私は今、病院のベッドで寝ている。
長く持っても一ヶ月だと言われた。
私は絶望し車椅子に乗って毎日のように枯れかけた桜の下で遠くの景色を眺めていた。そしてある人物に出会った。私はいつものように枯れかけた桜の下で途方にくれていると「なにしてるんだい?こんなところにもいると風邪を引くよ?」
私は鼻で笑い「私はあと一ヶ月で死ぬからこんなもん軽いさ…」その若い男は私の肩に手を置いて呟いた「君にはやり残したことは無いかい?簡単に諦めていいの?」私は思い出すように呟いた「生きていられるなら付き合っていた彼女にプロポーズかな…あと一ヶ月で死ぬ俺を受け入れてくれる人なんていないだろ?」若い男は微笑みながら車椅子を押し「じゃあ、その夢を叶えられるように足掻いてみようよ?」
「あなたは?」「私の名前は飯島 なぐさ。この病院に始めて配属されたんだよろしく」
私を部屋に送り飯島は微笑みながら手を振り、それっきり彼にはあっていない。そしてある日にあり得ないことが起きたんだ。枯れた筈の桜が返り咲いていた。桜の周りには人が集まっていたのを覚えている。
桜は靡き桜吹雪が舞っていた、そこに飯島が立っていた。
「あ、柏木さん!こんなことがあるんですね!桜が見事に咲くなんて」
私は桜に見惚れていた…。
また飯島は私を部屋に送り飯島は私の隣に座る「私はね、大好きな彼女を事故で無くしたんだ。それ以来、私は桜を見ると彼女を思い出すんだ。」そう言う飯島は「手を貸してくれないか?」手を差し出すと
言葉に言い表せない感触が手に伝わり、彼女の顔が鮮明に浮かんできた。「目を開けて、私の目を見るんだ、瞬きは我慢して」
飯島の光の無い瞳を見つめていると生きていたい!と空腹に似た感情が溢れ涙が溢れ出した。
飯島は微笑みながら私の肩を掴み
黙ったまま飯島は部屋から出て行った。翌日、私はナースコールを鳴らし「すいません、飯島さんは今、どちらに?」「飯島ドクターなら、イギリスへ出発しましたよ?」
ナースはカルテを持ったまま部屋から出て行く。それから最後の検診カルテを眺めるドクターが驚愕の事実を伝える
「そんな!まさか!柏木さん!何処にも癌は見当たりませんよ!奇跡としか言いようがない!」
その瞬間に喜びが爆発し立ち上がると事故で動けなかった足が動く。
「嘘だろ?マジか!ドクター!」
ドクターは空いた口が塞がらずに私の目を見ていた。
「と、取り敢えず今日はベッドに戻って休んでください!」
私は喜び仕事で忙しい彼女に電話した。今も病院で入院しているが、あの見事に返り咲いた桜が祝福しているかのように思える。
そして久々の風呂に入り鏡を見ると背中には手形が残っていた。
それは天使の翼のように…。
作者SIYO