モデルを目指しているA子は毎日鏡の前でポーズをとるのが日課だ。
ハリのある肌と綺麗なメイク。彼女は誰からみても綺麗な顔をしている。
ただ、A子には悩みがあった。
筋肉質な太ももと小さな胸。広い肩幅だった。
高校を卒業するまで、運動が自分の全てだった。A子の体は筋肉質で運動向きの体型になりそれがなかなか変わらないのが悩みになっていた。
「筋肉って落ちていっても変わらないのかなあ」
その上、彼女の家系は元々スタイルが良い方ではない。全員低身長でどちらかというと太りやすい、彼女もそこには救いようがないと思っていた。
しかし、この体型を変えられないとモデルにはなれないとわかっていた。
ある日、自宅に宅配便が届いた。
知らない住所からである。
ネットで調べてみるが郵便番号から存在しない。気味が悪いが、箱の中身が気になってゆっくり開けてみる。
綿がみっちりと詰められた中に粘土のようなものでできた人形が置いてあった。
人形は、漫画家などがポージングを勉強するために使っているもの?のような大きさで手にとるとそのやわらかさもわかる。
知らない住所から人形だなんて、気味が悪い。
A子は人形をすぐに箱に戻そうとした。
その時、人形の腹を押してしまったようでウエストのあたりが凹んだ。
「あっ。でも、明日には捨てるし…」
戻すことなく箱にもどして蓋をした。
翌日、驚くことが起こった。
がっちりとしていたA子のウエストがほっそりと痩せたのである。一夜で減るような量ではない。A子は鏡を見てその綺麗にくびれたウエストに魅入られた。
「急激に痩せたにしては極端だし、痛いところがあるわけでもないのに」
A子は不安に思いながらもそのウエストから目が離せなかった。鏡越しに映る、昨日の宅配便の箱。
A子はその時、人形のウエストを押してしまったことを思い出した。
再び蓋を開けてみると、やはりウエストが細くなった人形がある。
まさか、まさかね。と思いながら、人形の太ももの粘土を伸ばして細くし、伸びた粘土の分だけ人形の足を長くしてみる。
翌日、鏡の前に立つとどうみても細く長くなった足があった。
A子は泣いて喜んだ。
人形の力に違いない。
神様が私に人形を授けてくれたんだ。
彼女は再び人形を箱から出して、人形の胸がなるべく膨らむようにこねた。
その時だった。
人形の首がちぎれて、頭がとれてしまった。
A子は元に戻そうと必死に頭と胴体をこねたがくっつかなかったという。
作者sia