。
あいていたドアが急にしまった。
慌ててドアによるがドアはピクリともしない。
「閉じ込められたみたいね」
幻夢アリスの緊張感の欠片もない声が部屋に響く。
軌条飛鳥はどうしたらいいか途方にくれているのだろう。
状況がわからない様子で辺りをキョロキョロしている。
すると窓ガラスに突如手が現れた。
赤い。
血の色だ。
手が血で濡れている。
「うぁ」
声をあげたのは軌条飛鳥だ。
顔面蒼白で全く覇気がない。
すると窓ガラスの手の指がが突如動きはじめた。
お。
窓ガラスに文字が描かれる。
れ。
の。
文字が次々書かれる。
い。
え。
へ。
そこで指が動きを止め手が消失した。
おれのいえへ。
血の色でそうかかれている。
「彼の家にいきましょう」
9
7月23日
気がついたらいつも軌条のことを目でおっていた。
最近は軌条のことばかり考えている気がする。
俺ってもしかして。
10
加藤明の家はすぐ近くだった。
「あら飛鳥ちゃん。久しぶりね」
加藤明の母親だった。
俺達は中に入れさせてもらった。
なかは軌条飛鳥と同じくらいの広さだ。
「なにか彼の遺品ありますか?」
幻夢アリスはこう見えても生きている人間には礼儀を忘れない。
「そういえば亡くなった時これをにぎりしめていたわ」
それは安物の指輪だった。
軌条飛鳥を盗み見ると彼女はやはり泣いていた。
そこで彼女は語り出した。
あの日のことを。
その日は付き合い初めて3日目だった。
はじめてのデートの日だった。
海にいく約束をしていたらしい。
待ち合わせ時間の十分前についたらしい。
緊張でガチガチだったらしい。
彼女はいまかいまかと彼の到着を待っていた。
だが、彼はこなかった。
彼の訃報を聞いたのは夜家に帰ってからだった。
11俺はきづいた。
俺は軌条飛鳥が好きだ。
明日ダメ元で告白しょう。
たとえ嫌われることになっても
12加藤明の命日の日がきた。
俺たちは加藤明と軌条飛鳥が約束していた海にきていた。
軌条飛鳥の指には安物の指輪。
「明君。海にきたよ」
そう言い指輪をはめた指を天にむける。
そのときだ。
突然の突風がふいた。
気がつくと彼女の後ろには少年がいた。
写真でみた加藤明と全く同じだった。
加藤明は彼女を見つめていた。
そしてこちらに向かって一礼した。
光の粒子となった彼は天にのぼっていった。
作者月夢改
シリーズ二作目です。
今回は恋愛にまつわる話です。
全く怖くないですしつまらないかも知れませんが宜しくお願いいたします。
駄目な点は指摘していただけると嬉しいです。
追記私の作品は全て創作です