music:7
掬いたまえ
念を掬おう
念を掬うそのかわり
我らの願い叶えたまえ
金魚は生贄
掬えば叶え
掬いたまえ
掬いたまえ
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ーーーーーーーーーーーーー
music:4
「紅太郎〜♡ご飯だよ〜♡
おぉエサやる穴に寄って来たwご飯だってわかっているんだなw
今から部活行ってくるね!」
そういってジャージ姿の青年は金魚にエサをやると、金魚エサの入ったプラスチックのケースを水槽の下にある棚に閉まって家を出た。
玄関には3人の同じジャージ姿の青年が彼を待っていた。
「うっす!柊!」
柊「おはよう!祐太、悠斗、雄介!」
雄介「おはよう。」
悠斗「おはようござんすwアハハw」
祐太「そうだ、例の奴作ってくれたか?」
柊「うん!金魚のキーホルダー1人3個だね!」
祐太「サンキュー!欲しい友達たくさんいたから助かるぜ!」
柊「よかった!
それじゃ行こう、早く行かないと先輩に怒られちゃうw」
2人「行こう!…へへへw」
4人は楽しそうに学校へ向かった。
sound:20
柊以外の2人は裏で笑いながら…
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ーーーーーーーーーーーーー
music:1
4人が学校に向かう間、彼らの紹介でもしよう。
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魚谷柊(おがいひいらぎ)15♂
高校に入りたての優しい青年。
バスケ部所属の未来のエース。
趣味は細かい作業で、
何かを作るのが大好き。
大好きなのは金魚。
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高田祐太(コウダユウタ)
武田悠斗(ムタユウト)
村田雄介(ソンタユウスケ)
3人ともに16♂
柊の先輩で、バスケ部所属。
柊の優しさをいい事に友達を演じてパシリや雑用など色々利用している。
最近では柊に嘘をついて小物を作らせ、それをネットオークションで売りさばいている。
1人微妙らしいがたぶん気のせいだ。
music:7
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…おっと、4人が学校についたみたいだ。
そろそろ本題に戻るとしよう。
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ーーーーーーーーーーーーー
music:4
一同は部室に入ると、荷物を置いて隣の更衣室でユニフォームに着替えた。
体育館にでてバスケットボールのカゴを器具置き場からガラガラと出して、バスケットボールを手にした。
軽くつくと、ダムッと音を立てて跳ね上がる。
昨日は頑張って空気を入れたから、今日まで抜けないでくれたんだ。
ちょっとにやけてしまうw
雄介「なにしてるんだよ柊!
とっととウォーミングアップしろ!」
柊「は、はいっ!」
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ーーーーーーーーーーーーー
体をほぐし終わった後、次に器具置き場からコーンを何個か置いてトレーニングをする。
バスケットボールを突きながらコーンの間を走り抜ける。
風を切る、ボールと一体になる…
sound:20
「…なんか違うな。」
いつもそう思う、何か違う…
これがわかれば僕はもっと早く、そして強くなれるのだが…
?「おはよー!朝練お疲れ様ー!」
一同「おはようございます!浅川さん!」
美心愛「みんな調子どお〜?
朝早いんだからあんまし無理しちゃダメだよ〜!」
一同「はいっ!」
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浅川美心愛(アサガワウミカ)16♀
バスケ部のマネージャーで、
元気いっぱいな人で人気者。
趣味はバスケの試合を見る事。
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みんななぜか浅川さんに敬語を使っている、
だから僕も敬語を使う。
柊「あの、浅川さ」
祐太「浅川さん!今日のトレーニングスケジュールはなんですか?」
美心愛「今日は軽めのタイプAを行うよ!
特に大会とかもないし、無理せずファイトだ!」
柊「えっと、浅川さ」
悠斗「教えてくれてありがとうございます!頑張ります!」
柊「………。」
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祐太「(ゴンッ)バカ!やりすぎだ!
浅川さんにバレるだろうが!(小声)」
悠斗「めんごめんごw(小声)」
柊「…浅川さん!」
美心愛「ん?どうしたの新人くん?」
柊「僕、さっき敵をかわすトレーニングやってたんですけど…なんかしっくり来ないんです。
sound:20
なんかかわすコツとかあるんですか?」
美心愛「う〜ん…そうだね、自分なりの走り方とかステップを見つけるのが1番だね。
自己流が出来ればかなり楽になると思うよ。」
柊「わかりました!」
僕は浅川さんにいいアドバイスをもらい、トレーニングを再開した。
もっと頑張って先輩方みたいになるんだ!
