長編24
  • 表示切替
  • 使い方

オカ研in合宿 初日

「夏休みももう中盤だな…。」

「早いもんだよな…。」

「でも宿題は半分も終わってねーし…。」

去年も聞いたような会話が飛び交う夏のオカ研の部室。

「お前らそれしか言えないのか?」

ミヤさんが呆れたように言う。

「部活始まってからずっと同じ事言ってますもんね…。」

狗神さんも苦笑いして、ミヤさんに応えた。

と、その時。

「相変わらずだな、オカ研部員諸君‼」

部室の入口に何者かが立ちはだかる。顔は逆光でよく見えない。

「な、何奴⁉」

ずかずかと部室に足を踏み入れてきたそいつは…。

「し、鯱浦先生じゃないですか、珍しい…。」

説明しよう。

鯱浦先生こと鯱浦 海斗は我がオカ研の顧問である。年は20代後半と高校教師としては若手。担当教科は国語。まだ独身。

「今日はお前らに連絡事項がある!心して聞くように。」

「何の話ですか?」

俺が聞くと、彼はチャームポイントである鋭めの犬歯を出して笑い、言った。

「今年のオカ研合宿の話だ。」

「ああ、合宿。そんなのもありましたね。」

毎年恒例、オカ研合宿。去年は座敷童の出る宿に行った。が、結局何も起こらず仕舞い。

お土産の「座敷童饅頭」だけ買って帰ってきた。これじゃただの家族旅行だ、と思った記憶がある。

「今年はどこ行くんですか?」

「それはこのプリントを読めば分かる!」

鯱浦先生はそう言って手にした藁半紙を部員に配った。

「えーと、なになに?

『オカ研・夏の合宿のお知らせ

今年の合宿は…なんと豪華三本立て‼

初日の心霊スポットは、10年前にマッドな理科教師が硫酸を被って自殺したという廃中学校だ。

今でも理科室には、そいつの溶けた跡と共に怨念が染み付いているらしい…!

二日目はかの有名な稲荷神社。狐にまつわる体験談や目撃者が後を絶たないという…‼

三日目は本命、閉鎖された遊園地。ここはマジ危険かもな、フフフ…。

…どうだ、怖いだろ?

