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長編12
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本当にあった「怖い」話

これから話すお話は私自身が実際に体験した事です。

よく怖い話をする時は話を盛り上げる演出として「本当の話」と前置を入れる場合もありますが、今からするのは正真正銘の紛れもない「実話」です。

私が今まで生きてきた中で断トツで一番恐怖を感じた事件です。

ただし先に断っておくと心霊関係の話ではありません。

まぁその分皆様には信じて頂けるかもしれませんが。

 

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私は昔からTVゲームが好きで、割と「ゲーム好き」な部類に当てはまる人だったりします。

特に高校生になったあたりからゲームセンターに行く事が多くなり、いつの頃からか楽曲のリズムに合わせてボタンを押して遊ぶ「音楽ゲーム」系のゲーム(以下「音ゲー」)にハマるようになりました。

当時は金と暇さえあればゲーセンに行きゲームをPLAYしていました。

ゲーセンで遊ぶのはとても楽しかったのですが、一つだけ悩みがありました。

それは「自分と同じレベルで一緒に音ゲーをPLAYして遊べる友人がほぼいない」という事です。

サークルに入っていたりもしたので友人がいないという訳ではないのですが、私と同じ位熱心にPLAYする人は残念ながらいませんでした。

(因みに参考までに言うと当時の私は「平気で2時間やり続けていられる」位のハマりようでした。)

誘えば一緒にPLAYしてくれたりはしますが、だいたい1、2回やればみんな満足してしまいクレーンゲームとかの方に行ってしまうのです。

まぁ音ゲー以外は普通に一緒になって遊んでいたのでいいのですが、正直少しだけ残念に思っていました。

 

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事件が起こったのは確か私が大学3年になった年の夏頃でした。

ある日の日曜、私は昼の2時位に近所のゲーセンに一人で遊びに行きました。

そのゲーセンは小規模ですが家から自転車で10分とかなり近い位置にあり、休日に急に音ゲーがPLAYしたくなった時にはかなり便利な店でした。

当時私は「○ップン○ュージック」というゲームにハマっており、その日もそれをPLAYしていました。

一回目のPLAYが終了し、念の為次に遊ぶのを待ってる人がいないか後ろを振り返った時に「あの・・・」と声をかけられました。

私の後ろにはちょっと気の弱そうな男の人が立っていました。

見た感じ年は私と同じ位で、確か黒いショルダーバッグをしていました(以下Kさん)

とりあえず周りに私しかいなかったので「はい・・・」と答えると、Kさんは「お上手ですね」と話しかけてきました。

話を聞いてみると、なんでも「前々からこのゲームに興味があったのだがいまいち上手くならないので良かったら教えて欲しい」との事でした。

私は「それくらいの事なら」と二つ返事で承知しました。

長い事ゲーセン通いをしている人なら解るかもしれませんが、割とこんな感じで声をかけられる事はあったりします。

それまでにも何回か声かけをされた経験があった私は気軽にKさんのお願いを受けました。

Kさんは本当に初心者のようで私のアドバイスを聞きつつギコちない動きながらも必死にPLAYしていました。

2回ほどPLAYし終えると「すいません、ありがとうございました」と丁寧にお辞儀をしてくれました。

思わずこちらも「いや全然!」とペコペコとしてしまいました。

なんでも「今日はもう帰らないといけない」との事でした。

いつもならだいたいここで終わり「その日だけの知り合い」になってしまう所ですが、その日は違いました。

「あの、もし良かったらまた教えてもらってもいいですか?」

「え?・・・ あ、はい」

その後お互いのメールアドレスを交換し、「都合がついたら連絡します」と言ってKさんは帰って行きました。

一瞬にして「音ゲー仲間」が出来てしまいました。

まぁ私が初心者の頃は一緒になって遊べる友人もいたので「初めての」というわけではありませんが、正直ちょっと嬉しくなりました。

 

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それから6日後の土曜の夜、Kさんからメールがありました。