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美心愛「…新人くんまで敬語かぁ、
つまんないの…。」
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ーーーーーーーーーーーーー
柊「はぁ…はぁ…ちくしょう!
全然変わらない…」
あれから長時間ぶっ通しで練習したが何が自己流なのかわからなかった。
長時間の運動で汗が滴る。
雄介「何をしている!?
ちゃんと水分を取らなきゃ危険だろう!!」
柊「ぜぇ…ぜぇ…すみません…」
ヘロヘロな状態で謝ると、頭になにか投げつけられた!
最初は少し腹が立ったけど、投げつけられた物を見て驚いた。
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柊「雄介!?これ…!」
雄介「間違えて買った、お前が処理しろ。」
柊「雄介…ありがとう!」
雄介「…ゴミに関して礼を言ってどうする。」
僕は床に座ると、雄介に処理を頼まれた
新品のスポーツドリンクの蓋を開けてぐいっと飲んだ。
柊「はぁ〜うんまぃ!!
それにしても何と間違えたんだろ…?」
雄介はベンチを占領している2人の元に戻り、どいてくれた端に座る。
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祐太「おい、プレゼントとかしていいと思ってんのか?」
雄介「あれだけ運動してるのに水分を取らないのは危険だろう、
お前らには付き合うが、殺人犯になるのはごめんだ。」
祐太「ぐ…。」
悠斗「雄介怖えぇwアハハハハw」
祐太(雄介の言う事も一理あるが、気に入らねぇな…
なんかこう、あいつの心を影でボッキリ折らせるような…)
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美心愛「そういえば新人くん、君の家の金魚は無事?」
柊「僕のですか?えぇ元気です。
最初水たまりで弱っていたのを見た時は焦りましたが、あそこまで回復してくれて嬉しいです。」
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祐太(金魚…?
sound:21
そうだ!確かネットで見た事あったな…
あれだ、「願い掬い」だ!
上手く行けばあいつの心を折るだけじゃなくこの世から消しされるな…
よし、やるのは今日だ!
ここの真のバスケ部のエースは俺だということを思い知らせてやる…!!)
祐太「なぁ悠斗、」
その後、祐太は悠斗と雄介を誘い、柊も誘った。
行う時刻はその日の深夜、
行う場所は体育館の器具置き場。
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柊は快く受け入れた。
music:7
sound:18
「願い掬い」の恐ろしさが柊の心に大ダメージ
を与えてしまうとは知らずに…。
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ーーーーーーーーーーーーー
music:4
その日の夜、柊は出発前に紅太郎に話しかけていた、柊は金魚が大好きなのだ。
柊「紅太郎、今日の夜「願い掬い」って遊びをするんだ。
祐太によれば金魚に関する遊びらしくてさ、祐太から誘いが来るなんて珍しいから楽しみだよ!」
(パチャパチャ…)
柊「ん?どうしたの紅太郎?
なんか暴れてるけど…」
柊の飼っている金魚、紅太郎は本来大人しい性格なのだが、今の紅太郎は大人しいとは言えない。
柊「遊びたいのかな…?
金魚用のオモチャのボール入れておこうっと。
もう時間だから行ってくるね!」
柊が家を出て行く中、
紅太郎はオモチャのボールには目にもくれず、
柊の出て行った部屋の出入口の方を向いて暴れていた…。
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ーーーーーーーーーーーーー
深夜1時、柊 祐太 悠斗 雄介の4人は部活帰りに開けておいた窓から器具置き場に侵入した、
手分けして幾つかの道具も入れる。
祐太「みんな入れたか?」
悠斗「おっけーだよー!!」
雄介「入れた。」
柊「入ったよ!」
祐太「よっしゃ!早速始めるか!」
music:1
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そういうと、祐太は折りたたみ式のテーブルを置いてそこに四角い桶を置いた。
桶には何やら模様が描かれている。
祐太「これ作るの大変だったぜ…
なんで四角い桶何だろうな、丸でもいいのに…」
雄介「いいから始めろ、明日の朝練に支障がでる。」
祐太「わかってるって俺も眠いんだからw」
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次に濃度がついた液体を桶いっぱいに注いだ。
液体が入っていたボトルには「砂糖水+片栗粉+寒天 願い掬い用」と書いてある。
桶の準備が完成すると、悠斗がみんなにビニール袋に入った金魚とメモとを配った。
祐太ははポイを配った。
あ、ちなみにポイというのは金魚掬いで使う紙の貼った道具の名前である。
ほら、金魚掬いのおっちゃんに金魚掬いやりますってお金払って言ったらもらえるやつ。
sound:21
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柊「可愛い…♡みんな雄なんだ。」
悠斗「お?わかんの?