日時・8月10日〜8月13日

10日朝8時に宿泊場所集合。

御守り、持ってきた方がいいんじゃねーの…?byオカ研顧問・鯱浦 海斗』

…なにも話し言葉で書かなくても」

何気に腹立つし。てか三本立てって何、三本立てって。

「口語自由詩!」

「変なとこで国語教師アピールしなくていいですから。詩じゃないし。厳密にいうと違うし。」

彼は「ははは、鋭いな。」と俺の頭をこずき、部室のホワイトボードの前に立った。

「いいか、プリントにもあるように、今回の合宿は三本立てだ。荷物多くなるからな。で、宿泊場所だが…。どこだと思う?」

「え?近くの旅館とか?」

それくらいしか思いつかない。

「あっ、旅館て事は狗神さんの浴衣が…」

「一ノ宮、お前の頭には煩悩しかないのか?」

ミヤさんはさっきから呆れっぱなしだ。

「そうそう、狗神さんの浴衣ならこないだ見ただろ?だから今回は違うよ。」

「美鷹、そういう問題じゃない。」

「…ミヤさん、ツッコミっぱなしで疲れない?」

「…疲れた」

彼は机に突っ伏し、言った。

「ちょっと寝る。後で合宿の詳細教えろ」

「全く、ミヤさんは相変わらずだな。今回の宿泊場所は…俺の実家だ‼」

「はあ⁉先生の実家ぁ⁉」

予想外の答えに、オカ研部員達の間に動揺が走る。確かに先生の実家ならオカ研部員で何度か行った事あるけど。肉じゃがが美味しいんだよなー。

「フフン、一番手軽な宿泊場所だからな。

母さんにも言ってあるから遠慮なく来いよな‼」

先生はそう言って、

「じゃ、ちゃんと支度しておけよ。明日だからな!」

と、部室を去った。

「え、明日?」

カレンダーを見る。8月9日。

「…あ、本当だ!そんな急な…。」

俺はミヤさんの肩に手を置き、言った。

「鯱浦先生も無茶な人だよな、合宿の日程をその前日に教えるなんてさ…あれ、ミヤさん?」

返事がない。

「……寝てる?」

「………。」

早くないか⁉伏せてから幾らも経ってないぞ⁉

「ミヤさん、寝る事に関してはのび太並みだな。」

一ノ宮はそう言って欠伸をした。

「じゃー俺も帰ろうかな。合宿の支度しないと。」

「俺も帰る!」

一ノ宮と美鷹は連れ立って帰っていった。

「狗神さん、合宿の事で分からない事ある?」

彼女はちょっと首を傾げ、言った。

「廃校とか閉鎖された遊園地とか、無断で入っていいんですか?取り締まられたりしません?」

なんだ、そんな事か。俺は彼女を安心させるように言った。

「不法侵入ならこないだやっただろ、大丈夫!」

「それもそうですね♡」

こんな会話を平気でするような部活になってはいけません。ここ重要。

「さ、狗神さん。帰りましょうか。支度もあるでしょうし。」

「はい!あー、楽しみです!」

俺達は部室を出た。ミヤさんを残して。

ーーーーーーーーー

3時間後

「…ん。………あぁ⁉何だこれ、暗いぞ‼今何時だ‼……黒沼?一ノ宮?美鷹?……狗神さん?……置いてけぼりかよ、グスン。」

彼もまた寂しく鞄を背負い、部室を出た。

ーーーーーーーーー

翌日

鯱浦先生の実家の前に、オカ研部員が集合していた。

「全員いるかー?点呼とるぞ、黒沼!」

「はい」

「一ノ宮!美鷹!」

「うーい」

「うす!」

「深山、狗神!」

「…はい」

「はーい‼」

狗神さんはテンションが高い。まあ、これから心霊スポットに行くんだから無理もない。

「よし、皆いるな?いいか、これから廃校に入るからな。御守り持ったか?」

「はい!」

元気よく答える美鷹。

「ちょっと見せて。」

美鷹の手の中を覗くと、

sound:20

「安産祈願」

「お前さ、マトモな御守り持ってこようとか考えない訳?」

彼は照れたように笑った。

「だってさ、家に御守りってこれくらいしかないし。無いよりマシかなー、と。」

「何か前に同じこと聞いたような…。」

「あ、あはは…。」

「…反省のないやっちゃ。」

そんな会話をしながら、俺達は廃校へ向かった。

ーーーーーーーーー

「ここが今日の目的地の…。」

「廃中学校…‼」

かなり老朽化が進んでいるようで、風が吹く度にペンキや錆が飛んでくる。

事件の起こった10年前までは子供達て賑わっていたであろう校舎はすっかり寂れている。

「さ、許可とってないから見つからないうちにさっさと入ろうぜ。」

「無許可…いつもの事ですね」

鯱浦先生とはそういう先生だ。仕方ない。その点についてはもう諦めている。

「細かい事は気にしちゃいかん!」

俺達オカ研一行は、廃校の昇降口をくぐった。

ーーーーーーーーー

「うっわー、埃ヤベー。」

「何年も誰も入ってないんだから当たり前だ。」

「何で取り壊されないんですか?普通そんな事件があったらすぐ取り壊しですよね?」

俺が聞くと、鯱浦先生はいつものようにフフンと鼻を鳴らし、言った。

「何でも工事の機材がみんな部分的に溶かされてて使い物にならなくなってるらしいぜ。」

「…硫酸ですか」

「さあ、それは分からんなー。ま、熱による溶解ではないらしい。硫酸ってのもあながち間違ってはいなさそうだな。」

少し進むと、教室が一つ見えてきた。

「あれは…保健室かな?」

「入ってみるか。」

建て付けの悪い戸を無理矢理こじ開け、薬品の匂いの充満する保健室へと足を踏み入れた俺たち。

「うーん、気分悪くなりそう。」

女々しい事を言っているのはやはり美鷹だ。

「心霊写真が手に入るかもー♪」

