今日は、土曜日。
Oは今日を楽しみにしていた。
何故なら、今人気のマジックショーが見れるから。
列はどこまでも続いているようなとても長い列だった。
Oはどうしても見たくて、並ぶことにした。
並んでから1時間ほど経った...。
やっと、Oも入れる!!!
そして、ステージの前に人気マジシャン、「マジカ〜ル」が出てきた。
Oはマジカ〜ルのマジックをテレビで見たこともあったが、今日はマジックショーに来たお客さんだけに見せる特別なマジックがあると聞いて来た。
そしていよいよ、ショーが始まる。
「初めまして!!!マジカ〜ルです!今日はマジックショーに来てくれて有難う御座います。それでは、さっそくマジックを始めたいと思います。」
最初のマジックはテレビで見たことがあった。
でも、間近でみるのは初めて。
Oは興味津々で、目を離すことなくずっと見ていた。
そして、いくつかのマジックが終わり、いよいよ最後のマジックが始まる。
「最後のマジックはこの小さなダンボールの中に誰かに入ってもらいます。そして、私がダンボールのフタを閉じ、ダンボールを叩きます。すると…中に入っていたはずの人が消えてしまいます!誰かダンボールに入ってくれる方はいますか?」
Oはどんな仕掛けなのか気になって、手をあげた。
「うーんと…それじゃあ、そこの男の子!!お願いね〜」
Oは数十人の中から選ばれた。
(やった〜!!!どんな仕掛けなのか見てやるぞ。)
「それじゃあダンボールの中に入ってね。」
「は〜い」
わくわくしながらダンボールの中に入りました。
「それじゃあ、ダンボールのフタを閉じるよ〜。」
フタが閉まると、辺りは真っ暗になった。
(うわ〜…暗いな〜)
「それじゃあ、フタを開けます!!」
「わ〜〜〜〜!!!」
お客さんはびっくりしていた。
Oが入っている場所はまだ真っ暗なまま。
(な〜んだ。消えたわけじゃないんだ。)
「それでは、マジックショーを終わりにします。有難う御座いました。」
(え!?終わっちゃったの!?出たいよ〜)
そう考えていると、どこからか声が聞こえた。
「君は、もうおうちへ帰れないよ。」
それは、マジカ〜ルの声だった。
それからOは皆の前に現れることはなかった。
そうして、マジカ〜ルがそのマジックをする度、入場者の誰かが居なくなるという噂は広まっていった。
作者もちこ