なんか祐太によればさ、願い掬いに使う金魚はやる奴の性別と揃えなきゃいけないだとさ。
面D ww」
祐太「みんな準備は出来たか?
そんじゃ金魚を入れた後、メモに書いてある文章を読みながら桶の水をポイで混ぜてくれ。
ポイが破けなかったら願い掬いは成立だ。」
悠斗「はぃ?ポイが破けなかったら成功??
水の中でかき回したら破けるんじゃ?ww」
祐太「まぁやるだけやろうぜ!
…へへへw」
sound:21
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祐太(実は柊のだけ4号なんだよな…
俺らのは8号だから簡単に破ける。
柊、お前だけ願い掬いやってもらうぞ…!)
号とかよくわからない人へ、
ポイで言う「号」というのは紙の厚さのことをいうのです。数が少なくなるほど紙の厚さは厚くなり、金魚掬いの難易度は下がるのです。
つまり、
祐太は柊だけに願い掬いをやらせようとしているのだ…
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柊(メモには何が書いてあるんだろ?
掬いたまえ
念を掬おう
念を掬うそのかわり
我らの願い叶えたまえ
金魚は生に…え!?
sound:20
金魚は生贄って…なんか言いたくないな…)
でも遊びの輪入ったのは自分、今更断れない…
それが優しい柊の今の心境だった。
祐太「それじゃあ始めるか!」
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3人は一斉に金魚を桶に放した。
柊も少し遅れて渋々放す。
放すと早速桶をかき回した。
わかりずらいが、柊は金魚に当たらないように気を使って混ぜている。
4人「掬いたまえ
念を掬おう
念を掬うそのかわり
我らの願い叶えたまえ」
ここまではちゃんと言っていたが、どうしても言いたくなかった柊は少し言葉を濁した。
柊「金魚はいふぇいえ」
無論、ばれていないw
4人「掬えば叶え
掬いたまえ
掬いたまえ」
祐太(なん…だと!?
おかしい…絶対おかしい!!
sound:18
柊のはまだしも、俺らのが破けてないだと!?
…まぁいい、願い掬いを成功すればいい話だ。)
悠斗「おぉ!みんな破けてないよ!?すげー!!」
雄介「これで遊びは成立だな、
早く次の作業に」
柊「ひっ………!!??」
悠斗「ん〜?どうしたの柊〜?」
sound:20
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柊「金魚が…溶けて消えた…!!」
祐太(ニヤリッ( ̄+ー ̄))
祐太「どれ?おぉ〜見事に溶けてくれたな!
よかったなみんな!」
柊「よかったじゃないよ!!
金魚死んじゃったんだよ!?」
祐太「うるせぇな…たかが金魚だろ?
それとも?先輩に逆らうのか?」
柊「いや、そういうつもりじゃ…」
祐太「入れろと言ったのは俺だが…
入れた実行犯は…
music:7
お前だよ柊。」
柊「!!!」
それを聞いた柊の顔は今までにないくらいの悲しい顔をみせた。
そしてそのまましゃがみこんでしまった。
柊(殺したのは…僕?
僕が…うぅ…)
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祐太(………
music:3
ブハハハハ!!w
これだよ!これこれ!俺が見たかったのは!!
いっつもヘラヘラヘラヘラ笑いやがってイラついてたけど、これで全部返済なw
ブハハハハ!!ww)
雄介「………。」
music:7
悠斗「なぁ〜祐太〜柊叱らなくていいからさぁ〜早く次の作業に移ろうぜぇ〜!」
祐太「お?おぅ悪かったな、
music:1
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みんな桶を見てくれ!
不思議なことに赤い寒天の塊が4つあるだろ?
それを1人1つ、願い事を考えながらポイで掬って飲む!