そんな彼を尻目に、写真を撮りまくる狗神さん。ふと気になったので聞いてみた。

「ねぇ狗神さん、こないだ撮ってた首狩り様の写真はどうなったの?」

「あ、あれですか?…ほら!」

彼女はスマホをホーム画面に戻した。

「…あ、待ち受けにしてるんだ。」

満面の笑みの狗神さんと、必死の形相のミヤさん。そしてその後ろの首狩り様。

「どうですかー、2ショットです!」

いや、これ2ショットというか3ショットな。

「よく撮れてるでしょ、お気に入りなんですよ?」

「よく撮れてはいるけど…。俺は待ち受けにする気にはならないかな…。」

「何をおっしゃるんですか、これほど素敵な写真を待ち受けにしない心理が分かりません!」

狗神さん、俺は生粋のオカルトマニアの心理が分かりません…。

まあそれはさておき、保健室の中を探索していると、一ノ宮が、

「おい、これ…。」

と、ベッドの下を指差した。

「ん?」

覗き込んでみると、

「うわ、お札…。」

「ベタだな」

「そういう問題か?」

「これは見込みありますー!」

「写真は止した方が…はぁ。」

とりあえず収穫はあったので、俺達は保健室を出た。

「何でまた保健室にお札が…。」

「貼るなら理科室じゃね?」

廊下を進みながら、それぞれの部屋を覗いていく。

「職員室…異常なし」

「応接室…異常ありません。」

「校長室…変わった事はねーよ」

保健室以外ではお札らしき物も見つからず、異常も無かった。

「理科室は何階でしたっけ?」

「んー。確か四階だったような。」

鯱浦先生は立ち止まり、

「校舎自体は五階建てだから、最終決戦は最上階‼とかそういう訳じゃなさそうだな、残念。俺が子供の頃のゲームは大体そうだったのに。」

「…くだらない事言ってないで行きますよ」

俺達は四階を目指して、階段を上った。

「そういえばこの中学校、鏡がありませんね。」

踊り場辺りで狗神さんが呟いた。

「確かに。手洗い場にも無かったな。」

「保健室にも!」

一ノ宮、美鷹が口々に答える。

確かに、今まで一つも鏡を見ていない。

「鏡にはな、魔除けの力と同時に魔を呼び込む力を持つんだ。どちらの目的で外されたんだろう?」

ミヤさんは首を傾げた。

「も、もしかして鏡自体がお化けで、あったりなかったりするとか…!」

「鏡の化けモンなんているわけねーだろ、てか嫌な想像やめろ、美鷹!」

「うっ、一ノ宮ぁ、苦しい…!」

一ノ宮は美鷹の首を締めながら、

「狗神さん、心霊写真は撮れました?」

「まだ見てません。帰ってからのお楽しみです!」

「い・ち・の・み・や‼これじゃ俺が心霊写真に写っちゃうから!」

「…あ、ワリー。」

やっと自由を手に入れた美鷹は壁に手をつき、言った。

「はあ、もう帰りたいな…。」

「美鷹さん、心霊スポットは楽しまないと!ほら、今美鷹さんが手をついてる壁だって!

狗神さんは言いながら壁に寄り掛かった。

「何か隠されて…キャッ‼」

「‼どうした狗神さん!」

振り返ると、壁に半身を呑み込まれた狗神さんの姿があった。

「いっ狗神、掴まれ!」

「狗神さん!」

一ノ宮と鯱浦先生が手を伸ばすが、狗神さんの手は虚しく虚空を掻いて壁の中に消えた。

「ああ…、狗神さん…!」

「クソッ!こっちから掴んでやれば…!」

先生は狗神さんが呑まれた壁に蹴りを入れ、自分の行動を悔やんでいるようだった。

俺は動けさえしなかったのに。

悔しげな先生の背中をそんな気持ちで見ていると、壁を叩いて空洞がないか確かめていたミヤさんが不意に声をかけてきた。

「…おい黒沼。この辺なんだか匂わないか?なんか…薬品のような。」

「え?」

俺が鼻をひくつかせていると、鯱浦先生が顔をあげて言った。

「確かに…。刺激臭っていうのか?これは化学の鹿川先生の専門だろうが…。」

「俺には何も匂わんぞ?」

「俺も。」

一ノ宮と美鷹が怪訝そうに言う。そりゃそうだろう。俺も何も匂わないし。

何故俺達には匂わないでミヤさんと先生には匂うんだ?

「これは霊感の問題じゃないのか?俺は神社生まれ、そういう家系。鯱浦先生は…分からんが。まあ生まれ持った能力ですかね。」

「ま、まあそうかな。そういう事だ、わわわ分かったか黒沼!」

「鯱浦先生、なんでそんなに焦るんですか?…まさか怖いんですか、霊感があるって分かって。これから色々見ちゃうんじゃないかなー、とか!」

「ち、ちがわいっ‼」

「元気になりましたね、良かった!」

「……黒沼」

俺達は取り敢えず狗神さんを探しに、階段を上った。

ーーーーーーーーー

「ここは…3階か。あと1階だな。」

埃を被った階数表示を見て、俺は呟いた。

「ここにも鏡はなしか。」

ミヤさんはここでも壁を叩いている。なんだかプロっぽい。

「駄目だ、空洞はない。狗神さんはどこに行ってしまったんだ?」

謎は深まるばかり。手掛かりが一つもない。

「やっぱりここに住み着いているという理科教師の霊の仕業なのかな?」

「美鷹…。でもただの人間霊にそんな事出来るのか?俺には到底考えられないけど。壁の中に人を引き込むなんて、まるで妖怪の仕業だよ。なあミヤさん?」

俺の問いに、彼は首を振った。

「霊にはな、色々な種類があるんだ。大きく分けて人間霊、動物霊、植物や物なんてのもある。もっと細かく分けると浮遊霊、地縛霊、悪霊、怨霊、念縛霊、憑依霊、守護霊などなど、まだ沢山ある。中でも悪意のある物は悪霊、怨霊になる。これらは妖怪化しやすいんだ…、元が人間だろうと、な。」

