ぼんやりと向かい側のホームを見つめていたら、
ある女性と目が合った。
白いワンピースに赤いハンドバック。
遠目でも美人だということは何となく分かった。
女性がニコッと微笑んだので、私も笑顔を
つくる。次の瞬間、電車が到着したので乗り込んだ。
座席に腰を下ろし、バックから文庫本を取り出し、
顔を上げた。先程の女性が向かいの座席に座っているではないか。
間違いない。ついさっき、反対側のホームにいた
女性だ。白いワンピースに赤いハンドバック…見間違えるはずもない。あの女性である。
彼女は私と目が合うと、ニコッと微笑んだ。
作者まめのすけ。