上手く行けば願いが叶うって寸法だ。」
悠斗「そうなのかぁ!じゃ早速」
祐太「待てよ、ここを間違えると持っていかれるぞ…」
悠斗「え?」
sound:18
祐太「ネットによればな、稀に意識が上に引っ張られるような感覚に陥る時があるらしいんだよ。
下手したら金魚にされるかあの世に持っていかれるらしいんだよ…。
んで、その時に「掬うのみ」って何回も言うと助かるらしいぞ。
いいな?「掬うのみ」だぞ?」
悠斗「わかった!」
雄介「了解。」
ちなみに
落ち込んでしゃがみこんでいた柊はこの対策法を聞いていない…
祐太「ほら起きろ!願い掬い始めるぞ!」
柊「う、うん…」
祐太は柊に遊び方だけを教えると、
願い掬いを始めた。
柊(うぅ…)
柊は申し訳ないという気持ちと罪悪感を持ちながらポイで赤い寒天を掬い、願いを思いながら飲んだ。
水も寒天も食べ物なので問題ない。
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悠斗「うまーい!やっぱどうせ食うんだからいい寒天選んで正解だな!」
祐太「だな!で、願いはどんなのに…
ぐっ!?」
その稀はすぐに起きた。
music:3
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体が、意識が上に強く引っ張られる。
なんと表現したらいいのだろう…
フリーフォールで一気に落下するような感じがすると言ったらわかるだろうか?
3人は落ち着いて「掬うのみ」を連呼した
…が、
music:2
一向に状況が良くならないばかりか、ますます意識が引かれていく。
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祐太は異変の起きる早さに混乱し、
祐太「掬うのみ掬うのみ掬うのみ!
くそっ!!何で治らねぇんだ!!」
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悠斗は只々謎の現象に悲鳴を上げ、
悠斗「掬うのみ掬うのみ掬うのみぃ!?
sound:39
ひぎゃあぁーーー!!!
死にたくねぇよおぉーーー!!!」
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雄介は顔を歪ませて踏ん張っていた。
雄介「掬うのみ掬うのみ掬うのみ…」
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柊は…
静かに怯えていた。
柊(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!)
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しばらくその状態が続いた後、
music:7
3人は体から意識が引き抜かれる感覚を覚えた。
柊は
願い掬いを
失敗した。
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ーーーーーーーーーーーーー
music:5
ヒラヒラ、ヒレをなびかせて、
ブクブク、泡を吹き出した。
そろそろ、起きる時間かな…?
sound:33
(ちょいと!そこの兄さん!
何ぼけっとしてるんだよ!)
柊(え…?)
まるで夢でも見ている感覚だ…
水中の空間の中に柊はいる。
目の前には真っ赤…真っ赤なおっさんがいる。
サンタではない。
sound:33
(あんた願い掬い失敗しただろ?
あんたと1人逝きそうだったけど、
あんたの願い面白いから引き抜いたわw)
柊(僕の…願い…?)
sound:33
(「生贄になった金魚が無事に成仏しますように」だって?
今時珍しいね謙虚だねぇ〜w)
柊(は、はぁ…
あ!祐太たち…他の参加者はどうなりましたか!?)
sound:33
(1人は成功したみたいだね、
もう1人は金魚になっちまった様だかな。)
柊(そうなんですか…)
sound:33
(まぁいいや、あんたの願いは叶えてやるよ。
あの金魚らは来世素晴らしい人生を歩ませる。
とにかくあんたを戻さなきゃな!
ほんじゃさいなら!)
柊(あ!待って!あなたの名前だけでも)
それを聞く前に、
music:7
柊の意識はフッと途切れた…
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(………、
sound:33
俺っちは只のしがない金魚掬いのおっちゃんさ。)
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ーーーーーーーーーーーーー
music:4
柊「………ぅ」
柊は目を覚ました後、そこには誰もいなかった。あったのは誰かの服とちらばった道具たち、桶に入った金魚だけ。
柊「………。
とりあえず帰ろう…
あれは夢だ、
きっとみんな先に帰っているんだ。」
柊は自分のバックから丈夫なビニール袋を取り出すと、学校の給湯室からぬるま湯を入手して
さらに器具置き場から小さなコーンも入手すると、小さなコーンで金魚を掬い、ビニール袋に入れた。
後は道具をすべて回収して器具置き場を後にした。
柊「眠い…
明日も早いし早く帰らなきゃ…」
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ーーーーーーーーーーーーー
後日、柊の大好きな金魚の水槽は1つ増えた。
一緒にいれないのは喧嘩が起きた時の共食いを防ぐためだ。
暴れる新しい金魚を気に入ったのか、紅太郎は隣の水槽をずっと見ている。
柊「紅太郎!新しい仲間だよ!