「………。」

…なんか急に現実離れしてきたな。

「そんな悪霊達は、人間を超えた力を持つ。お前天狗とか鬼は分かるだろ?」

「…それは妖怪じゃないのか?」

俺が聞くと、彼は大袈裟に溜息を吐いて言った。

「分からない奴だな、天狗や鬼は人間の悪霊が妖怪化した物。大体悪人がそういう物に身を堕とす。」

「…へぇ。じゃあ狗神さんをさらったのは、妖怪化した理科教師の悪霊って事か?…言ってて恥ずかしくなってきた」

「…それはまだ分からんな。可能性はあると思うが。」

あまりにもファンタジーすぎる。

いくらオカ研だからって、この状況を信じろって言われたら困る。

「まあ、取り敢えず」

一ノ宮が俺の肩に寄りかかる。

「行ってみようぜ、問題の理科室。」

ーーーーーーーーー

階段をさらに上り、理科室のある4階に着いた。気のせいか他の階より空気が重い。息苦しい。

「深山。匂い強くなってないか?」

鯱浦先生の言葉に、彼は小さく頷いた。

どうやらそれは確からしい。俺にも少し感じられるようになってきた。美鷹や一ノ宮も分かるらしく、しきりに深呼吸をしている。そして咳き込んでいる。

暫く歩くと、廊下の突き当たりの教室が見えてきた。

「…理科室だ」

一同の間に緊張が走る。

「入るぞ。いいか、覚悟はしておけ。」

鯱浦先生が俺達に言う。

「…はい」

「そんなもんとっくの昔に出来てるぜっ‼」

「右に同じ!」

「……。」

そして、理科室の戸を開いた。

「…うわ、何だこれ。」

教室内は薬品の匂いが立ち込めており、息をするのも憚られる。

「変な薬とか空気に混ざってないよな?」

「さあな。」

「狗神さん?いますか?」

皆口々に声をかける。

「おーい、狗神さん…。」

…!

「今何か聞こえなかったか?」

「確かに!狗神さんかな⁉」

「狗神さーん!いるなら返事してくれー!」

………………。

長い沈黙。

「…鯱…先…………みなさ…。」

「「「「「狗神さん‼」」」」」

微かに聞こえる彼女の声を頼りに、理科室を探索した。やがて、声の出処が判明。

「…ここだな。」

薬品の入った戸棚。そこが彼女の居場所のようだ。

恐る恐る引き戸に手を掛け、思い切り開けた。

「く、黒沼さん…。」

狗神さんはみるみるうちに目を涙でいっぱいにし、戸棚から飛び出した。流石にこの状況は応えたのだろう。

「私っ、私…!」

「大丈夫だよ、狗神さ…」

「ついにオカルト的存在にさらわれちゃいましたー♡これで夢が一つ叶いましたー、感動です‼」

「…嬉し泣き?」

「はいっ‼」

鯱浦先生は狗神さんの身体に異常がない事を確認し、事情を聞いている。

「壁に引き込まれた後どうなった?」

「…それがよく覚えてないんですよ。先生が掴まれっ‼って言ったのは聞こえましたが。気づいたらここにいて、暫くしたら皆さんの声が聞こえて…。」

「なるほど。幽霊とかは見なかったんだな。」

「はい。それだけが残念です…。」

事情聴取終了。俺は改めて部員達の顔を見回した。

これで、オカ研部員全員集合だ。

「それで…これからどうします?」

先生は少し考えて、

「よし!理科室の謎を暴くぞ!」

「はあ⁉」

何言ってるんだこの人はー⁉

「せ、先生!狗神さんがさらわれたりしてるんですよ?見つかったからいいようなものの、また誰かさらわれたらどうするんですか⁉」

すると、鯱浦先生はフフンと鼻を鳴らして俺に言った。

「あのな、俺の生徒をさらうような奴を野放しにしておけると思うか?しかも女生徒。」

「え?」

「そんな奴ほっといたら危なくてしょうがねぇ。犠牲者が増える前に消してやる!」

先生…。何無茶言ってんですか…。精神年齢はこの中で一番幼いかも。

「だ、第一どうやって消すつもりなんですか?消すってつまり除霊ですよね。方法分かりませんよね‼」

「大丈夫!俺達には深山がいる!深山、お前神社の子だろ、除霊方法くらい分かるんじゃねーのか?」

突然話を振られたミヤさんは、

「えっ?あ、はい、まあ…。あっ」

動揺のあまりか肯定。いつもはすっとぼけるが。ま、本物っていうのは割とこんなもんなのかもな。

「よし、決まりだ。深山、除霊方法教えろ」

ミヤさんは渋々鯱浦先生に近づき、何やら耳打ちした。

「…なるほどな。確かによく聞く。しかしそんなベタな方法でいいのか?」

「シンプルイズベストです。」

???

「おいミヤさん、何で先生にしか言わないんだ?」

「霊感のない奴に話しても意味がない。ふざけ半分でやられても困る。俺の神社に伝わる方法だからな。企業秘密ってやつだ。」

ミヤさんの言葉に、鯱浦先生は満更でもなさそうな顔をした。

「そうかー、俺は分別のある大人だからな!霊感もあるしな!」

「調子に乗るな。」

「スミマセン。」

おいおい、立場逆転しとるぞ。

「さて、除霊方法も分かった!この中学校のボス面をしているらしい霊、退治に行くぞ!」

「おうっ‼」

「狗神さんの敵討ち!」

「お前らは余計な事すんなよ。」

「私をさらった人の顔が見られるじゃないですか!やった!」

…いつからこの部活はゴーストバスターズ部になったんだ?

