ある時、自分と友達はある廃墟に侵入する計画を練っていた。 その廃墟はマンションの廃墟で、偶然、自分が自転車で前を通りかかった時に見つけたものだった。
釈明しておくが自分達はただ、廃墟の雰囲気が好きなだけで、破壊行為などは一切行っていない。だが、昼間から入るのも目立つだろう、と言う理由で学校帰りの夕方に入ろう。ということになった。
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夕方、現地に着き、計画通り侵入する。そこは高台にあるので入ると夕陽がきれいに見えた。
「ああ、いいかんじだなぁ。」
「だなぁ。じゃあ、まずここから見よう」
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マンションは三棟あり、一番奥から見て行く事になった。
だが、友達の様子が少しおかしい。何かに警戒しているようにしきりに辺りを見回している。
「どうしたんだよ。誰かいたか?」
「いや、別に。ただ・・・。」
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「どうしたんだよ。言ってくれよ。」
「突然だが、お願いがある。今からこの廃墟を見て行く時、俺の指示に従ってくれないか?」
変なお願いだと思ったが、受け入れ、廃墟散策を再開することにした。
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そして、最後の棟を見に行こうとした瞬間
「止まれ!それ以上、先に行くな‼︎」
という友達の声が響いた。
振り返ると、何時になく真剣な表情をした友達がいる。
「早く出るぞ!これ以上は危険だ!」
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その瞬間、何かに見られてる。という感覚に襲われた。そして寒気が止まらない。そして、気配が、だんだんと近くに来ているのを感じた。
友達と自分は猛ダッシュで外に出た。
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外に出ると
「あまり、廃墟の方は見ないで。まだ、俺らのこと見てるから。」
と言われた。
「何が居たんだ?」
「若い女の人が居た。俺らのこと、じっと見てた。あと、その人はこの世の人じゃあないよ。」
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そいつはその後、自分には霊感があること。さっきはそこそこ危ない状況だったこと。などを話してくれた。
「あれはそんなに強いタイプじゃあないから自分のテリトリーからはでて来られないよ。でも、もう一度そこに近づけば、確実に何かされるね。された後、どうなるかはわからないな」
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その後、その廃墟について調べてみるとそこはかつて社員寮で、自殺や精神異常者が絶えないため、閉鎖された建物だったのだそうだ。
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どうやら、自分達はその建物に入り、そこの「人々」を騒がせ、怒らせてしまったらしい。 本当は花の一つでも供えに行きたいが
「死んでも良いなら行ってもいいんじゃないか?」
という忠告で、いまだお供えには行けていない。
作者Kosaku.tt
実話です。誇張とかはありません。
ので、あまり怖くない、かな?