それにしてもこの金魚誰なんだろうな…
服誰のか聞けばわかるかも。
とにかく部活に行ってくるよ紅太郎!
いってきまーす!」
そういって柊は2匹の金魚にエサをやると、金魚エサの入ったプラスチックのケースを水槽の下にある棚に閉まって家を出た。
暴れる金魚は最初はエサには目にもくれなかったが、紅太郎のことを見たのか食べ始めた。
柊はすごいことに3種類の金魚のエサを金魚の体調によって使い分けているのだ。
しかも3種類のうち1つは手作りw
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柊は体育館につくと、部室に入って荷物を置き、隣の更衣室でユニフォームに着替えた。
体育館にでてバスケットボールのカゴを器具置き場からガラガラと出そうとすると、
ふと、器具置き場から甘い香りがした。
砂糖水と寒天の匂いだ。
柊「本当にやったんだな、願い掬い。」
?「よぉ、柊。」
柊「あっおはよう、
雄介。」
雄介「昨日はひどい目にあったな、
その…大丈夫だったか?」
柊「僕は大丈夫、雄介は?」
雄介「俺は大丈夫だ、
2人からは連絡はなかったがな…。
sound:18
って、柊お前何で悠斗の服持ってるんだ!?」
柊「え?あ、これ悠斗のだったんだ!
えっと、実は…」
柊は、自分から見て起こった願い掬いの話をすべて雄介に話した。
雄介「そうだったのか、
悠斗は金魚に…それでもいい方だ。
だが祐太はあの世に連れていかれちまったみたいだな…」
柊「祐太…良くしてくれたのに…うぅ…」
雄介(本当に柊は優しいな…
祐太は散々影で柊をいじめてたからな、
死人を悪く思うのもあれだが…
殺そうとまでしていたんだから当然の報いだな。)
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柊が悲しんでいると、そこへ美心愛が乱入してきた!
美心愛「おっはよー!
およよ?今日の朝練開始はまだなんだね。」
柊「いや、ちょっと話をしていて…」
雄介「なんだ浅川か、たまには会話しててもいいだろ?」
柊「え!?雄介敬語じゃないんだ。」
雄介「は?敬語じゃねぇぞ俺は、
いつからそんな話になったんだ?」
美心愛「喋らないからそうなるんじゃないの!w」
雄介「まぁ…それもあるな…汗」
柊「ふ、ふふw」
雄介「何笑ってるんだよ…!」
柊「雄介って明るい面もあるんだなってさ!」
雄介「…え?」
柊「僕の事も心配してくれたし…
なんだかんだで僕の事思ってくれてたんだね、ありがとう雄介!」
雄介「あ、いや、俺こそありがとう…。」
実はこの時、雄介は心の中で泣いていた。
素直になれた…優しくなれた…と。
雄介の叶った願いは
「明るく、素直な俺になりたい」だったのだ。
美心愛「あ、あのさ新人くん、」
柊「何ですか浅川さ」
sound:21
美心愛「敬語、やめてくれないかな?
祐太たちが勝手に使ってただけだし、
その方が気楽だな。」
柊「…うん、わかったよ美心愛!」
雄介「ちょ、柊!いきなり呼び捨てはダメだろ!2つ上の先輩だろ?」
美心愛「いやいや全然!構わないよ!」
雄介「はぁ?
…あぁそういうことねぇ〜w」
柊「?」
美心愛「いいから!はい!朝練始めるよ!!」
柊「あ、はいっ!」
雄介「素直じゃないやつ…w」
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体をほぐし終わった後、次に器具置き場からコーンを何個か置いてトレーニングをする。
バスケットボールを突きながらコーンの間を走り抜ける。
風を切る、ボールと一体になる…
柊「やっぱ違う!なんかこう、流れる様な…
流れ…る?
それだ!ちょっとやってみよう!
雄介!ちょっと1点先取のゲームしようよ!」
雄介「ゲーム?
いいぜ、手抜かねぇからな!」
ということで2人は1点先取のゲームをすることになった。
審判は美心愛だ。
美心愛「そんじゃ!試合開始!(ピィー!)」
試合開始の笛がなる、
2人はお互いにバスケ選手のスイッチを入れた。
柊の意思で最初にボールを持つのは雄介になった。
雄介「俺も舐められたもんだな…
それじゃあとっとと1点取って」
そう言って動こうとした時だった。
ヒュッ
雄介「…え!?」
美心愛「すごい速い!!