ーーーーーーーーー

理科室中をくまなく探す。が、特に変わった様子はない。

「…いなくね?幽霊。」

「狗神さんをさらった奴。」

「何で私をさらったんでしょう?」

「それは…。女生徒好きな変態理科教師の悪霊だからじゃね?…気持ち悪っ」

「お、俺の生徒を狙うとは!いー度胸してんじゃねーか。」

「鯱浦先生。語尾が震えてます」

しつこく探索を続ける。すると一ノ宮がある物を見つけた。

「あ、あれ!何で今まで気づかなかったんだろ、あそこ探してねぇじゃん!」

彼が指差す物は、一枚の扉だった。

「理科準備室だ。理科教師の居場所といえばあそこだろ!」

すぐに駆け寄ってノブを捻る。扉は音も無く開いた。理科室以上に薬品の匂いがきつい。

「鯱浦先生。」

「…ああ」

何何、何分かりあってんだよミヤさんと鯱浦先生‼霊感のない俺達4人は置いてけぼり。

「何かいるのか?」

ミヤさんと鯱浦先生は同時に頷く。

「…マジかよ」

「私をさらった人とついにご対面ですか?」

ミヤさんは小首を傾げて答える。

「それは分からん。見た訳じゃないからな。君をさらった奴も、今ここにいる奴も。」

鯱浦先生も頷いて、

「そうだな、気配を感じるだけだ。匂いだって紛れて分からんし。」

と、腕を組んだ。

「ふーん…。何がいるんだろ?」

ふと足元を見下ろすと、床に黒ずんだシミのような部分があった。

「これ…何でしょう?」

「黴か?」

一ノ宮がシミを指で撫で、顔を近づけて見ている。

「あ、それってもしかして理科教師が溶けた跡じゃないのか?噂では理科室にあるって話だったが。やっぱり噂は当てにならんな。」

平然と凄いことを言ってのけるミヤさん。

「どわーーー‼ミ、ミヤさん!早く言え、早くっ‼」

一ノ宮は近くにあった白い布で指を拭った。

「あ、それ白衣だ。」

ミヤさんが指摘すると、一ノ宮はその場に卒倒しかけた。

「こういう場所では油断するなよ?」

ミヤさんは微笑して白衣を摘みあげた。

「意外とこういう物に宿ってたりするからな。」

白衣をハンガーに掛け直し、彼は辺りを見回す。

「…来たな」

え⁉

「先生、さっき言った事忘れてませんね?」

「お、おう!当たり前だ!」

おーおー、先生の心の声が聞こえる。

えー、そんな急な‼あ、ありえねぇ!まあ確かに、確かにね?除霊方法は聞いたよ?でもな、今急に言われてもね?俺ただの国語教師だから!除霊師じゃないから!でもここで除霊してやれば生徒からの先生ステキ!先生カッコいい!っていう眼差しを一身に浴びる事ができるじゃーないかっ‼