「明日お暇でしたらこの間のゲームセンターでまた教えてもらってもいいですか?」

幸い日曜は特に予定もなかったのですぐOKの返事を出しました。

恥ずかしい話ですが私は少しだけワクワクしていました。

次の日、約束の時間にゲーセンに行くとすでにKさんは来ていました。

適当に挨拶した後にまずKさんのPLAYから始めると、Kさんは一週間前より少しだけ上手くなっていました。

どうやらあれから少し練習したようです。

少し照れながらPLAYするKさんを見ていたら、なんだかちょっと嬉しい気分になりました。

もしかしたら昔の自分を見ているような気持ちになったのかもしれません。

PLAY終了後、Kさんと「いつ練習したのか」とか「凄く上手くなった」とか色々な事を話しました。

すると話の途中でKさんが「ちょっとすいません」と言って携帯を確認しだしました。

どうやら誰かからメールが来たようでした。

数分メールをイジった後にKさんが私にある事を伝えてきました。

「今友人からメールがあったんですけど、そいつも出来たら音ゲー教えて欲しいらしいんですが、今ここに呼んでもいいですか?」

突然の申し出でしたが、特に断る理由もなかったので私は「いいですよ」と軽く答えました。

今思えばこのあたりでもうちょっと警戒しておくべきだったかもしれません。

 

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友人は車で来るというので、私達はゲーセンの外に出て入口のあたりで待つ事にしました。

十分程してから黒い車がゲーセンの駐車場に入っていき、Kさんが「あれです」と指差しました。

私達がとてとてと近づいていくと、車の中からスーツ姿の男性が現れました。

スーツ姿と言っても、ネクタイは外しボタンも全開と割とラフな姿ですが。

黒縁のメガネをかけたその男性は黒髪の短髪で、なんとも「今時の若い社会人」という感じでした。

予想していた「友人」とちょっと違った事に少し戸惑っていると、「あっ、どうも!」と元気よく挨拶されました。

「いや~ついさっきまで仕事してたもんでね、ホント休日の仕事とか嫌になりますよね!」

そう言って私ににこやかに微笑みました。

会ったばかりなのにやけにフレンドリーな人だなと思いましたが、悪い人ではなさそうです。

とりあえずKさんが仲介に入ってお互いに簡単に自己紹介をしました。

名前はJさんといい、年は私達より2つ上だそうでした(この時ついでにKさんが同い年という事も知りました)

