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中編4
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事務所

 15~16年前のこと。

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京都は宇治市に新たに事務所を構えた時の話

そこは、築20年位の とあるマンション

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前準備のため、妻と2人で部屋の掃除をしていた時 突然「ジャ~ァーァー」と

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水の流れる音がし出した 2人顔を見合わせ「何の音?」と

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どうやら風呂場からのようだ そして扉を開けた

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すると 浴槽の水道蛇口が全開になり 浴槽に水を溜始めていた

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いったい何ん何んや? 蛇口を閉め ふっと思った

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この部屋居るなぁ! しかし 閉まっている蛇口を開く事が出来るということは、相当力を持った 強い奴が、

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妻は、「この部屋辞めた方が良いのでは」そう言ったが 俺にしてみれば ここに住むわけでは無 いし又、それほど恐怖感は感じ無かったし「大丈夫や!」と強気だった

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 この部屋を借りて5年にもなるが、あの蛇口全開事件以来 霊的不思議現象は起こらなかった。  ただ 洗面所付近がちょっと気になる程度。

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ある時 友達が遊びに来た リビングで雑談中にこんな事を言い出した

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「それはそうと渋谷、この部屋居るなぁ」と 俺は「やっぱ解るか!居るけど 俺に危害を加えたりしないし、奴の方が先にこの部屋に住んどったんやぁ 別にかまへんでぇ」

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そう言い続いてこう言った 「そこの洗面所付近におるやろ!でもこっちには来ようとしないし そうや!おまえそこそこ霊視出来たやんなぁ ちょっとどんな奴が居るか見てくれへんか?」

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と 彼に頼んだ 彼は洗面所の壁を指さして 「この壁の中におるなぁ 出たくても出れへんみたいやでぇ 性別や年齢は解らん、この壁そいつが居てた土とコンクリートが混ざって出来てる見たい」と言った

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俺は「 霊というのは物質を通り抜けれるはず 御札を貼っている訳でもないし その霊自身の意識の低さが問題や この場合やったら出れるんちゃうん」

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そんなことを言いながら また 雑談をしたあと彼は帰って行った

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その晩 なぜか この閉じ込められている霊の事が気になり その壁に向かい 般若心経と光明真言など唱えてやった

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それから1週間程してからだったと思うが 夜たまたま事務所のソファーで うとうとした時のこどである

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キッチンの方から床をスリッパを履きながら誰かが歩き回っている音がするのに気が付いた

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「んぅ?何だろう」と体を起こした

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その時その音はピタリと止んだ

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錯覚か? 俺はその音の正体を突き止めるより 自分自身の眠りを優先し そのまま朝を迎えた

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朝コーヒーをのんでいる時だった 昨晩の事を思い出した

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そう言えばスリッパの音してたなぁ ひょっとしてお化けか?

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違う 俺がお経を唱えてやったんで壁の中にいる奴が出てきたのか 出られたのか?そう思った

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しかし 誰のスリッパを? 俺のかぁ?  洗面所の方へ向いて言ってやった

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「誰のスリッパはいとるんや!ええ加減にせい!」と怒り口調で

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奴は俺がお経を唱えてから1週間 壁から出られた事を良いことに 俺のスリッパはき倒していたのか 何故かその事にいらっとした

今晩も泊まって確認してやろうと

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その日事務所に帰宅したのが夜11時をまわっていたと思う

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昨晩と同じようにソファーで横になり眠りについた

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どの位の時間が経ったのだろうか 妙な気配で目が覚めた と言うより ぼーっとした感じで まだ半分眠っている様な

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すると キッチンの方から ひた ひた ひた・・・と床を歩く音が しかし俺の居る部屋には入ってこようとしない

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その時 奴が裸足で歩いていると解った しかし 何故か起き上がって確かめようとは思えなかった そのまま また眠りに入ってしまったのである

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朝 昨夜の裸足の音の事を思い出した 何故か朝一思い出せず 起きて1時間程してから 「そう言えば!」である

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その時かなぁ 奴は俺のことびびってるんかなぁと思った それはそうだろうスリッパ怒られたし裸足になったんだから

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それから幾度となく 事務所で仮眠する事があったが 足音はあれ以来聞こえたことは無い

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奴は 何処かに行ったのか? それとも成仏したのか?

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そんなことがあって 俺が慕っている真言宗のお坊さんにこの出来事を話した事がある

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その時 お坊さんに結構注意された 内容はこうだ

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俺の借りているマンション付近は元々巨椋池を埋め立てた所 そしてその土とコンクリートが混ざり合ってその建物がある そういう池だったところはいろんな霊が居る ましてそのあたりは湿気が多いやろ 霊が活発化しやすい土地やぁ

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お前がお経唱えて解き放った魂は、たまたま悪い奴じゃなかったんや

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それともう一つ もしお前のやった事を他の霊に悟られたら我も我もと未成仏霊が助けを求めやってくるから非常に危険だと

そのとうりだ 俺は霊的には何も修行していないし そんな力も無いのだ

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それ以来 不思議かつ霊的現象に遭遇しても無視するか 科学的に解明しょうと動くかにして

お経や念仏などは唱え無い様にしている。

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