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こんにちは、蘇王 猛です。今回は俺の友人にまつわる話をしたいと思います。
高校に入学したての頃の事でした。今は学校こそ違いますが、幼稚園からの親友である須藤(仮名)から変なメールが来ました。
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「蘇王、頼むから左半身に気をつけてくれ。」
彼はメールに必ず題名をつける奴なのですが、この時は無題でした。それだけ急いでいたという事だったんでしょう。
「は?いきなりどうした?」
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俺は驚いてすぐ返信しました。須藤からの返信が来るのにそう時間はかかりませんでした。
(ここから名前付き鍵括弧内はメールの内容になります)
須藤「悪い夢みた」
俺 「悪いって、どんな?」
須藤「よく覚えてないけど、絶対気をつけろよ。」
俺 「え、ああ…。分かった。」
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暫くして、また彼からメールが届きました。
須藤 「さっきからごめん。落ち着いたらちゃんと話すから。」
「…どうしたんだ、あいつ…?」
一体須藤に何があったのだろう。俺は少し心配していました。
突然連絡寄越したと思ったら左半身に注意だって?どういう事だろう。その時また携帯が鳴りました。
須藤 「無事か?救急車通ったから不安で」
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俺 「ああ、何ともないが?にしても悪夢ごときでそんなに心配するとは。そんなに悪い夢だったのか?」
須藤「何だか凄いリアルで怖くて。内容覚えてないのにそれだけ覚えてるのがまた怖くて。まあ今無事だって知って安心したよ。」
俺 「そうか。気をつけておこう。お前も疲れてるなら休めよ?」
その日はそれで通信を終わりました。
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翌日、俺は体育の授業でグラウンドに出ていました。
「蘇王、パス‼」
「おう!…っと!」
俺の手をすり抜けて後ろへ飛んでいったボールを追いかけ、金網の張られたグラウンドの端に走りました。
「…あ、あったあった。」
ボールを拾い上げると、
「…?」
ふと眩暈がして俺はそのまま金網に倒れ込んでしまいました。
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目を覚ますと、そこは保健室でした。
「蘇王、大丈夫か?」
数人の友人が声をかけてきました。
「ん、ああ…。…痛‼」
起き上がろうとすると、左脚に激痛が走ります。
「あ、まだあまり動かない方がいいよ。血が止まってないから。」
保健の先生が消毒液を持って来ました。
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「蘇王、お前急に倒れたりしてどうしたんだ?」
友人の一人が声をかけてきます。
「うーん…。俺も良く覚えてないんだよな。急に眩暈がして、力が抜けて…痛って‼せ、先生!急に消毒液かけないでください!」
「男ならそれ位我慢する!」
先生は足の怪我とその他諸々の治療を終えると、言いました。
「でも良かったねー、もう少し深くいってたら筋に傷がついてたかも。」
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それを聞いて、俺は戦慄しました。
須藤からのメールを思い出していたのです。
「左半身に気をつけてくれ」
メールの一文が俺の脳裏にフラッシュバックします。
俺は帰宅して直ぐ、須藤にその事を連絡しました。
須藤「やっぱなんかあったか…。警告曖昧でごめんな。でも筋いかなくて良かった。」
俺 「いや、ありがとう。お前の警告のお陰で大事にならなくて済んだのかもしれないし。」
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メールを終えて、俺はふと思い出しました。
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倒れた時、頭を誰かに支えられた気がする。
しかも支えられた時、何かの匂いがしたな。
…そうだ、爺ちゃんの整髪料みたいな匂いだ。でも、爺ちゃんは元気だし、幽霊とかじゃないよな?
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念の為須藤に整髪料の事を聞きましたが、それについては全く知らないようでした。
じゃあ、その時俺は一体誰に助けられていたのでしょう?…まあ、助かったからオッケー、結果オーライなんですが。
須藤に、あの時支えてくれた「誰か」に、感謝ですね。
作者蘇王 猛
こんにちは、蘇王 猛です。今回は友人の須藤の話を投稿させていただきました。彼とは今も親友です。彼には体験談も聞いたりしているので、そちらもいつか投稿させていただこうと思います。
俺の未熟な文章を最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。