短編2
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九官鳥

とある証券会社でOLをしていた絵理は最近九官鳥を飼い始めた。

一人暮らしの寂しさを少しでも紛らわす事が出来たらと思って飼い始めたのだが、これが予想以上に効果抜群だった。

家に帰ると「オカエリ」という声が聞こえてくる。

それだけでこんなにも嬉しい気持ちになれるなんて正直思ってもいなかった。

九官鳥のピンコちゃんはとても賢く、驚く事に目の前で3回同じ言葉を唱えればすぐにその言葉を憶えてしまった。

色んな言葉を覚えさせるのが面白くて面白くて、気付けば時間を忘れて永遠と話しかけてしまうなんて事も。

それまで自宅に帰ってきて一人寂しく夕御飯を食べるのが億劫だった絵理だが、ピンコちゃんが来てからは毎日帰宅するのが楽しみで仕方なくなっていた。

 

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その日も絵理は定時で仕事を終えると、寄り道もせずにマンションの自室へと急いだ。

「ピンコちゃんただいま~☆」

玄関を開くと同時に大きな声を張り上げる。

持っていたショルダーバッグをベッドに放り投げると、すぐに窓際のチェストの上に置いていた鳥カゴの元へと駆け寄った。

「オカエリ、オカエリ、オカエリ」

「はい、ただいま~。ん~偉いね~ピンコちゃんは~」

思わず顔がニヤける。

今じゃこの瞬間のお陰で仕事が頑張れていると言っても過言ではないかもしれない。

数分程ピンコちゃんとじゃれあい、充分に心をリフレッシュさせると「よしっ!」と気合いを入れてから背筋を伸ばした。

「待っててね~。今ご飯の準備パパッと済ませちゃうからね~」

そう言って絵理がキッチンに向かおうとした時だった。

「カエッテキタ、カエッテキタ、カエッテキタ」

聞き覚えのない言葉に一瞬体がピタリと止まった。

今までそんな言葉をピンコちゃんが喋ったのを聞いた事がないし、覚えさせた事もない。

じゃあ何時覚えたんだ?

カゴの中の当人をじっと見つめてみるが、可愛く小首を傾げる仕草をするだけだ。

「ん~、テレビかなんかの言葉でも覚えたのかな~?」

ピンコちゃんの様子を見ながら考え込んでいると、さらに聞いた事のない言葉が続けて出てきた。

「カクレロ、カクレロ、カクレロ」

え?なに?どういう事?

また教えた覚えのない言葉が出てきた。

知らない間にどっかから言葉を学習してしまったのだろうか?

するとさらにピンコちゃんはとんでもない言葉を出してきた。

「コロシテヤル、コロシテヤル、コロシテヤル」

一瞬で血の気が引いていった。

あたり前だがこんな言葉を教えた覚えなんて全くない。

じゃあこの子はいつこんな言葉を覚えたんだ?

手を口元に当て考える仕草を取ったその時、後ろでクローゼットが開く音がした。

振り向くとそこには、手に包丁を持ったまま絵理に駆け寄ってくる髪の長い女がいた。

Concrete
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ピンコちゃん(・・;)
お利口さんですね

ウチの猫も喋らないかなぁぁ
喋ったら、喋ったで怖いけど…

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