こんな感じだろうか。何だかエスパーになった気分だ。

「よーし、早速…」

と、俺は鯱浦先生の背後に蠢く白い物体を見た。よく見るとそれは白衣だった。

そいつはハンガーから離れ、勢い良く先生に飛びかかってきた。

「せ、先生っ‼後ろー‼」

「え?」

時既に遅し。白衣は先生に覆い被さった。

「うわ‼何だこいつ、放せっ…」

「先生っ‼」

狗神さんが白衣に掴みかかり、引き剥がそうとする。

「このっ!離れなさい!」

すると、白衣の下で暴れていた先生が急に静かになった。

「…あれ、先生?大丈夫ですか?」

先生はゆっくり立ち上がると、白衣に袖を通した。

「???」

そして薬品の棚に向かい、何本かの瓶を手に取って白衣のポケットに突っ込んだ。

「…まずいな」

「ミヤさん?鯱浦先生どうしたの?」

ミヤさんは緊張した面持でこちらを向き、言った。

「…先生、取り憑かれたかも。」

「はあー⁉」

何も知らない狗神さんは鯱浦先生に近づき、

「先生?どうされたんですか?」

と、肩に手を置いた。

「い、狗神さんっ‼すぐそいつから離れろ!」

が、やはり遅かった。

music:6

「え…?…いやっ!」

鯱浦先生は狗神さんの首を腕で締め、白衣を翻して理科準備室から姿を消した。

「あっ、狗神さん!…ミヤさん、どうする⁉狗神さんまたさらわれたぞ!」

彼は腕組みして何やら考えている様子だったが、すぐに口を開いた。

「一ノ宮と美鷹は下を探しに行ってくれ。俺と黒沼は上に向かう。」

一ノ宮は力強く頷き、渋る美鷹の腕を掴んで理科準備室を出た。

「俺達も急ごう。」

俺は頷いて、彼と共に上へ向かった。

ーーーーーーーーー

「5階…。人の気配はない」

「全く、鯱浦先生は。折角霊感あるのに取り憑かれて。頼りにならねーなぁ…。」

ミヤさんが溜息を吐く。

「鯱浦先生だもん。頼りになると思う方が悪い。」

「それもそうか。反省。」

5階に何ら異常はなく、残るは屋上のみとなった。

「鯱浦先生、ラスボスは最上階って言ってたけど、確かにそうなったな。ま、先生自身がラスボスになっちまった様だが。」

「はは、確かに…。」

俺達はラスボス鯱浦を探すべく、屋上へと続く階段を上った。

ーーーーーーーーー

「あれが屋上の扉だ。半開きになってるな、あの先にきっと鯱浦先生がいる。」

「…よし、行こう。」

何か本当にゲームのラストみたいだ。

ゲームの中の勇者って、こんな気持ちなんだろうか。

俺達は扉を押し開けた。

「…あっ、やっぱりいた!」

「狗神さん!大丈夫か⁉」

屋上のど真ん中に、白衣の男と少女がいる。少女、つまり狗神さんは手足にロープ、口にさるぐつわ(どこから持って来たんだ?)をつけられ、拘束されている。

「狗神さん!おーい!」

彼女はこっちに向かって、必死で声にならない声を上げ続けている。

「ミヤさん、狗神さん助けないと!」

「…待て。鯱浦先生を正気に戻すのが先だ。彼を正気にしない限りは、狗神さんに近付けない。」

「…そうか」

そうこうしているうちに白衣の鯱浦先生は

こちらに気付いたようで、薄ら笑いを浮かべて言った。

「君達…。ここにいるという事は私の実験に付き合ってくれるという訳ですね?」

「つ、付き合わねーし!てかその話し方気持ち悪いです、鯱浦先生!」

「生徒に手出しするとは、処分決定ですね。」

聞こえているのかいないのか、先生はポケットに手を突っ込み、幾つか瓶を取り出した。

「H2SO4で表される、無色の油状液体。融点283K、沸点563K。この物質は何か、分かるかい?」

え?な、何だっけ?習ったような、習わないような…。

「硫酸、ですね。」

俺が焦ってる横で平然と答えるミヤさん。ちょっと腹立った。

鯱浦先生はどこか狂ったような微笑を浮かべ、こちらに歩み寄ってきた。

「そうだ。中々優秀じゃないですか、君。私のクラスにも欲しかったですね、君のような人材が。」

そしてミヤさんの頭を鷲掴みにして、ぐいと自分の方へ引き寄せた。

「気に入った、気に入ったよ。君なら校内学力No.1を目指せるよ…!」

「な、何を…。」

更に先生はミヤさんの首を締め上げる。

「私はね、君のような生徒を作ろうと色々手を尽くした。でも、中々思った通りには進まないものだね。」

彼がそこまで言ったところで、ミヤさんは自分の首を掴む腕に噛みつき、先生を振り払った。

「はあ…。埃っぽい。そうか、奴は出来のいい子供を狙ったんだ。狗神さんを狙ったのもそれで説明がつく。」

「なるほど。」

あー、バカで助かった。

「にしても、大丈夫か?ミヤさん。」

「ああ。何とかな。…お前助けろよ」

「スマン。怖かったから。」

赤く染まった白衣の腕を抑えながら、先生は後ろへよろめいた。

「ううーん…。いけないねぇ、暴力に訴えちゃあ…。」

彼は相変わらず薄ら笑いを浮かべている。

「先生!いい加減先生から離れてください!このまま居座るつもりなら、先生を先生から無理矢理引き剥がす事になりますよ…!」

