僭越ながらこれからお話する内容は、言葉遊びの弟子。こと私自身が「ガチ」で体験した話です。
怖くもなく、面白くもないのですが。今までの人生の中でも洒落にならないことでしたので、僭越ながら掲載させて頂きます。
あれは2年程前のこと…でしたか。
私は仕事上、夜勤をする立場にいるもので。その日も夜勤でしたので、午前中からシャワーを浴びていたんですが。チャイムの鳴る音が聞こえてきまして。
しかし、出られるような状態ではない(笑)。申し訳ないなぁと思いつつ、シカトを決め込みました。
しかし…鳴り止まない。何度も何度もチャイムを鳴らされたんですが、それにしたってどうしようもない(笑)。本当の本当にどうしようもない。
お願いします諦めて下さい…と心の中で祈りつつ、シャワーを浴び終えたので、浴室の外へ。
すると今度は勝手口に回られたらしく、勝手口のチャイム連打攻撃。因みに浴室のすぐ横が勝手口なんです。おまけに鍵を掛けていない状態。何と不用心。
しつこくチャイム連打をされるんですが、こちらとしてはバスタオルを1枚巻き付けたまま、髪も拭いておらず、さながら「濡れ女」のような異様な風体でしたので、やはり出るわけにはいかぬ。
ーーーと。浴室の扉が開き、スーツを着た男性が立ってました。
…えええ!?
固まる濡れ女。
スーツを着た男性は、濡れ女と対峙しながら営業スマイルを浮かべ、
「警察です」
警察…ですか。
やはり何も言えない濡れ女。
「お宅の前に駐車している白いワンボックスカーなんですが。あれ、お宅の車ですか?」
即座に首を振る濡れ女。うちの車は黒の軽でしたので。
「そうですか。どうも失礼しました」
彼は爽やかにそう言うと、勝手口から出て行きました。呆然とする濡れ女。湯冷めした頭でぼんやりと脳裏を掠めたのは、「彼は本当に警察の方?」ということでした。
警察手帳も掲示されませんでしたし。そもそも、家宅礼状もないのに、人の家に上がり込むという行為はどうなのでしょう。聞き込みのためなら、多少の暴挙は構わないのでしょうか…。
人間って怖いですねぇ。
作者まめのすけ。