Jさんはどうやらドラムの音ゲーに興味があるようで、一応私がある程度PLAYしている事を伝えるとテンションが上がっていました。

ですがJさんはまだお昼を食べていなかったらしく、外も熱いのでちょっとファミレスで軽く食事でもしようという事になりました。

Jさんの車に乗り数十分車を走らせて何処かの○ニーズに着きました。

窓際の席に案内されるとJさんはスパゲティーを注文し、私とKさんは軽めのデザートを頼みました。

それから最初のうちは音ゲーの話やたわいもない雑談等で盛り上がっていました。

この時点ではまだ私は安心しきっていました。

しかしJさんの突然の一言で流れが変わりました。

「○○さん(私の名前)は「幸福になる為の八つの条件」ってご存知ですか?」

いきなりの発言に思わず「はっ?」と答えてしまいました。

私が答えに戸惑っていると、それからJさんは偉く真面目に語り始めました。

「人が幸せになる為には色々なものが必要ですよね?例えばお金とか。でもお金だけあっても人間って必ず幸せになれるものでもないですよね」

最初私は「なんか難しいそうな話だなぁ」と軽い感じで聞いていました。

ですがあまりにも長々と丁寧に話し続ける様子を見てさすがに気づきました。

これはいわゆる「勧誘」ではないかという事に。

一気に自分の中の何かが冷めていくのが解りました。

変な期待をしてしまっていた分、私の心は深く深く沈んでいきました。

Jさんは「人間って言うのはですね、生まれた時から八つの袋を持っているんですよ」とか訳の分からない事を言っています。

私はもう「はぁ・・・」としか言えなくなっていました。

Kさんはというと、さっきから一言も喋らずただただ私達の様子をひたすら眺めているだけです。

恐らく彼の仕事はもう終わったという事なのでしょう。

もはや私の心の深度は深海の域まで達していました。

私の頭の中はすでに「どうやったら早く帰してもらえるか」という事でいっぱいでした。

そして面倒臭くなった私は「ずっとだまり続ける」という作戦を行う事にしました。

この手の奴らは下手に相手をしても駄目なものです。

逆にあちら側に「こいつは駄目そうだ」と思ってもらった方が何かと面倒がなくていいというのが当時の私の持論でした。

それから途切れることなく話し続けるJさんに対し、ずっと下を向いての無言の抵抗を貫きました。

「これが団体のパンフレットなんですけど」

「・・・・・・・・・」

「ここの近くにも私達の集会所があるんですが、行ってみましょうか?」

「・・・・・・・・・」

初めのうちこそ必死に私に話しかけていたJさんでしたが、10分近くもの間無視され続けるとさすがに言葉少なになっていきました。

対する私は逆に「早く諦めろ」「もういいでしょう」「長いよ!」とだんだん心の声が多くなっていきました。

勧誘開始から15分程経過した頃でした。

「あ~・・・・・、わかりました。じゃあもう結構です」

コップの水を飲み干してからJさんがげんなりとした顔で言いました。

根比べの結果ついにJさんが諦めて白旗をあげたのです。

心の中で思わずガッツポーズをとりました。

絵づら的には終始ただ黙っているだけで特に何もしていませんが「どうだまいったか!」と誇らしげに心の中で言ってやりました。

 

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Jさんは席から立ち上がると会計用のレシートを取って「じゃあ帰りましょうか」と言いました。

その時初めて私は気づきました。

どうやって帰るんだ・・・・・

行きは車でもかなりの時間がかかっていました。

明日朝早い事もあって歩きで帰るのだけは勘弁したい所です。

しかしこのまままた彼らの車に乗っても大丈夫なのか?

私の頭の中でさっきのJさんの言葉が蘇りました。

「ここの近くにも私達の集会所があるんですが、行ってみましょうか?」

もしかしたら強引にそこまで連れて行かれる可能性もあるかもしれません。

運転中に「やっぱりちょっと寄ってみましょうか」とか言われたらもうアウトです。

私は迷いました。

JさんとKさんはすでに会計を終わらせています。

考えている時間はあまりありません。

そして限られた時間の中で悩んだ末に私が選んだ選択肢は「帰りも彼らの車に乗る」でした。

きっと自分の考えすぎだろう。

「大丈夫だ」と自分に言い聞かせながら、来た時と同じようにJさんの車の助手席に乗りました。

ただ、いざという時はハンドルを掴んででもおかしな場所に連れてかれないようにしようと考えていました。

今思えば相当危険極まりない行為ですが、その時はかなりテンパっていてそんな事しか思いつきませんでした。

運転席にJさん、後部座席にKさんが乗り込むと、車は静かに動きだし目の前の道路へと走り出しました。

 

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普段はあまり気づきませんが、走っている車の中はある意味で「密室」です。

何かが起きても簡単には逃げられないような状況と言えるでしょう。

私は一瞬たりとも気を抜く事が出来ませんでした。

他の二人も私の緊張が伝わったのか終始無言のままでした。

車内は重苦しい雰囲気のまま、車はただひたすら走り続けていきました。

そうこうしているうちに、気づくと外の景色が見覚えのあるものへと変わっていました。

この場所からなら車で行くともう10分ほどで最初にいたゲーセンまで着くはずです。

思わず安堵のため息が出ました。

やっぱり私が勝手に思い込みすぎてただけだ。

そう胸をなでおろした私に対し、恐怖は完全に予想外の方向から襲ってきました。

「あぁ、そういえば○○さんはインターネットとかはするんですか?」

突然のJさんの質問に体が一瞬ビクッと動いてしまいました。

冷静さを装ってから「まぁ一応」と素直に答えました。

「そうですか~」と軽く相槌を打ったあとでJさんは話を続けました。

「実はネットで検索するとうちの団体の事で酷い噂が書かれていたりするんですよ。本当に下らない噂なんですけどね」

それからKさんは淡々と噂の内容を語っていきました。

 

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●団体にちょっかいを出した人が動物の死骸を送りつけられた

●団体に入るのを拒んだ人が直後に病気で亡くなってしまっている

●団体は密かに緑色の謎の薬物を作っているらしい

●その薬物は人体に有害な毒物であり、団体に歯向かった人物の家庭ごと報復する為に使用される危険なものである

 

私はあまりの話に言葉を失いました。

それまであまり見ないようにしていた運転席にいるJさんの事を、顔は正面に向けたまま横目でちらりと覗き見ました。

Jさんの顔はびっくりする位無表情でした。

「笑っちゃいますよね。そんな馬鹿な事あるはずがないのに。ははははは」

言葉は笑っているのにJさんの顔は無表情のままでした。

正直この時のJさんの顔は今でも思い出すだけで体が震えだす位私のトラウマになっています。

私は完全に頭が混乱してしまいました。

なんで今こんな話をしたのか?