何かすごい紛らわしいな。

先生は先程から手にしていた瓶の蓋を開けると、地面に垂らした。

シュウッと音を立てて、コンクリートが煙を出した。

「私はね、出来の悪い子供と頭を使わない子供が一番嫌いなんだ…。そんな生徒しか作れない自分も嫌いだった。」

「だから自分の存在を溶かして消してしまった。そういう事ですか」

「察しがいいね、流石だな。その通り、私は自分の存在を消した。完全ではなかったがね」

…俺だけ会話についていけてないんだけど。

「ミ、ミヤさん。どうする?」

「先生に憑いた先生は俺が祓う。お前は狗神さんを。」

「はい⁉」

何だこの少年向け漫画のような展開はー⁉

「じゃ、頼んだぜ、黒沼。」

言うなりミヤさんは先生の方へ駆けて行った。

「ちょっとー、ミヤさーん!」

…行ってしまった。まあいいや、ミヤさんが先生の気を引いてる間に狗神さん助けに行こう。俺は彼女の方へ駆け寄ると、さるぐつわを外した。

「くっ黒沼さん、あれ…!」

「大丈夫、ミヤさんが助けてくれ…」

「今度は憑依現象を生で見ちゃいましたー、感動ですー!」

「……あ、そう。」

手足のロープを解き、逃げる。

扉を開け、校内に入ろうとしたとき、強く袖口を引かれた。見ると狗神さんが真剣な表情て俺のワイシャツの袖を掴んでいる。

「…っ、どうしました、狗神さん!」

「除霊ですよ!見なきゃ損です!」

「狗神さーん…。何で怖くないのー…。」

俺は半ば引きずられるようにして、屋上の中央へと逆戻りして行った。ああ、扉開けっ放しなのに…。

ーーーーーーーーー

「先生、いい加減にしたらどうですか?」

「折角身体を手に入れたんだ、有効活用しないと意味がない。」

「どうしても先生から離れないつもりですか?」

「私はこの身体を使って、また新しいクラスを作る。学力全国No.1の完璧なクラスをな。」

「学力が全てではないかと聞かれれば、肯定は出来ません。綺麗事だけじゃ確かにやっていけません。ですが他にも大事な事はいくらでもあるんじゃないですか?」

何かミヤさん犯人を説得する警官みたいだな。

「ミヤさーん、頑張れー!」

「バカ、狗神さん助けたなら手伝え!」

「えっ?…お、おう!」

俺は狗神さんを扉の近くに座らせ、ミヤさんに合流した。

「いいか、今から除霊を始める。手伝え。」

「何をだよ?」

「これ。」

ミヤさんはこちらに小瓶を幾つか投げてきた。中には白い粉のような物が入っている。

「…何だこれ」

「いいからそれを屋上の四隅に置け!」

「サーセンしたー‼」

俺はそのまま走り始めた。屋上は中々広い。

かなり走って、やっと一つ目の角に着いた。

「…1」

長方形の屋上で、次の角までが長い。

「…2」

「黒沼まだか⁉」

ミヤさんは飛んでくる硫酸を必死で避けている。

「あと二つだ!」

怒鳴って、三つ目の角へと走る。

息が苦しくなる。こういう事は脳味噌筋肉の一ノ宮に頼んでくれよな…‼

「…3、あと一つだ!」

折角最後の角なのに遠い。呼吸が、もう…。死にそうだ。

中程まで走ったとき、

「黒沼危ない‼」

ミヤさんの声が聞こえた。

「え?」

振り返ると、硫酸の瓶を持った先生がすぐ目の前に迫っていた。

「君ぃ、もっと頭を使いなさぁい‼」

「う、うわぁぁぁぁ‼」

それを避けた反動で手が滑り、小瓶は宙を舞った。

「ああっ!」

小瓶は扉の方に転がっていった。運悪く開けっ放しの扉には階段も敷居もついておらず、小瓶はそのまま扉の奥へと消えた。

「ど、どうしよう…!」

俺達はこのままあいつに溶かされて死ぬのか?絶望しかけたその時。

「狗神さんっ‼狗神さん無事ですか⁉」

「黒沼ー、ミヤさーん?狗神さん見つかった?」

扉の奥の階段から、声が聞こえた。あの狗神さんしか心配してない声は…。

「一ノ宮、美鷹‼そこにいるのか⁉」

「あ、黒沼。…ん、何か瓶みたいなやつ転がってきたぞ。」

よし‼

「一ノ宮、それ持って屋上来い!」

「え、ああ…、分かった!」

一ノ宮は俺の切羽詰まった感じを読み取ったらしく、すぐに扉から飛び出してきた。

「ここにいたか、先生!で、この瓶どうするんだ?」

「そこだ!すぐそこの角に置いてくれ!」

「よしきた!」

彼は素早く四つ目の角に小瓶を置いた。

「ミヤさん!終わったぞ!」

「よし!始めるからお前らは中入ってろ。」

言われるがまま俺達は校内に入った。

「…ミヤさん何やってるんだろうな。」

「気になる。」

「除霊見たいですー…。」

「いや、覗いたらミヤさん鶴になって飛んで行っちゃうかもしれんから覗くのは止めよう。」

そんなアホな事を話しているうちに、

music:1

「終わったぞ。」

ミヤさんが扉を開いた。

「なあなあ、何やったんだ?気になってしょうがねえんだよ!」

一ノ宮がミヤさんの肩を揺さぶって言う。

「それはちょっと教えられないな。うちの神社の企業秘密だ。」