柊、自己流を見つけたんだね!」
柊の動きは静かで流れるようだった。
まるで魚が水中を泳ぐように滑らかにコートを突き抜け、そして、
ポスッ
美心愛「(ピィー!)
1点入った!柊の勝ち!」
ゲームが終わると、2人はコートの真ん中で向かい合ってあいさつをした。
2人「ありがとうございました!」
雄介「お前…強くなったな。」
柊「えへへ〜、
金魚たちのおかげです!」
雄介「柊…」
柊「ん?」
雄介「これからもよろしくな…。」
雄介が控えめに差し出したその手を、
柊は優しく、そして強く掴んだ。
柊「うん!よろしく雄介!」
雄介「柊…
ありがとう、本当に。」
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これで2人は本当の友達になったのだ、
このバスケ部はもっと強くなれるだろう。
nextpage
ーーーーーーーーーーーーー
夏になり、バスケ部は部員一同で夏祭りに来た。相変わらずのジャージ姿だw
柊は…10分程遅刻ww
雄介「遅いぞ!なにやってたんだよ!?」
柊「あぁ…雄介か、
sound:21
実は昨日紅太郎が死んじゃって…
ハハハ、立ち直るのに時間かかっちまった。」
雄介「あぁ柊の飼ってた金魚か?
金魚で悲しめるってお前本当に金魚好きだな…w」
柊「笑い事じゃないよぉ〜!!」
雄介「わかってるってw
それよりも…悠斗、元気か?」
柊「うん!元気だよ!
おもちゃで遊ぶのが好きみたいで、
もう20個くらい入ってる。」
雄介「20…ってそんなに入れて大丈夫か?」
柊「ちゃんと定期的に掃除してるし、プラクトンなんか絶対に繁殖させないよ!」
雄介「すげぇな…w
あ、そうだ、浅川が呼んでたぞ。
神社の裏で待ってるから行ってやったらどうだ?」
柊「美心愛が?
わかった、行ってくる!」
雄介「なんかあったらメールでな!」
柊「了解ー!」
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柊は美心愛の所へ行く道中、
おそらく金魚掬いでとったであろう金魚をゴミ捨て場に放り込まれる光景を見た。
柊(え!?ひどい…!)
無論、柊はすぐにゴミ捨て場に突入した。
ゴミをあさると、袋に入った金魚を見つける。
柊「大丈夫だったかい?
後でエサあげるから今はもうちょっと我慢してね。」
こうして柊は新しい金魚を飼うことになった、
金魚片手に美心愛の元へ急ぐ。
柊(美心愛、待っててね!)
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今宵、柊は金魚を救った。
空には花火が咲いている。
作者ハピナ
遅れてすんません(⌒-⌒; )
ちょいとこの話に力を入れていたので…
季節外れですがちょいと意味のある話を書きました(ノω`*)んふふ♪
皆さんも持っていかれたくなかったら金魚を粗末に扱わないことです…(♯`▽´)グヘヘ
皆さんは金魚掬いの金魚を入手した後、どう扱っていますか?( ꒪Д꒪)
wikiによると(長い文章なので飛ばしてもOK)
[金魚すくいを始める段階では、客はその金魚をどうするかまでは考えていない場合が多い。したがって、特に子供が持ち帰った金魚は、事後処理に困る事例が多い。はじめから泉水がある家庭や、仕方なく飼育キットを購入して飼育が始められるのは金魚にとっては幸いな場合である。大抵は始末に困って、近所の公園の池などにに放される例が多い。下水等に放流されてしまうこともある。ビオトープ施設や保護されている湿地などではこのような形で放流される金魚に手を焼いている例が多々ある。家に適当な水槽や設備が無く持ち帰った後、ビニールの中で放置されて死亡する場合も多い。]
…ひどくないですか?(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
金魚掬いという遊び自体金魚の命を軽視してると思うのです!ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
金魚掬いのプールで泳いでいるのは一つの命なんです!(´・Д・)」
金魚掬いのおっさんによって命を軽視される環境に置かれた金魚たち…(இ﹏இ`。)
せめて、皆さんは金魚掬いをやる時、金魚たちの未来も考えて掬ってやってくださいorz
これは金魚掬いの金魚たちと私からのお願いです。(๑′ᴗ‵๑)
…おっと、うちの金魚「キンキン」にエサやんなきゃ!((((;゚Д゚)))))))
ふふ、彼も金魚掬い出身なんです。( ̄▽ ̄)
水たまりで弱ってた時はビックリしたな…Σ(・□・;)