今の話にどういう意味があるのか?

私に何を伝えたいのか?

その時ふと悪い考えが思い浮かびました。

Jさんはこんな顔しているけれど、実は相当はらわたが煮えくり返っているのではないかと。

思い返してみれば私は彼の勧誘を永遠と無視し続けました。

私の舐めた態度が彼をイラつかせていたとしてもおかしくありません。

だとしたらこれはもしかして警告なのか?

このまま帰ったら一体どうなるのだろうか?

焦った私はなんとかしなければと必死に考えました。

外の景色からしてもう後5分もすれば目的地に着いてしまいます。

おかしな話ですが、あれほどさっきまで「早く着いてくれ」と願っていたのが急転し「まだ着くな、まだ着くな」と願うようになっていました。

そしてもうすぐそこにゲーセンが見えてきたギリギリの時でした。

「あ、あのすいません」

なんとか動揺を隠しながら私はJさんに言いました。

「さっき見せてもらったパンフレットって貰っていってもいいですか・・・」

直前で私が思いついたアイディアは「少しでも団体に興味があるふりをする」という、なんとも情けないものでした。

しかし効果は思っていた以上に現れました。

Jさんは突然笑顔になりまた急に色々と語りだし始めました。

「うちの団体の教えとか幾つも載ってるんでもう是非!おい、ちょっとそこの鞄から出せ!」

この時、一瞬でしたがJさんのKさんに対する態度が明らかに雑になったが私の恐怖をより一層強めました。

後部座席のKさんからパンフレットを貰うとちょうどゲーセンに着きました。

その後も少し車内でJさんと色々話しました(この時変じゃない程度に精一杯「興味がある」アピールをしました)

あらかた説明を終えるとJさんがほっとした様子で言いました。

「いや~でもホント良かったですわ、ホント良かった・・・・・」

私にはもうそのセリフが別の意味で「良かった」と言っているようにしか聞こえませんでした。

 

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その後、特に私の家族に危険が及ぶような事件は起こっていません。

唯一の連絡手段であったKさんからのメールも、それから一度も来る事はありませんでした。

何かあった時の為にと持っていたパンフレット(結局1ページも読みませんでした)も、あの日から半年程経った頃に捨ててしまいました。

結局は全て私の勝手な思い込みだったのでしょう。

ただ、今でも時々考えてしまいます。

あの時私がもしパンフレットを貰わず興味のない素振りのまま帰っていたら、どうなっていたのかという事を。

初めにも言いましたがこれは私が実際に経験した本当の話です。

これを読んでいる人にも起こりえる話なので、皆様も充分に気をつけて下さい。

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皆様コメントありがとうございました!
結構ここのサイトにも宗教関係の勧誘を受けた経験のある方が多いみたいですね〜。
まだ会っていない方は今後気をつけて下さい。
ここのサイト見てる人達は自分を含め、あくまでも被害の少なかった人でしかないでしょうから。
本当にやばい被害にあった人はたぶんここのサイト見てる余裕もないような人達でしょうから

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厄介なのは、人の気持ちを理解しようとしないこと。自分達が正しいと思い込んでいる事ですね。身近にいてほしくない人種の一つかな。

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おれは道歩いてて、眉間のとこ褒められ英語で書かれてた小冊子貰ったことある。
それもインド人。
勧誘さえなかったけど。
意味不明だった。

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自分は連れて行かれましたよ。
その人達は勉強会と話してましたが、あからさまに怪しい宗教でした。
ある程度人数が集まって、雰囲気に飲み込まれると、感覚が麻痺するのか、危うく自分も洗脳されそうになりました。
忙しいからと2回目からはお断りしましたが、半年近く勧誘され続けました。

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ただ腹が立った程度で、国家権力目をつけられるようなことはしない

というのは第三者の視点で、当事者からすれば恐怖そのもの
宗教は怖い
いや、狂信者か

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これはヤバイですね
一歩間違ってたら家族事酷い目に合わされていたかもしれない
実際俺の友達にも母親がおかしくなった奴がいたからよく解る

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