「えー…。」

つまんねーの、と一ノ宮は腕を組んだ。

「さて…、鯱浦先生起こさないと。気絶してるから。」

俺達は屋上のど真ん中でぶっ倒れている鯱浦先生の方へ向かった。

「鯱浦先生、起きてください!」

「……………。」

オカ研部員総出で彼を揺するが、全く起きる気配がない。

「駄目だ、起きない。」

ミヤさんは立ち上がると、溜息を吐いて言った。

「仕方ないな。…一ノ宮、鯱浦先生担げ。」

「はあ⁉何で俺が!」

「決まってんだろ、この中で一番体力あるのお前だからだよ。」

「チッ、分かったよ…。」

一ノ宮は渋々鯱浦先生を担ぎ上げ、

「さっさと先生の実家行こうぜ、腹減ったしな!」

と、階段へ向かった。

「本当に遠慮ねーなー、一ノ宮。」

「遠慮するなって言ったのは先生本人だぜ、美鷹!」

「私は先生の実家行くの初めてだから楽しみですー!」

「そっか、狗神さんって今年入ったばかりだったな。あまりにも馴染みすぎて忘れてた。なーミヤさん!」

「ああ、そうだな。」

何事も無かったかのように歩いているが、これでも心霊体験の後である。これがオカ研。

もと来た道を辿るようにして下へ下りる。あ、狗神さんがさらわれた壁だ。今となっては懐かしい。

俺はすぐ横にかかった鏡を見て、乱れた髪を少し整えた。

ーーーーーーーーー

暫く歩いて、先生の実家に着く。

「失礼しまーす。」

「あらー、海斗の生徒さん?久しぶりね!」

先生のお母さんが笑顔で迎えてくれた。

「はい、お久しぶりです!」

「あら、そっちの子は?」

「ああ、一年生の新入部員の狗神さんです。」

「初めまして、狗神 真琴です。」

「どうもー、鯱浦の母です!よろしくね。」

互いに自己紹介を済ますと、女同士の話に花が咲く。

「真琴ちゃん、海斗に何かされたらあたしに連絡するのよ?すぐ勘当してやるから。」

「はい、そうさせていただきます!」

親からの信頼ないなー、鯱浦先生。狗神さんも否定しないし。

「俺達、先生寝かせてきますね。」

「はいはい、向こうの部屋に布団敷いてあるからね。それでねー、」

腕血塗れで気絶してても心配されない先生って一体…。てか普通入ってすぐツッコむよな?

俺達は先生を運んで、寝室へ行った。

一ノ宮は先生を降ろして、一息。

「ふー、疲れた。ま、重くはなかったがな。」

「先生結構華奢だもんなー。」

改めて先生を見る。…なんか幸せそうな顔して寝ている。俺達があんなに大変な思いしてたのに!起きたら文句言いまくってやる‼

…それにしても。

「ミヤさん、白衣の上から腕噛んで血出すって、どれだけ強く噛んだんだ?」

「…別に、普通。」

「普通って…。」

ミヤさんの普通ってどの位だ?

「…ねぇ、白衣持って来ちゃったけどどうする?」

美鷹が先生に布団を掛けてやりながら言う。

「ああ、それは後で燃やす。脱がさないと。」

言いながら、先生をうつ伏せに転がして白衣を剥ぎ取る。

「お母さん、ちょっと燃やす物があるんですが…。」

ミヤさんはそう言って居間へ向かった。

俺は鯱浦先生の腕の傷を見た。拭き取られていない血痕が生々しい。起きたら大騒ぎすんだろーな、先生…。これだけの噛み傷をつけられるなんて、ミヤさん本当に人間か⁉

「おーい、白衣燃やすぞ。見るならさっさと来い。」

疑惑のミヤさんの声がした。俺達は狗神さんを呼び、声のした駐車場へ向かった。

ーーーーーーーーー

「お母さんには許可とった。火、点けるぞ。」

「どうぞ。」

music:5

ミヤさんは畳んだ白衣を地面に置いた。そしてマッチを擦ると、その上に落とした。綿で出来ていたようで、灯油もかけていないのによく燃える。

「そういや、これ…。立派な窃盗だよな…。」

「なあに、誰も見てねーって。」

「怪奇事件の終わりを告げる火柱…。ロマンチックですっ‼」

「ミヤさん、除霊方法教え…」

「企・業・秘・密‼」

今回も無事(?)オカ研活動は終わった。

何だか今回の事件はまるで物語の中の出来事のように現実味がなかったな。白衣も燃やしてしまったし、証拠品は残っていない。

あ、でも証拠だけなら鯱浦先生の腕にくっきり残ってるか。

「みんなー、夕飯できたわよ!」

先生のお母さんの声がした。

「はーい、今行きます!」

「よっしゃー、腹ペコだったんだ!」

「少しは遠慮しろよ?」

「肉じゃが食いてー…。」

「深山さん肉じゃが好きなんですか!」

俺は食堂へと走りながら、明日の事を考えていた。

明日の目的地は稲荷神社。どんな事件がおこるのだろうか。

Concrete
コメント怖い
1
2
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

匿名さん、コメントありがとうございます。クオリティが高いと言って頂けて光栄です。次回作も執筆中です。皆さんに喜んで頂けるような話を投稿していきますので、よろしくお願いします。

返信