こんな事がありました。以前、調査した依頼主の方より、相談があるというので、お宅へ伺った。
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7月後半かなり蒸し暑い昼下がりだったと記憶する。
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このお宅は、以前、調査に入り、盗聴器を発見、取り外した家なのだ。
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話を聞くと、昼夜問わず自宅庭及び、敷地内において、人の気配を感じる。姿は確認した事は無いが、近頃物騒な世の中なので、防犯カメラを取り付けてもらえないか、との相談だった。
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その方は20代後半の女性で、旦那は出張で家を開けることが多く、夜一人で、家に居る時、かなり不安だと、言うのだ。
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それもそのはず、広い庭付きの立派な家なのだ。
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取り合えず、何処にカメラを設置しょうかと、家の周りを確認した。
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その後、2階へ上がり、バルコニーで、ここにカメラを設置して、配線をどの様に引こうかと考えながら、ふと、下を見下ろした。
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庭では、丸いビニール製の子供用のプールの中で、3才位の男の子が両手をひらげてピチャピチャと、水しぶきをたてながら遊んでいる光景が、目に入った。
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別に気にすることなく、設置場所の下見をつづけた。
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下見を終え、依頼主と工事内容と見積もりの話をしている時に、「そう言えば、子どもさんお幾つですか」と、聞くと、不思議そうな顔されまして、「私たち子どもは居ませんよ」と、
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「ええぇ、庭のプールであそんで居た男の子ですよ」と、聞き直した。
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すると、この依頼主、急に真っ青になり、目から大粒の涙を流され、しばらく会話が出来ませんでした。
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じゃあ、私の見たあの男の子は何だったん?さっき、家の周りを、ぐるっと周った時、プールは無かったし、隣の家の庭でも無い。
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もう一度確認の為、2階のバルコニーから下を見下ろした。
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先ほど見た光景と違い、プールの陰さえない。そう言えば、カメラの設置場所を選んでいる時、この家に、子供が居てる雰囲気すらなかった。
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ようやく、落ち着きを取り戻し、依頼主が、涙ながら話してくれました。
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「実は、6年前、ちょっと目を離した隙に、庭で水遊び中の息子が、ビニール製子供用プールで亡くなりました。」(詳しい状況は省く)
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子供を亡くされた、親の気持ちは、痛いほどわかる。私もそうなのだ。
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私の場合は事故じゃなくって、それも生まれ持った心臓の病気で、肺動脈が無く、それも術中に亡くなった事を。
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妻が、妊娠した時、ひょっとしたら、長女の生まれ変わりかなぁ、と、ずうぅっと思っていた。ある時、亡くなった娘が、自分が生前ご飯を食べていた机に、両手を添えながら、こちらを向きながら、にっこりほほえんだし、
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私は、向こうの世界で元気だよて、知らせに来たことなど、依頼主に話した。
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多分、息子さん自分が、亡くなった事、判ってられないか、もしくは、あなたの悲しみの念が、強すぎて、あの世に行けないのかも。
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「敷地内の人の気配は亡くなった息子さんかもしれませんねぇ」そう伝えると、涙ながら納得されました。
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その後、知人の霊能者を紹介しました。
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後に連絡を取ると、敷地内の人の気配は無くなり、私の取り付けた防犯カメラも正常に作動しているとの事です。
作者渋谷泰志