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中編3
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苦しみの連鎖

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まず一つ目の話は自分が新入社員の頃先輩に聞かされたお話。

今から三十年近く前の世の中が心霊ブーム真っ只中の頃、先輩も心霊に興味を持ち様々な心霊スポットを探索していた。

そして先輩の地元でも最も怖いと言われる自殺の名所でもあるK橋に探索することとなった。

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真夏の深夜に先輩は親友A、B、Cを連れて車でK橋へ向かった。

K橋は山の中にあり、明かりが少なくてとにかく暗い場所であった。先輩たちはライトを付け下の川に落ちないように慎重に歩くことにした。

丁度橋の半分近くまで歩いたところで向こうに人影らしきものがいることに発見した。

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人影はこちらに気付いたらしく「おーい」と大声で言い手を振りながらこちらに近づいてくるようだった。

近付くことでその人影がびしょ濡れのコートを着ている男ということがわかった。

男は「いやー転んじゃって川に落ちちゃったよー少し手助けしてくれよ」と軽い感じで近付いてきた。

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先輩はその姿に強烈な違和感を思ったがあまり気にせず男を助けに近づこうとしたその時、Aが大声で「逃げるぞ!いいから逃げるぞ!」と言い出した。

そしてAの発言の直後に今度はCが「うわぁぁぁっ!!」と悲鳴をあげて車の方に走って行った。

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いきなりのことに先輩も軽くパニックに陥りCの後を付いて車の方に走り出した。

全員車に乗り無事に家までついてから、まずAにどうして逃げろと言い出したのか聞いてみると、Aは真夏の熱帯夜の中でコート着てるなんて普通ではないと言い出した。

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そこで先輩は違和感の正体に気付いた。確かに真夏にコートを着ている人なんかいない、しかもそのコートも含めた服装が十年以上前の古い感じの服装であったことも気付いた。

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次にCにどうして悲鳴をあげたのか聞いてみた。未だに恐怖で真っ青な顔してたCは「お前ら分からなかったのかも知れないけど、あの男の頭かち割れてて足が変な方向曲がってたぜ……どう考えても生きてる人間じゃねぇよ」と。

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先輩たちは初めての心霊体験にどうしたらいいのか分からず、とりあえず近くに置いてあった心霊の本に載っている読者の体験談コーナーへ投稿をすることにして、またどうすればいいのかということも聞くことにした。

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それから数日後、先輩の家に心霊の本に載っていた霊能力者の方からの手紙が届いた。霊能力者曰く、先輩たちが見た霊は自殺しようとして川に飛び降りたが自分が死んでいることに気付いてない霊でありとても危険。

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死んだ時点で自殺しようとしたことが頭の中から消え、純粋に助けて欲しくて生きている人間に近寄り犠牲者を増やす。しかも死んでいることに気付いてないので除霊も難しいとのこと。

霊自身が自分が死んでいることに気付き成仏するまではK橋にはあまり近づかない方がいいと書かれていた。

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先輩たちはその忠告を守り。K橋に近づかないようにして、そして時が経ち全員地元を離れるようになった。

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これがまず一つ目のお話。

二つ目のお話は先輩がこの怪談を聞かせてくれたときから十年以上経ち、既に先輩も独立して他の地域に移り自分も後輩を引き連れて仕事をするようになった頃に後輩に聞かされたお話。

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その後輩は先輩と同じ地元出身というのは知っていたので、何の気なしに先輩が体験した怖い話を聞かせ「お前の地元にはそんな怖いところがあるんだぜ」的なことをいい怖がらせようと思っていた。

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しかし怖い話を聞かせ終わった後の後輩の表情が尋常じゃないぐらい真っ青で唖然とした感じになっていたので、何か心当たりでもあるのかと尋ねた。

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後輩は自分もその橋は知っていて、全く同じ怖い体験をしたという。男に声をかけられたところまでは同じだった。ただ一つ違っていたのは……

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先輩の話では一人の男だけだったのが後輩の話だと四人の集団に増えていたということだった。

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怖いですね。
四人に増えたと言うことは…

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